アメリカの戦争テレビドラマシリーズ、「ザ・パシフィック(The Pacific)」を観た。
想像以上にとても良かった。
これはスティーブン・スピルバーグとトム・ハンクスのアメリカ映画界を代表する軍ヲタコンビが製作した戦争ドラマで、
戦争映画「プライベート・ライアン」や、同じく戦争テレビドラマ「バンド・オブ・ブラザース」など、
このコンビが過去に製作した戦争物は名作揃いなことから、今作のクオリティーもある程度保証されていたので、
安心して観始めたけども期待以上に良いものだった。
前作のバンド・オブ・ブラザースは欧州戦線のアメリカ陸軍第101空挺師団をモデルにしていたけど、
今作のザ・パシフィックは太平洋戦線のアメリカ海兵隊、第1海兵師団にスポットを当てている。
全10話構成で、実際に従軍していた数人の人物にスポットライトを当てて、
各々のエピソードや史実を再現しているのはバンド・オブ・ブラザースと同じ。
要するに完全にバンド・オブ・ブラザースの太平洋戦線版だ。
太平洋戦線ということは、今作の舞台は南国の青い海と空、
そして深緑のジャングル、敵は日本軍である。
だから我々日本人が観ると微妙に複雑な気分になるかもしれないが、
まあ史実とはいえドラマはドラマ、映像作品として楽しむのが正解だし、
あの戦争がどういうものだったかと考えてみるのも大切なことだと思う。
またプロパガンダ的に日本人だけが悪という描かれ方はしておらず、
必死の玉砕攻撃である万歳突撃や、捕虜となっても手榴弾で自爆するなどのステレオ的な描写もあるが、
米兵も瀕死の日本兵をいたぶって弄んだり、日本兵の死体を陵辱したり、無抵抗の日本人を笑いながら殺したりなど、
きれいな景色とは裏腹に両軍ともに蔓延していた戦争の狂気が描写されている。
第1海兵師団は激戦地を渡り歩いた有名な師団で、ガダルカナル、ペリリュー、沖縄などが作中で描写されている。
また途中で少しだけ第5海兵師団にスポットが移るエピソードがあり、そこだけ硫黄島の戦いが描かれたりもする。
(第1海兵師団は硫黄島には派遣されていない。)
ガダルカナルでの日本軍の作戦は一木支隊による白兵攻撃が有名であり、
作中でも第1話だか2話だかで一木支隊が登場し、
米軍が河川を境界に敷いた防衛陣に総白兵攻撃をかける戦いが再現されている。
またこのガダルカナルのエピソードでは、海兵隊員が山上から夜間海戦を目撃し、
爆発炎上している艦を日本艦隊だと思って大喜びするシーンがあった。
この夜間海戦は第一次ソロモン海戦であり、日本海軍の巡洋艦隊が米上陸艦隊に夜間突撃を敢行したもので、
日本艦隊側はこれを生還できぬ特攻作戦との覚悟で臨んだが、
米艦隊は突撃してくる日本艦隊を味方艦だと誤認したりして一方的に打ちのめされた海戦である。
米上陸艦隊はこの攻撃で大損害を被り一時撤退するハメになる。
翌朝、海兵隊員たちは味方艦がいなくなった砂浜を見て呆然と立ち尽くし、
昨夜やられていた艦は敵ではなく味方だったのだと悟る、
このエピソードが印象的だった。
欧州戦線と違い、太平洋戦線では小さな島々を巡る戦いである。
ゆえに戦場は絶海の孤島であり、制海権が何よりも重要で、
敵艦隊に封鎖されてしまえば食料や弾薬などの補給が届かない。
そのような孤立した閉鎖的空間だからか、狂気が蔓延しやすいのか、
ペリリュー島でのエピソードでは徐々に隊員たちが狂っていく様子が描写されている。
総括的に言えば、前作バンド・オブ・ブラザースでは英雄を描いたのに対し、
今作ザ・パシフィックでは一兵卒を描いたという感じで、
戦闘シーンを見てると誰がいつ死んでもおかしくなく緊張感がある。
