戦争映画『フューリー』感想!

2014-12-06 03:50:21 | 戦争映画

久々に戦争映画を語ろうかな。
俺は映画は一人で観たい人なので、普段は映画館に行かないんだけど、
今回の作品は早く観たかったので、メディアの発売を待ちきれなくて行ってしまいました。

この時期に上映しているもので俺が関心を抱きそうなタイトル。
このブログ読者ならわかるよね。
2014年11月28日公開、主演ブラッド・ピットの『フューリー』(原題:Fury)について。

最新作につき具体的なネタバレは無いのでご安心ください。




1945年4月、第二次世界大戦も末期の西部戦線に於いて、アメリカ軍のある戦車兵たちの戦いを描いた映画。
ブラッド・ピット主演の第二次世界大戦映画といえば、過去にはタランティーノ監督の『イングロリアス・バスターズ』がある。
イングロリアス・バスターズもとても面白くて、クラン員のpesくんとずっと語り合うほどなので、
今回のフューリーも楽しみすぎて実はほとんどあらすじ調べずに観に行った。
少しの内容も知りたくなくて、予告編すら見ないという、セルフ情報統制をしていったのだ。


そしていざ鑑賞してみると・・・お、重い!!
なにが重いって、映像が、空気が、作品が、テーマが!
イングロリアス・バスターズは緊張感がありながらもギャグテイストも多く、
笑えるシーンも多かったりして、多少軽快なブラピも見れたもんだけど、
全く事前情報なしで観に行ったので少しはそういうノリがあるかなと思ったら、
笑い要素一切なしのかなりガチの重厚かつ陰鬱とした戦争映画でした。

痛快さも爽快さもなくただただ陰惨な殺し合いの場面が続く、(褒め言葉)
こういった方面の戦争映画って久々な気がする。
プライベート・ライアンと戦場のピアニストを混ぜた感じ。

第二次世界大戦末期のドイツ総火の玉の時期なので、
ドイツ国内の混乱、少年兵たち、武装SSの乱暴狼藉、
そして米兵の武装SSに対する憎悪などはよく描かれてた。


ティーガー戦車の実物が稼働していることと、
パンツァーファウストがたくさん出てくるので、
ドイツ兵器や戦車が好きな人は絶対に見るべき映画。

全体的にはデティールにこだわっててとてもリアルなんだけど、ほんの一部に変な描写もある。
ティーガー戦車1輌に対してシャーマン戦車4輌で挑む場面があるけど、
当時の戦車戦で行進間射撃は稀なことと、ティーガー側の戦術が明らかにおかしいこと。
あとパンツァーファウストを被弾した戦車の被害状況にも違和感を抱く場面がある。
が、どれもまあ映画展開上の都合というところかな。
ティーガー1輌に対してシャーマン4輌、という当時から言われてることを再現してたのは良かったと思う。
あとティーガー側の戦術がおかしかった反面、シャーマン側の戦術は的確だった。

クライマックスのエピソードは史実の戦車の逸話、"街道上の怪物"をモチーフにしてたね。
東部戦線に於いてソ連軍のKV-2重戦車が足回りをやられて街道上で停止するも、
その場で踏みとどまって押し寄せるドイツ軍を撃破しまくり、
単騎で丸1日もドイツ軍師団の進撃をその場に食い止めたという。
その最期まで再現されてたから、あの結末なんだろう。
そういった史実のエピソードがあるということを知らない人から見れば、
これもまた叩きのやり玉に上げられそうなシーンではあったけども。


そして各レビューを見るとこの映画の特に終盤の展開を見て米軍のヒロイックやドラマ性を感じ、
安易にアメリカ万歳映画に捉える人もいるようだけど・・・。
映画全体を通して俺は真逆の印象を受けた。
米兵の暴力性・残虐性、戦場は人を狂わせるということが強調されてたように思う。


さて・・・。
実は彼女と観に行ったのだけど、戦争映画とはいえブラピだし大丈夫かと思ったら、
予想以上に陰惨でグロいシーンばっかりだった上に、救いもなければ、
エンディングには第二次世界大戦中に実際に記録された戦闘動画が流れる重々しい演出でトドメときた。

ということで終わった後に彼女の顔を見ると・・・なんか泣いてた
寝てるかドン引きしてるかどっちかかと思ったのに予想外の反応。
戦時中の悲惨な状況に自分たちを重ねてたらしい。
「SSって何の略?」
「銃弾ってあんなに光るの?」
「ドイツの戦車はアメリカの戦車より強いの?」

とかの話題で少し盛り上がった(はず)し、もし軍事に詳しくなくても、
事前知識さえ仕入れていけばデートにも使える映画ということが実証されたね!