5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

夕ぐれの時はよい時

2013-07-17 21:51:19 |  文化・芸術
今日のTVも「熱中症」注意を叫んでいる。

特に都会で一人暮らしの老人の急死を取り上げていた。絶対数は少ないのだろうが、こうした孤独死予備軍がたくさんいるという証拠でもある。

「絆」とかなんとかいっていたものがすでにすっかり忘れられ、世の中はKYタイプの日本人ばかりがはびこっているようだ。暑さの中で年寄りが孤独に死んでも誰も気付かないのがそもそもおかしいではないか。

さて、そんな暑さのつづく夕方、落ちていく西日に向かって歩いた。

名古屋の街中は海岸には少しあっても伊勢湾を吹く風が停まる「夕凪」が起きるのだ。こうなるとヒートアイランド+西日直射+無風という三重苦が襲ってきて。文字通り「手も足も出ない」状態に陥る。

「旅三日夕凪地獄三日かな」

これは「季語集」の坪内稔典が引用した草間時彦の句。瀬戸内の夕凪にあって酷い思いをしたのだろうと書いている。広島に知り合いがいるが、昔、夏の広島を訪問した時にも、「手も足も出ない」状態になった。

坪内は、夕凪の蒸し暑さを嘆くのではなく、冷たいビールでも飲みながらこんな詩を口づさんでみたらどうだと奨める。その詩とは、堀口大学の「夕ぐれの時はよい時」。

夕ぐれの時はよい時、
かぎりなくやさしいひと時、

夕ぐれ時、
自然は人に安息をすすめるやうだ。
風は落ち、
ものの響きは絶え、
人は花の呼吸をきき得るやうな気がする。








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