(前作もそういう部分はあるし今作でも英雄的なエピソードはあるが、全体のイメージとして。)
そしてどちらかというと明るい雰囲気だった前作に比べ、今作は陰惨さや狂気が強調されている。
景色的にはどこまでも突き抜ける青空と大洋、美しいサンセットなのに、
広大すぎる海ゆえに閉鎖的で、画面的には美しいのにどこか暗さを感じさせる。
戦闘シーンは前作よりも激しさが増しており、本当にいつどこで登場人物が死ぬかわからない。
この戦場で生き残るのは実力や経験ではなく、運が全てだなと思わせられて、
こんないつまで生きていられるかもわからない戦場に明日も明後日もいるのかという登場人物たちの絶望感が伝わってくる。
そして戦友同士の絆、勲章など、男なら誰でも憧れ感動するエピソードもあり、
期待してた以上によくできた作品で、バンド・オブ・ブラザース以上に面白かった。
役者も音楽も素晴らしい、戦争映画が好きなら文句なしに見て欲しい作品である。
↓ザ・パシフィックの素晴らしい音楽とオープニング映像。
The Pacific Intro
65年前の太平洋戦争時、日本人と殺し合ったアメリカ海兵隊は、
2011年3月11日、あの大震災に際して「トモダチ作戦」を発動し、日本への復興・救助活動に従事した。
このまま両国が再び戦うことなく、協力関係が続くことを願いたい。
そうだね。
やっぱり戦うのは人間だから、精神ってのは、
戦闘の勝敗そのものを左右するほどの影響があると思う。
いつも楽しい記事を拝見してます。
パシフィックって、あのバンド・オブ・ブラザーズと同じようなドラマだったのですね。
DVDが出たら是非とも観たいです!
。。。と、ふと検索してみたらもう出てたのですね!
バンド・オブ・ブラザーズと同じように何度も観返すことになりそうですw
いつもブログ見てくれてありがとう!
そうだね、製作スタイルはまるっきり同じ感じ。
戦線が違うので、内容や雰囲気はだいぶ変化があるけどね。
BoBが好きなら間違いなく観るべき作品だ!
後日に感想でも教えてくれよ!
DVDとしてはよかったですが、日本人としては最悪です。
なので、とても人間味に溢れた作品になったと思います。
ちなみに「硫黄島からの手紙」では日本側の最前線の兵士たちの心情が表されています。こちらもお国のためと言うよりも、生き延びる為…、家族の為…といった感じになっています。
戦争経験者といわれる人の大多数は兵卒で、その多くが「戦争は酷いものだ」と言うのも少し解るような気がします。
あと、このドラマってフィクションではありません(まあ、全てがリアルとは言えませんが)。ドラマはドラマだという認識よりは一つのドキュメンタリーを見る認識が良いと思います。とにかく、このドラマは面白かったです。
住民に紛れて日本兵が乱射するってのは?
それってテロリストだったり中華のやり方だったり…
まあ#9の後半ちろッと見ただけだけどね
パシフィック・・・。
日本はアメリカと戦争をしたくなかった。
しかし、
開戦しなくてはならない状況に、
アメリカに追い込まれる。
そして、
真珠湾攻撃を
「奇襲」に持ち込ませ、
戦時中は、民間人に対しても、
容赦無い攻撃をおこなう。
最後は、
自分たちの「正義」をカサに、
敗戦国日本を「悪」にしたて、
A級B級C級戦犯なるものを
でっちあげて、
勝手に裁きやがる!
しかも、
「日本は戦争で悪いことをした」
なんて、
戦後、間違った教育をしやがって!!
同じ日本人が、
日本の為に、
日本人の為に、
生きて、
戦い、
死んでいった、
その行為を侮辱するなと言いたい。
パシフィック・・・愚作。