5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

黄金色のドレス

2019-05-04 21:31:15 | Twitter

気温は27度を超えて今日もよく晴れた。遠くの空には白い雲がもくもく。夏の雲だ。暑苦しさを感じないのは湿度が低いせいだろう。

天皇陛下の即位を祝う「一般参賀」を朝のTVで中継していた。実年齢では還暦に近い陛下だが、受けるイメージを若く感じるのがやはり世代の違いということだろうか。印象的だったのは陛下の隣に立った皇后さまのドレスの色だ。「勝負服」だと思った。

TVで見ると金色に輝いて見えるが、アナウンサーは緑の入った黄色だという表現をした。絹の素材だろうから光の反射で黄色が黄金色に見えたのだろうが、衆人の注目する色合いを選んだ皇后さまのファッションセンスに唸った。宮殿ヴェランダに並んだ妃殿下たちのドレスとは違っている。

美しい黄金の光沢を見ながらすぐに連想したのが、「天皇のみに許された黄色」に染めあげた黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)という束帯装束のことだ。4月30日に行われた宮中儀式「退位礼当日賢所大前儀」で平成天皇が着用されていたもの。

黄櫨はハゼノキのこと。櫨の樹皮と蘇芳から染め出される色で、TVでは赤みのかかった黄色に見えた。古来の染色の所為か、派手ではないが、じつに高貴な色だなあとこちらにも感心したものである。

「葉柳や盥のきぬの浅みどり」

とは泉鏡花の初夏の句である。柳の青と着物の浅みどりが映じあっている。色彩の対象がいいとは「文人たちの句境」の関森勝夫の言だ。

涼し気な水をいっぱい満たした盥に浅みどり色の着物の布地が浸けてある。丸洗いをすることはなかったろうから、洗濯のためにほどいたものなのだろう。この着物を身につける主の、若く美しい姿が想像できそうだと関森は書いている。

皇后さまのドレスから、初夏の日本の色彩の美しさを感じた一日だった。





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