5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

初春令月 気淑風和

2019-04-01 22:01:33 |  文化・芸術

新元号が決まった。「令和」だという。

街中で読売新聞の「新元号決まる」の号外が偶然手に入った。平成の時と同じように額に入れた「令和」の文字を掲げ持つ官房長官の写真が載っている。号外の内容を一部引用しておこう。

政府は1日、「平成」に代わる新元号を「令和」(れいわ)と決めた。新元号を定める政令を閣議決定した。政令は即日公布される。国内では645年の「大化」以降、248番目の元号となる。1か月後の5月1日に改元される。今回の改元は、4月30日の天皇陛下の退位と5月1日の皇太子さまの即位に伴うものだ。官房長官は新元号発表の記者会見で「令和」の典拠は「万葉集」であることを明らかにした。日本の古典からの引用は初めて。

NHKFMのニュースを手掛かりに典拠とされる万葉集の「梅花の宴」を探す。

奈良時代の初めころ、九州大宰府の長官だった大伴旅人の邸宅で開かれた宴席に集合した三十二人の歌人たちが詠んだ梅の歌への序文は漢文だが、それを読み下すとこうなる。

「時に初春の令月、気淑く風和ぐ。梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす」

初春のさわやかさを伝える内容で、「初春の月はすがすがしく、空気は快い。風はやわらかい。梅の花は、鏡の前のおしろいのように白い花を開いていて、らんの花は、後ろにかぐわしい香りを漂わせている」という意味だという。

はじめて日本の古典から採用した「令和」だというが、この序文は、中国六朝時代の書家王羲之の「蘭亭序」や同時代の詩文集「文選」を参考にしたのではないかという専門家の意見もあるというから、やはり中国古典の影響はあったのかもしれない。

梅の花で大宰府というのだから福岡のニュースはないかと探すと、やはりあった。NHK福岡局のものだ。

梅花の宴は、中国から渡来したばかりの珍しい梅の花を愛でようと、山上憶良を筆頭に大宰府の高官たちが旅人の邸に集まり、梅の花を題材に和歌を披露しあったというもの。

旅人の旧宅はどこにあったかには諸説あるらしいが、大宰府天満宮から2キロほどの南西にいった「坂本八幡宮」付近だという説があるという説明をNHKがしているから、天満宮と坂本八幡宮を巡る観光客がこれからぐっと増えることだろう。

流麗な序文から取られた「令和」であれば、「これからの時代、本当に美しく、調和が取れた時代になれるのではないかと思う」という郷土史家の望みどおりになっていけば結構なのだが。

「残りたる雪にまじれる梅の花 早くな散りそ雪は消ぬとも」



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