蒼穹のぺうげおっと

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ガンダムSEED DESTINY 第19話 「見えない真実」 感想

2005-02-27 03:02:20 | ガンダムSEED DESTINY
ガンダムSEED DESTINYにおける「戦争」の位置づけをある程度明示することで、これまでよりもう一段踏み込んだテーマ性が見えてきたなぁと思いつつ、何か色んなことが面白すぎた第19話「見えない真実」。
今回だけで2連敗のルナマリアとかかなり良かった。
いやいや、そうじゃなくて(それもあるけど)やっぱり議長、彼は白なのか黒なのか、それとも灰色なのか。
やはり彼は視聴者に対して常に作中テーマに対して問題提起していくポジションなんですね(今回のレイの行動という問題も含めて(笑))。

■戦争を裏で操る者たち
これまで前作SEEDからずっと引き継がれてきたテーマの一つに「非戦をベースとした相互理解」というのがありましたが、これは他人と違っていることを前提として理解しあうことを目指していたわけで、この場合ブルコスやパトリック派のように理解拒否ベースの考え方とどう対抗していくか、というのがポイントでした。

これまでガンダムSEED DESTINYにおける「何故戦争は無くならないのか」という大きなテーマについて、サブテーマとして「非戦をベースとした相互理解」という視点(アークエンジェルサイド)と、「力によって救われる生命もある」という視点(ミネルバサイド)という風に考えてきました。
それが今回で言うところの

確かに、戦わないようにする事は大切だと思います。
でも、敵の脅威がある時は仕方ありません。戦うべき時には戦わないと。
何一つ、自分達すら守れません。
普通に・・・、平和に暮らしている人達は、守られるべきです。

しかし、そうやって、殺されたから殺して、殺したから殺されて、それでほんとに最後は平和になるのかと、以前言われた事があります。
私は、その時答える事ができませんでした。
そして、今もまだ、その答えを見つけられないまま・・・、また戦場にいます。


に凝縮されているんだと思うんです。
#このシーン良かったですね。特にアスラン。

しかし今回、3つめのサブテーマとしてそういった想いとは関係の無い世界「産業として戦争」という視点(広義の世界視点)を持ってきたということになりますね。

理解拒否ベースの人たちを助長する存在がいるとするならば?
信念や宗教、その他もろもろ人が持つ気持ちをマイナス方向に助長する存在がいるとするならば?
マイナス方向へ助長するその理由が「戦争の産業化」にあるとするならば?

こんな風に助長する存在がいるのでは「戦争」はいつまで経っても終わることはなく、実は本当に戦わなければならない存在がそうした世界の仕組みなんだ、しかしそれは憎しみや畏怖、その逆の相互理解といった人の気持ちに由来するところではなく、利潤追求を目的としている分、それを覆すのは非常に難しい、そういうことなんですね。
#第5話「癒えぬ傷痕」での「戦争は良いが、こういうのは(ユニウス・セブン落とし)困る」というロゴス幹部の発言はそういう伏線だったわけですね。
#またジブリールの苛立ちはブルコスはコーディネーター排斥を信念としているのに、そのバックに居るロゴス自体はコーディネーターの排斥を望んでいるわけではなく戦争の継続を望んでいたわけで、その気持ちの差が彼の苛立ちにあったのかもしれませんね。

戦争が無くならない理由というのは他にも色々あるとは思いますが、ガンダムSEED DESTINYではそういう捉え方をするということで理解しました。
#個人的には最近読んだ本の影響でいくと『イリヤの空 UFOの夏』で榎本がラスト付近で語った戦争の背景が納得って感じなんですけどね。

■じゃあ議長はどうなのよ?
分かりません(即答)。
ただ、議長自身はそういった3つのサブテーマがあるということは理解した上で行動をしているように思えるので、これは視聴者に対して最後まで問題提起をしていくポジションを貫くんではないかなとは思っているんです。
第3の視点に立てば、コーディネーターが殲滅されるシナリオは「戦争を産業化」しているロゴスから考えればそれほど良い策ではないし、ならそれに乗ることで緊張状態を維持することが共存の道と考えている、とも考えられます。

