UO回想2 ~ サクラ大戦(1) ~

2007-12-06 20:32:49 | UO回想編

UO回想シリーズ 前回分
はじめに ~ UOについて ~
UO回想1 ~ KDKの歩み ~



UOにおいて日本シャード(サーバー)は8つあり、その中でSakuraシャードは最後にできた日本シャードである。 創設は2002年10月。
今でこそSakuraも創設から5年が経つが、当時は最新シャードということで新規の人が選択しやすく、
UOが盛り上がっていた当時は実際に新規流入が多かった為に初心者用シャードという認識を皆が持っていた。
しかし、その創生期は、初心者用シャードというにはあまりにも混沌とした幕開けであり、今でも語られる歴史を紡ぐんだ。
今回は創生期のお話。


当時は混沌としていたが、今になっても、その頃こそがSakuraが最も盛り上がっていた時期だったとする人もいる。
あの時ほど大規模に盛り上がった事件は他に見当たらないし、それにこの最大のイベントはGMが一切介入していない。
勃発させたのも拡大させたのも、悪になったのも正義として持ち上げられたのも、
この数ヶ月に渡る事件で戦った大勢の誰もが、敵も味方も、同じUOプレイヤーだった。
何がどう動いて発展するにも、誰かの意思によって行われたのだ。

「連合」と「組合」と呼ばれた両陣営が利権を争って戦い、後に「連盟」も加わったこの戦争は、
Sakuraが創設された初期から一年近く、03年8月か9月ごろまで及んだ。
俺も組合陣営として参戦しており、連盟にも関わった。
だから立派に当事者の一人ではあるが、俺がSakuraに来たのは03年1月であり、戦いに本格参戦したのは3月か4月ごろだ。
だからそれ以前のことは何も知らない。 正確な勃発時期さえ知らない。
連合や組合の成立の過程とかも知らないし、また連合内部や連盟内部の詳しい事情も知らない。
なのでそこらへんは省いて、偏った描写や印象もあると思われるが、
それらも含めて、一当事者の視点から当時のことをこれから振り返ろうと思う。


この大戦は、当時導入されてさほど間もないパワースクロールを巡る戦いだった。
パワースクロール(通称PS)はPvP可能世界であるフェルッカにいくつか存在するPSエリアだけで入手することができ、
通常UOのキャラのスキルは100が上限だが、PSを使うことにより120まで上げることができるようになる、重要アイテム。
PSにも種類があり、魔法や剣術などの重要スキルが対象のPSは非常に高額であり、
反対にあまり人気がないスキルのPSはゴミ扱いされたりする。
普段フェルッカに行かない平和世界トラメルの住民にとってもPSは欠かせないものであり、取引や行商での需要は尽きないものだった。

このPSを取るためにはPSエリアでたくさんのモンスターを倒し、PSボスを出現させそれを倒さなければならない。
そしてPSボスを倒して得れるPSは合計6枚までで、"徳システム"というものを使うと合計12枚、
ボスを倒すのに貢献したプレイヤーたちの中からランダムで配られる。
このPSシステムが導入された頃はボスを倒すために見知らぬプレイヤー同士が共闘したものだが、次第に、
一度に出る枚数が決まってるなら身内だけでボスを倒してPSを独占したほうがおいしくね?というギルドが主流になっていった。
この手のギルドはPSギルドと呼ばれ、PSギルドによっては、他人がPSエリアに入ってきたら独占する為に排除するギルドもあった。
またPSギルドを襲ってPSを略奪するPKギルドも多数あった為に、PSギルドは自衛力としてのPvP技術が求められた。


連合とはいわばPSギルドの大規模な集合体で、連合と組合の戦争もPSを巡る戦いだった。
連合は他シャードでの大手PSギルドやPKギルドが手を組み、新設シャードであるSakuraに集団で移住。
圧倒的な人数でSakuraフェルッカのPSエリアの全てを常時監視、どこかのギルドがPSを進めようものなら、
ボスが出る直前にその武力でPSエリアを制圧しPSを略奪する組織だった。
これだけなら普通のPKギルドでもよくやる手法だが、連合はそれを大規模に組織的に行った為に、
Sakuraシャードでは文字通り「連合関係者以外がPSを自力で入手できない」という異常な状況に陥った。
新設シャードSakuraにはろくにPKKギルドも存在しなかった為に、連合の武力に対抗できるギルドも組織もなかったのだ。
結果どうなったか。

