近頃は食べるものが総体に不味く感じる。歳を食ったせいというだけではなく、地球温暖化やF1という遺伝子組換食品を、あまり意識もせずに口にするからなのではないか。
スーパーの果物売り場、秋の味覚、ぶどうが並んでいる。今年もデラウエアを2度ほど食べたが、なぜか舌ざわりがザラリと悪い。それでいて甘さだけは極めて強いのだ。これも、種屋が人工的に作り上げた種を使っているのだろうか。旬の味に疑問を持てば、後の消費を控えることにつながる。
害虫や気候に強いF1種苗を使えば、いまどき、何処ででも野菜や果物が作れてしまうのはメリットというべきなのか。今日のNHK首都圏ニュースに「高層ビルの屋上で ブドウの収穫 東京港区」という放送があった。
WEB記事によると、港区の2赤坂溜池タワーというビルでは、地上100mの屋上庭園でポピュラーは「巨峰」を栽培し収穫しているとある。 ビル管理の森ビルによると、今年は長雨で日照不足が心配された為、栄養が木全体に行き渡るよう房の数を減らしてブドウの木全体に栄養が廻るようにと、風味を保つ工夫をしたという。
その結果「濃厚で美味しい」とあるが、これは自画自賛か。 地球温暖化防止には植樹が最も効果ありというニュースがあったが、ヒートアイランドが大きな問題になっている東京なら、無数にあるビルの屋上を緑化スペースとして考えることは、何も私企業の義務ではなく、公的組織が法制化して行うべき現状なのかもしれない。
ブドウといえば、今日の中日夕刊には「オール常滑ワインに酔う」という見出しで、常滑産のブドウを使い、常滑焼の甕でワインにし、常滑焼のポトルとカップで楽しもうという自家醸造家の取り組みを紹介している。
気温が高い知多半島ではブドウが育ちすぎるのだが、常滑焼の原料にもなる粘土質の土壌がブドウにストレスを与えて成長を抑制しているのではないかというのが醸造家の推論。素焼きの甕はヨーロッパでも古くから使われる。甕は外から酸素を取り込んで呼吸するためにワインの熟成が速く進むのだそうだ。
ワインの味は原料のブドウが育つ土地の土壌や気候が基になっているというのがフランス語でいう〈テロワール〉。常滑の醸造家の試みもこれを念頭にしたものだ。 しかし、本場のフランスではこの〈テロワール〉が微妙に変化し、醸造家たちは対応に苦慮しているてというニュースもある。
夏の猛暑による豪雨や乾燥が常態になりかけているワイン産地では、ブドウの品種も土壌も、その他の自然環境も歴史ある〈テロワール〉を自慢できる状態ではなくなりつつあるというのだ。
今日は長崎・佐賀・福岡といった北部九州で豪雨被害が出た。地元の野菜や果物も大きな損害を受けたことだろう。調べてみると、福岡は全国第5位のブドウ生産県なのだった。
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