一つ言えるのは議長はチェスの駒を用意し、そのチェスゲームに勝つためには表面上はともかく手段を選ばない、そういうスタンスなんでしょうね。

つか議長、あんたその駒にどういう接し方してるんですか!?
目が全然笑ってないよ!!
#これはレイですらも場合によっては切り捨て対象と成り得るという伏線ですか?
#でもレイは甘んじて受入れちゃうとかね。
#タリアさんは今回のミーアの件も知っている感じなんで、たぶん離反は確定なんだろうな。

アスランは戦力・政治力だけじゃなくアークエンジェル(ラクス)の動向調査の駒でもあるんですね(そりゃそうだ)。
この辺、今回ミリィが出てきてて、本当のラクスを知る数少ない人物なんで、ジャーナリストとして真相に近付きそうですよね。
ミーアにインタビューとかいうシチュエーションがあったらこっちが緊張しそうです。
#真相に近付くとほら、危ないですから。
#これでラクス暗殺計画犯が議長以外にいて、それを察知して保護に回ろうとしていたとかいう話になったらぶったまげます。

とまあ、全体についてはこんな感じだったんですけど、個別にフォーカスすると

■ファントム・ペインに負けは許されねぇ
部隊の名前の由来と意味がリンクするとき、彼らの存在意義も明確になると思うのですが、やはり実験部隊なんで結果が残せなければ処分(廃棄)されるという意味なのかもしれないですね。
#だからこそファントム・ペインの連合離脱ってのは今回やってくれそうな気がしないでもないんですけどね。
#前作の3人では描ききれなかった(意図的に描かなかった?)お互いをそれなりに配慮している描写(今作では「絆」というワードも重要かなと)からも伺えますし。

ここで久々のステラたんですよ(ワーイ)。
これで(休暇になった)シンとの邂逅が再びあるという伏線が設定された気がしますが、シンはステラのこと覚えていたとしても、ステラは絶対シンのこと覚えていないです。
というのは、「ゆりかご」で「最適化」するって表現あったじゃないですか。
あれで「最適化」すると記憶を失うっていう設定があるんですね(ほんとに)。

ということは既に(もしステラたんがぶつかったという意識があったにせよ)、記憶は失われている可能性高いです。
たぶん、強化人間の情緒不安定性を克服するために、情緒が安定している状態にリセットする必要があって、そのリセットするところまでの記憶が消えるということなのかな。
この辺、インプリンティング(刷り込み)型の強化人間なのかな・・・。

ということはですよ。
記憶の忘却、これがステラのブロックワード「死」にもつながっている可能性が高くて、彼女自身も家族を惨殺されているとかそういう「絆」を断ち切られた状態にあるのかもしれないですね。
ということは同じ家族を惨殺されて「絆」を失ってしまったシンと共鳴するという展開はアリかなと。
#出会いのシチュエーションとしては、シンが会ったことあるよねとか声をかけるんだけど無視される、でも何故か話し始めてシンの家族の話とかになりそう。
こうなると、第1クールOP「ignited」の歌詞の内容がここにオーバーラップする気がしますね。
特に「壊れ合うから動けない 寂しい羽根重ねて」とか。

しかし、そこで記憶の忘却という設定があるんで、ステラは戦えば戦うほどシンとの記憶を失っていく、シンとの「絆」を失っていくという切ない展開があるんじゃないですかね?
#フォウ・・・(思い出し涙)。

とするとここで初めてシンは「戦わないこと」の意義について考え始めるんじゃないだろうか?
ちょっと妄想しすぎですか?

■ルナマリア、2連敗!!
最初の戦いは鷹姉妹の熱い戦いとなりました。
ああ、もうなんかメイリンに癒されました。
ステラたんがいないうちに僕の心はかなりメイリンに持っていかれている気がしてなりません。

次の戦いはミーア。ニセモノとは言え積極作戦に完敗です。
頑張れ、ルナマリア。
MS戦だけでなく、恋愛戦でも黒星が続いています。
「ルナマリアに負けは許されないわ」とか言って欲しいです。

この人のホーク姉妹の反省会、今回とても楽しみです。


今回声優としも出演されていた竹田Pですが、オフィシャルのコメントで、
人が深い思索を怠ってしまうことが、実は戦争そのものよりも、本当に危険なことだと僕は思います
と述べられているように、DESTINYという作品は明確な答えをすぐに提示する手法ではなくて、常に視聴者にその是非を問うスタイルを採用していて、僕個人としてはそういう作品が本当に好きなんで、制作サイドの皆さん素直に応援しております。

つか、西川さんの台詞はあれだけなんですか?