SakuraのPSの供給のほとんどが連合によって行われたために、全体的に物価が急高騰、
PSの取引も連合関係者の言い値で買うしかなかった。
これによりPSエリアが制圧云々なんて殺し合いの話は通常フェルッカ内だけのものだが、
トラメル住民にとってもまるで他人事では無くなった。
PSの供給が制限され取引価格が高騰し、それでうまい汁を吸うのは連合関係者以外にはいなかった。
連合の主要人物である某Lは、この期間にリアルマネー80万円稼いだと公言し話題になった。

連合に申し立てをしないと一般人はPSを入手できない。
このような状況は言うまでもなく異常そのものであり、どのシャードでも見られなかった現象である。

連合主要ギルドは他シャードからの移民で熟練したPvP集団であったこと、
Sakuraが新設されたばかりのシャードで現地に有力なPvPギルドやPKKが存在しなかったこと、
連合に屈し連合側についた方が利口でおいしいと判断したギルドが連合に取り込まれていったこと。
また、別の機会に詳しく述べるが、連合は自らが優位に立てるように様々な工作を行っていた。(派閥軍馬の独占・取引BBS運営など)
これらが重なり、数ヶ月以上という長期間に渡って、Sakuraは経済的に連合に実質支配されたようなものだった。
(まぁPSも何も知らないような初心者や僻地に住んでる田舎者とかは、このような状況を知らない人もいたと思うが)


しかし、次第に連合と同じようにこっちもギルド同士が結託して集団でPSとろうぜ!!という勢力も現れた。
それが「PS組合」であり、主要ギルドは893・SFG・CASなどであった。
PSを取るということは、それはすなわちPSエリアに必ず襲撃に来る連合を撃退するということであり、
次第に情勢は連合vs組合の武力闘争の色を濃く帯びていった。
(ロング前など、PSエリアとは無関係の場所でも大規模な衝突が起こることもあった。)

このような連合の圧倒的支配と、組合という対抗勢力。
そして両陣営間で繰り広げられた闘争は各UO関係BBSや2chなどでも大きな話題になった。
他シャード住民でもこの異常状況に興味を示す人は多く、連合という巨悪な組織の存在を羨ましがるやつさえいた。
そして誰が最初に呼んだか、某ヲタゲーに倣って、いつしかこの戦争は
サクラ大戦と呼ばれるようになっていった。






以上、サクラ大戦の概要を説明しました。
第三勢力である連盟の登場はもっと後期になります。
次回から、この大戦においての我がKDKの参戦、そして印象的なエピソードを語ろうと思います。


続き UO回想2 ~ サクラ大戦(2) ~



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13 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2007-12-06 21:37:43
1 get
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Unknown (Unknown)
2007-12-06 23:45:38

UOをやったこともないけど、すごくわかりやすいし読んでいて面白い。

ゆっきぃの文才に嫉妬
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Unknown (Unknown)
2007-12-07 00:03:00
ついにKDKの幕開けが語られるわけですね
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Unknown (Unknown)
2007-12-07 06:01:12
当時でそこまで面白い大規模対人戦があったら誰だって移住してみたくなるわなぁ~



商人達のクーデターは無いのか!
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Unknown (Unknown)
2007-12-07 11:20:15
これ見てたら何故かエースコンバットゼロ思い出した
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Unknown (Unknown)
2007-12-07 13:50:48
大和大戦(1999.3)と違ってPvPerのみでなく、全てを巻き込んでの抗争ってのが面白いね。
利害から生じる対立ってのは熱いっすな
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Unknown (bou)
2007-12-07 22:27:08
おもしろかた
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Unknown (石波書店)
2007-12-09 02:07:35
こ、これは・・・・書籍化決定っっ!
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Unknown (Unknown)
2007-12-09 22:51:14
このブログを見ている人がUO始めてくれるといいなあ

ここ数年酷かったけど、徐々に良くなってきてると思う
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Unknown (tokumei)
2007-12-10 16:25:58
前回のKDKの歩みから読ませてもらってます。
読んでいてワクワクしてきます。
ホントおもしろい!
ゲーム製作者が用意したストーリー以上のストーリーをユーザー同士が作っているわけですよね。
次回のKDKのアクションが気になって仕方ありません!
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