5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

STUPID

2009-07-25 20:32:56 | コミュニケーション
「口禍」は麻生首相の特技だとおもっていたら、アメリカのオバマ大統領もご同様に《Stupid》の一言で週末のトップニュースを作ってしまった。《Stupid》なら日常的に使われる言葉だから、それ自体にはさほどの強い意味は無いのだろうが、発言者が大統領ということになれば話は別なのだ。

先週、マサチュセッツのケンブリッジで起こった家宅侵入誤認事件のこと。旅から帰った高名なアフリカ系アメリカ人のハーバード大学教授(ヘンリー・ゲイツ)が自宅玄関を開けられず鍵を壊そうとしているのを怪しがってなされた警察通報により、出向いた白人警察官が抵抗する大学教授を逮捕した事件について、不用意にも「ケンブリッジ警察の行動は《Stupid》だ」と発言してしまった大統領。そも民間の一事件に一国の大統領がコメントするというのも何かオカシイが、案の定、これが、存外の波紋を呼んでしまう。

事件に対する教授と警察官の言い分はまるで違っていて、「人種差別による過剰逮捕だ」とワメく教授と「公務執行妨害による正等逮捕だ」という警察官とは、どこまで行っても平行線だが、「教授の行動が少し常軌を逸していたのでは」という現場に居合わせた黒人警官の発言が気になる。

いわゆる「セレブ族」の高すぎる自尊心は、時として事件のカタチを変えてしまうこともあるのだ。今日は、例の全裸事件を起こしたSMAPのKが、なかば当然のように、地デジ推進キャンペーンに復活したニュースもあって、こっちの方も気持が引っかかった。

警察官の所属するケンブリッジの警察ユニオンは、「形容詞の使い方は正しかったが、使う相手を間違えた」「事件の詳細を確認せずに発言すべきでなかった」「大統領も知事も教授の友人であるのを認めたうえで、警察の行動を誹謗した」と指摘して、大統領とマサチュセッツ州のパトリック知事に謝罪を要求する一方で、自身も黒人のパトリック知事は「アフリカ系アメリカ人が今も直面する現実」「自宅でなら大声で喚いたとしても逮捕されるなどということはないはず」「自分にも人種プロファイル(犯罪性向人種別絞込み)の対象にされたことがある」など人種論争への誘導的発言を返すなど、《Stupid》の波紋が収まらないのを見た大統領が、結局、「違う言葉をつかえばよかった」と遺憾の意を表明したのだという。

警官と教授双方に直接電話するなど、大統領自身の拙速の発言には迅速の処理で事態収拾を行ったわけだ。ここらへんが、弁明調の我が首相とはちょっと違う。警官とヘンリー・ゲイツ教授を近くホワイトハウスに招待し、「一緒にビールを飲む」というリップサービスもおまけにつけた。

大統領を知人に持った黒人のセレブと白人の公務員。アメリカの人種問題は根が深い。

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