NHKTVの「ニュースウオッチ9」では今日も福島原発関連のニュースがトップだ。
東電原発事故賠償金の支援法が議会で成立したというニュースもあれば、酪農一家の中学生の暮らしを追ったルポ、さらに原発廃炉への長く困難な道のりについても取り上げていた。
アメリカのスリーマイル事故から32年、ウクライナのチェルノブイリ事故から25年が経過しているのだが、いずれの場合も完全な解決には未だ遠いのである。
廃炉にはまず溶けた燃料棒を原子炉から取り出す面倒な作業があるが、福島と同じメルトダウンを起こしたスリーマイルの場合には11年の時間が掛かっている。3基がメルトダウンした福島の作業が困難だというのは此処から見ても明らかなことだ。さらに、これまでに堆積した汚染廃棄物の処理も大問題で、原子炉から漏れ出した高濃度の汚染冷却水をどうするのかも頭の痛いところである。
そんな原発の問題、欧州でもニュースになっている。今日のドイチェヴェレには「アルメニアの原子力計画を周辺国は不安視」という記事がみつかる。
地震帯の上に位置するアルメニアで稼動しているのは、ソヴィエト時代の旧型の原発だが、2016年にはこのメッアモール原発を廃炉にし、同じ場所に新炉を建設する目論見だという。アルメニアは、ロシア以外でソヴィエト時代(1960年代製)の加圧水型原子炉を使う唯一の国。
地震の可能性が高い土地に建てられた原子炉という事実が、西欧各国の心配の種だ。この機会に原発中止を勧めたい西欧の思惑とは違って、アルメニア政府は原発開発に積極的なのだという。
1988年に襲ったM6.9の地震で一時は原発中止を考えた政府だが、隣国・アゼルバイジャン(トルコが支援する)との戦争によるエネルギー危機から、原発は存続して現在に至っている。2007年のデータでは、メッアモール原発の発電量は全国必要量の43%とほぼ半分。文字通りのライフラインなのである。残る半分強はグルジアとイランから輸入してくる天然ガス発電と自国の水力発電に拠る。
すでに、福島原発事故をケースに対地震安全度の確認を行い、7000万ユーロの資金で原発の安全対策を施しているから「地震帯の上にあっても大丈夫、安全だ」と原発関係者は強調している。「しかしVVER-440原子炉には放射能を防ぐ外殻が無く、冷却機能で無理な代替をさせる」というのが反対派の主張だ。2000年にはEU委員会は、原発中止の為に1億3800万ユーロの資金提供を申し出たことがあるが、アルメニア政府は不十分だとしてこれを蹴っている。
2016年以降に予定されている新炉はVVER-1000加圧水型で、現在のものの3倍のキャパシティを持つという。工事はアルメニアとロシアのJVで行われる建前だが、資金の多くはロシアが負担する計画のようだから、アルメニアにリスクを負わせてロシアが利益を得る結果にならないかと疑うものもあるようだ。
アルメニアの原発に反対するのは西欧諸国だけでなく、近隣のトルコ、グルジア、アゼルバイジャンも同様だ。こちらは政治的な理由もあってのことだろうか。
こうした反対力学に対処するため、すでにIAEAの検査も済ませ、「極端な課題は見当たらない」というお墨付きも頂いているというが、いわば原発擁護ラインといえるIAEAの認定では片手落ちだという考え方もあろう。ということでか、秋口にはEUの決めたパラメータによる「ストレステスト」も実施する計画と、対処に怠りはない。
福島事故を「他山の石」としながら、ロシアからもEUからも原発の運転資金協力を引き出し、生産された余剰電力は抗争のつづく周辺隣国へも売ろうと考える。コーカサス地方の小国・アルメニアはしたたかに且つしなやかに、原発推進の国策を推進しているようである。日本(政府)が遠いアルメニアに学ぶところは多そうだ。
東電原発事故賠償金の支援法が議会で成立したというニュースもあれば、酪農一家の中学生の暮らしを追ったルポ、さらに原発廃炉への長く困難な道のりについても取り上げていた。
アメリカのスリーマイル事故から32年、ウクライナのチェルノブイリ事故から25年が経過しているのだが、いずれの場合も完全な解決には未だ遠いのである。
廃炉にはまず溶けた燃料棒を原子炉から取り出す面倒な作業があるが、福島と同じメルトダウンを起こしたスリーマイルの場合には11年の時間が掛かっている。3基がメルトダウンした福島の作業が困難だというのは此処から見ても明らかなことだ。さらに、これまでに堆積した汚染廃棄物の処理も大問題で、原子炉から漏れ出した高濃度の汚染冷却水をどうするのかも頭の痛いところである。
そんな原発の問題、欧州でもニュースになっている。今日のドイチェヴェレには「アルメニアの原子力計画を周辺国は不安視」という記事がみつかる。
地震帯の上に位置するアルメニアで稼動しているのは、ソヴィエト時代の旧型の原発だが、2016年にはこのメッアモール原発を廃炉にし、同じ場所に新炉を建設する目論見だという。アルメニアは、ロシア以外でソヴィエト時代(1960年代製)の加圧水型原子炉を使う唯一の国。
地震の可能性が高い土地に建てられた原子炉という事実が、西欧各国の心配の種だ。この機会に原発中止を勧めたい西欧の思惑とは違って、アルメニア政府は原発開発に積極的なのだという。
1988年に襲ったM6.9の地震で一時は原発中止を考えた政府だが、隣国・アゼルバイジャン(トルコが支援する)との戦争によるエネルギー危機から、原発は存続して現在に至っている。2007年のデータでは、メッアモール原発の発電量は全国必要量の43%とほぼ半分。文字通りのライフラインなのである。残る半分強はグルジアとイランから輸入してくる天然ガス発電と自国の水力発電に拠る。
すでに、福島原発事故をケースに対地震安全度の確認を行い、7000万ユーロの資金で原発の安全対策を施しているから「地震帯の上にあっても大丈夫、安全だ」と原発関係者は強調している。「しかしVVER-440原子炉には放射能を防ぐ外殻が無く、冷却機能で無理な代替をさせる」というのが反対派の主張だ。2000年にはEU委員会は、原発中止の為に1億3800万ユーロの資金提供を申し出たことがあるが、アルメニア政府は不十分だとしてこれを蹴っている。
2016年以降に予定されている新炉はVVER-1000加圧水型で、現在のものの3倍のキャパシティを持つという。工事はアルメニアとロシアのJVで行われる建前だが、資金の多くはロシアが負担する計画のようだから、アルメニアにリスクを負わせてロシアが利益を得る結果にならないかと疑うものもあるようだ。
アルメニアの原発に反対するのは西欧諸国だけでなく、近隣のトルコ、グルジア、アゼルバイジャンも同様だ。こちらは政治的な理由もあってのことだろうか。
こうした反対力学に対処するため、すでにIAEAの検査も済ませ、「極端な課題は見当たらない」というお墨付きも頂いているというが、いわば原発擁護ラインといえるIAEAの認定では片手落ちだという考え方もあろう。ということでか、秋口にはEUの決めたパラメータによる「ストレステスト」も実施する計画と、対処に怠りはない。
福島事故を「他山の石」としながら、ロシアからもEUからも原発の運転資金協力を引き出し、生産された余剰電力は抗争のつづく周辺隣国へも売ろうと考える。コーカサス地方の小国・アルメニアはしたたかに且つしなやかに、原発推進の国策を推進しているようである。日本(政府)が遠いアルメニアに学ぶところは多そうだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます