5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

雪形の農鳥

2017-05-14 21:36:43 | 自然
「富士山に農鳥現る」というNHKのローカルニュース。「ノウトリ」とは初めて聞く言葉だ。どんな鳥かと記事を読み進めば、鳥ではなく「雪形」だという。「ユキガタ」というのも初耳である。

記事にはこうある。『農鳥は、富士山の山梨県側で春先から初夏にかけて雪どけが進み、山肌に残った雪が鳥の姿に見えることから名付けられた雪形で、ふもとの地域では田植えの時期を告げるとされています』

斑になった残雪と地面が陰陽の鳥の格好を作るということか。農事に関係するから農鳥なわけだ。

麓から眺めた八合目辺の斜面に「農鳥を確認した」と富士吉田市が今朝発表したもの。桜の開花は気象庁だろうが、雪形は市役所がするのだ。「雪形担当」なんて仕事があるのだろうか。

ウィキを調べてみると南アルプスには農鳥岳という3000m級の山があるらしい。思った通り、その名の由来は、春に山頂東面に白鳥の形の残雪(雪形)が現れるためだとされている。

さらにしらべると雪形という名が一般的になったのは昭和になってからと新しいこと。それまでは地方の固有名が使われていたという。

雪形は山岳県の新潟と長野に多く見られ、岐阜以東のものがほとんどだ。それぞれ、農事暦自然暦として、田畑の仕事や漁を行う時期の目安に用いられてきた。

季節の移ろいによって姿を変えていく雪形は、この形で田植、この形で豆蒔き、この形で代掻きと言ったように農作業の目安になった訳で、富士吉田近辺の農家にも、農鳥伝承なんていうものが残っているのかもしれない。

〈今日の季語2632〉という個人のブログにこんな句を見つけた。

「雪形の農鳥飛んで時を告げ」



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