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テスは、自分の呼びかけに答えてくれたスタッフに感謝しました。
緊急手術が始まりました。
その途中、ソッカンが手術室に入って来ました。
ハン候補の手術は、この後、行われることになったと言いました。
そして、続けました。
「パク先生ご苦労様。これが君の最後の手術になる。」
一瞬、皆の動きが止まりました。
「ただでは済まないと分かってたはずだ。理事長の判断だ。」
不安が現実のものになりそうで、皆、動揺しました。憤りも感じていました。
スヨンが手術を代わると言いました。
ソッカンと話をしてきた方が良いと。
スタッフもそう言いました。テスは背中を押されるように、手術室を出ました。
ソッカンは、患者の事しか頭に無いのかとテスを叱りました。そのせいで、同僚たちまで首になるところだったのだからと。
でも、テスにとっては患者が最優先なのです。
「病院にとっても患者は生き残るのに必要な存在にすぎない。その現実がまだ分からないのか?」
と、ソッカン。
「それなら、現実を変えます。」
とは言うものの、今のテスには、そんな力はありません。テスのやり方はテサンでは受け入れられず、テスがいないと急患は行き場を失うと、ソッカン。
「では、何故私を呼び戻したのですか?」
と、テスが聞きました。USBの送り主はソッカンでは?・・・と。
ソッカン、認めました。
もしかしたら、ソッカンはテスに自分を止めてほしかったの 一緒に現実を変えたかったの
将来の多くの子供たちを救うため、今は目をつむって最短距離を行こうとしているの
「テサンに残りたかったら、ハン候補の手術に入れ。」
と、ソッカンは言いました。
入れるの?・・・と思ったら、既にソッカンはヒョニルに対して手を打っていましたね。
元補佐官の手術が死亡することを期待しての物だったとテスが知ったと言ったのです。このままテスを追い出したら、その秘密が公になってしまう恐れがありました。
だから、渋々、テスを手術スタッフとしなくてはいけなかったのです。
スヨンはヒョニルに今回のやり方を抗議しました。
テサンのためだったとヒョニルは言いました。
「父なら反対したはずです。」
と、スヨン。
それを聞いたヒョニルは気分を害しました。
テサンをここまで大きくしたのは、自分だと言いました。そして、とうとうソッカンの娘の検査データを改ざんしたことをばらしましたよ。
「それがなければ、今頃お前は存在していない。パク先生の母親も心臓を奪われたりしていない。」
ショックでした。
ヒョニルは決してスヨンを切ろうとは思っていません。ソッカンとテスはいずれ追い出すつもりだから、黙っていろと言いました。
スヨンはソッカンに父親のデータ改ざんの件を黙っていた理由を聞きました。
話しても何も変わらない・・・とソッカン。
ソッカンはこの事が切っ掛けで、進む道を誤ってしまったとスヨンは感じました。
「私が手伝います。目的を成すには過程も大切です。叔父と手を組まないでください。叔父は小児心臓センターを絶対に作りませんよ。利用されるだけだと教授も分かってるでしょう。私が叔父と闘えるよう力を貸してください。」
スヨンが口にしたのは、ハン候補の元補佐官の一件でした。ソッカンなら知っているだろうと。
ソン教授の担当しているガン患者が予想以上に病状が悪いと判明しました。
手術を始めてから、転移が見つかったのです。
手の施しようが無くて、そのまま閉じてしまうしかありませんでした。
外科医とすると、悔しくてやりきれない思いがするようです。
患者には中学生の息子がいました。翌日に迫っている修学旅行を十分楽しませてやりたいと思った患者は、その状況を息子には内緒にしていてくれとソン教授に頼みました。
ソン教授も、テスやスタッフも了解しました。
ところが、ヒョニルがこの患者に難癖をつけたのです。
ヒョニルは病院の経営を厳しく管理し始めました。利益の上がらない科には発破をかけました。その最たるものが、心臓外科。
で、長期入院中の患者を退院させようとしたのです。
退院勧告をしているのに、居心地が良いからとずるずると居続ける不届きな患者もいます。
そういう患者に対しては、ク・ヒドンもビシバシと行動しました。
しかし、流石に、集中治療室にいるような患者まで追い出すような事は、外科医として出来かねました。
なのに、ヒョニルは集中治療室までチェックし、ソン教授の患者の回復が見込めないと知ると、即刻ホスピスに転院させろと命令しました。
が、息子は修学旅行中。
ヒョニルは、ク・ヒドンに、何とかしろと厳しく命じました。
自分の責任を問われると思うと、ヒドンもやらざるを得なくなっちゃって・・・。
でも、そこにドンジュンが口を挟みました。
自分の経験から、母親としての気持ちを考えろと父に意見したのです。
ドンジュン、本当に良い子だよね。いい意味のボンボンだわ。
スヨンは元補佐官の遺族に会いました。
元補佐官の娘は、手術直後、ソッカンから話を聞いていました。
すべき手術ではなかったとソッカンは言ったのです。
スヨンは、ソッカンが危険を十分認識していて、それでも救いたいと思って手術したと知りました。
父の死に何か?と娘が聞きました。
「誰かが無理に手術を受けさせたのかも。おそらく、一番身近な人かと。」
スヨンはそう言いました。
ソッカンは、ヒョニルに小児心臓センターの設立の確約を求めました。
口約束では・・・ねぇ。
でも、ヒョニルは今のままで十分だろうと言いました。計画は順調に進む筈だということでしょうね。
ソッカンに移殖の待機者名簿を渡しました。
その中の誰かのための心臓を横取りしようって魂胆ね
「1回やってるから手はずは分かるだろ。」
と、ヒョニル。
何て言い方をするんでしょうね
「移殖さえ成功すれば、望むものが手に入るんだ。」
その言葉を信じるしか、ソッカンはありませんでした。
スヨンは元補佐官の娘に会ったとソッカンに言いました。
真実を知りたいからと。
「でも、真実を知るのは、教授だけです。真実を明かす時が来たら私に話してください。」
スヨンはテスに相談しました。
ハン候補は、おそらく心臓移植をするつもりだろうと。その時、またソッカンは選択を迫られるかもしれないと。
「手伝いたいの。これ以上道を外れて戻れなくなる前に。」
と、スヨンは言いました。
ソン教授の患者の容体が急変しました。
テスたちの処置でなんとか最悪の状態は脱しました。
しかし、翌日、息子が修学旅行から戻ってきたら、ホスピスに転院させることになっているし、使用している高額な薬も支払いが困難だと思われるので、使用禁止になってしまってまして・・・。
ヒョニルの指示だと聞き、ソン教授も激怒しました。
テスは、ソッカンにこの状況を報告。
以前のソッカンなら、絶対にヒョニルに抗議していたはずだと言いました。
以前ならな・・・とソッカンも認めました。
そして、ハン候補の一件で、自分にしたような事をまたするつもりなのかと言いました。今でも苦しんでいるじゃないかと。
「ユビンが知る父親の姿とは違う筈。」
そして、スヨンが、ソッカンを助けたいと言っていると告げました。
「私も協力します。止めてほしいから私を呼び戻したのでしょう?」
真っ直ぐなテスの目が嬉しかったでしょうね、ソッカン。
翌日、ヒョニルがソン教授の患者を強制的に転院させようとしました。
何と、別れた元夫まで探し出して、転院許可の書類にサインさせたようです。
ヒョニルは何としても、この場所を空ける必要があったのです。
財閥会長の手術が入っているからでした。
それは緊急性は無いとスヨン。
でも、ソッカンが来て言いました。海外出張が控えているからと。
「命より重要だと?」
「時には。」
この言葉に、その場にいた者たちはあっけにとられました。ヒョニル以外は・・・です。
テスやスヨンまで加わって、移送させろ、させないで揉めてる最中、息子が来ました。
患者の目が一瞬開いて、息子を見ました。
でも、直後に心臓が止まりました。
心臓マッサージを始めたテス。
なのに、ヒョニルが冷たく言い放ちましたよ。
「うちの斎場を使えばいいでしょう。」
おいっですよね。
患者は書面で蘇生処置を拒否してます、死亡宣告を・・・とヒョニル。
命じられたク・ヒドンは、流石に躊躇しました。
それを見たヒョニルは、次にソッカンに命じたのです。
「死亡宣告をして、ベッドを空けさせなさい。」
必死にマッサージを続けるテスは、ソッカンを悲壮な表情で見ました。
周囲の皆が、息をのんでソッカンの出方を注視していました。