5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

十万億土

2021-02-22 21:07:19 |  文化・芸術

我が家の超高齢者の葬式を行った。家族葬が売りの葬儀会場は、我が家からも斎場からも近く、春の陽気もあって家族の年寄たちには有難かった。

これまでは他所の葬式に呼ばれることばかりだったから、今回自分で段取りをしてみていろいろと勉強になった。

この数年間、超高齢者の身近で世話をしながら彼女の「衰え」の進行がよく観察できたのは「自分が棺桶に入るまでの予行演習のようなものだ」と思いながら、僧侶の眠そうな読経の声を聴いていた。

隣に座った甥も「暖かいからウトウトしてしまい、椅子から落ちるんじゃないかと気が気じゃなかった」と笑った。

骨揚げまでの待機時間中、話題に出るのはやはり昔の話ばかり。

お互い年齢差はあるのだが、各所で付き合ってきた人々の消息が我々共通の話材となった。東京暮らしが長かった故人の話はきのどくだがあまり出てこない。

デンバーの上空でエンジントラブルを起こした旅客機の話題をニュースが報じているが、浄土へ光速で飛行中の故人も「他人の噂どころじゃないわよ」と必死に頑張っているのかもしれない。

葬儀社の段取りよろしく、葬式と初七日と遺体焼却とがいっぺんに終わった。

帰りは少し早めの夕食を取る。タクシーの運転手が勧めてくれたうなぎ屋の特上うな丼のテイクアウト。濃いめのタレが三河人の口にあって結構CPは高いと思えた。

明日は一日ブレイクだが、明後日からは彼女の死後の手続きをせかされている。厄介な土地相続の課題もあって面倒はまだしばらくは続きそうだ。

 


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