5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

神の雫はどんな味?

2010-09-28 22:51:14 |  文化・芸術
ドイチェヴェレのポッドキャスト。今日はめずらしく日本に関するレポートである。題して「日本のマンガとフランスのヴィンテージワインとの共通項」。

フランス高級ワインが主題になったマンガ「神の雫」が人気を得て、日本と韓国のワイン狂がフランスのワインメーカーを踊らせているというものだ。

主題である12の「使徒ワイン」と13番目の「神の雫」に、マンガ作者はどんなヴィンテージワインを嵌めるのかが読者の楽しみにもなったのだが、ファイナルエピソードで明かされた13番目の「神の雫」ワインは「シャトー・ルピュイ2003年」であった。

ボルドーの田舎にあるパスカル・アモルーのワイン農園。400年を超える歴史を持った個人所有のワインメーカーだが、日本からの注文急増の理由を知って、このワインを市場に出さないことに決める。18ユーロの「シャトー・ルピュイ2003年」が、香港では1000ユーロで売り買いされるのは「スペキュラシオン」(投機)だというわけ。在庫はすべて常連顧客向けに限定した。

それでも、「電話で断ったのに、翌日には農園までやって来て、しつこく譲って欲しいというのに最後は根負けして2本渡すと、これを押し頂いてパリへ戻っていった日本人もいた。」というのはオーナーのパスカル・アモルー。

迷惑気味の「シャトー・ルピュイ」だが、このマンガの人気で、他のプランスワインの販売量がを押し上げられているのも事実のようだ。ワイン・コニサーを自認するマンガ作者は、年間にはかなりの数のワインを試飲すると云い、広範なワイン知識が「神の雫」のプロットに次々と埋め込まれてゆく。

「神の雫」をポケットに忍ばせ、マンガに出てきたヴィンテージワインを試そうと銀座のワインバーを訪れる日本人も多い。「シャトーモンペラ」というマイナーワインが紹介されるや、2日で50ケースが飛ぶように売れたと云い、こうした結果、東アジアではフランスワインの販売量が20%も伸びているという。

万歩途中で書店によってマンガ本を手にとってみようと出かけた。棚にあったのは講談社・モーニングKC版の「神の雫」第24巻。「メドック・マラソン編」、表紙帯には「フランスワイン・レビューでグランプリ受賞」「APV出版部門賞受賞」と麗々しい。

原作:亜樹直、作画:オキモト・シュウとあるが、若手の漫画家など、自分は誰も知らない。原作者のブログ頁の自己紹介には「講談社週刊モーニングでワイン漫画『神の雫』を執筆。これは姉弟共通のペンネームで、2人でユニットを組んで原作を描いている。」とある。3人4脚。いま流行りの分業スタイルというわけだ。

「立ち読み」を咎められることなく1冊分を流し読み。素人には難しい「フランス高級ワイン」を、初心者にも分かりやすい表現で楽に読ませる。「神の雫」は、韓国やフランスでも人気を得ているというが、専門的なワインを、ことさら専門的には描かなかったことが人気の出た所以だろうか。

DWレポートは、作者の亜樹直も、ボルドーのアモルーワイン農園に招待され、オーナーに歓迎を受けた。ここで出された1917年のヴィンテージ。作者は空瓶を大事に抱えて帰路についたと結んでいる。

バブル時代のヴィンテージワイン買い漁りとは違うようだが、一部の日本人の「欧州ブランド信仰」は対象を変えて今も続いているらしい。


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