航空自衛隊F-X、F-35を採用か

2009-11-23 20:12:04 | 軍事ネタ

次期戦闘機にF35採用へ、40機購入で調整 防衛省
http://www.afpbb.com/article/politics/2666846/4949346

F-35戦闘機

えええええええええええええええ!!!
まーーーじーーーーーかーーーーーーーーーーーーーー!!!!!


かねてより航空自衛隊は次期主力戦闘機を選定していた・・ってのは、
数年前からよくニュースになってたので軍事オタクじゃなくても知ってる人も多いだろうけど、
まさかここにきてF-35に決まるとはー!

まぁF-35以外に選択肢はないのだけども、こうして現実になってみるとあヴぁヴぁヴぁがあああああああ
興奮っ冷め、や、ら、ぬ!!
うおっほおおおおおおおおお!!


今回の内容とはあまり関係のない画像

・・・ふぅ。
綾瀬はるかはかわいい。
落ち着きました。


しかし、今回の記事を見ると、ふむ。(賢者モード)
40機程の調達予定なのか。
少なく感じるなぁ。

元々今回の選定は、老朽化による退役が迫っているF-4戦闘機 の後継機の選定である。
現在稼動しているF-4 は2個飛行団のみであり、1個飛行団につき20機が定数であるから、
2個飛行団分のF-4 をそのままF-35 に置き換えるならば数的にはぴったしなんだけど・・・
通常は予備とかで多めに調達するのが常識である。
40機ぴったしだと・・・

まぁ実際に調達するのは数年後になるから、調達数も若干変わってくるかと思うけど、
40機ちょうどだったとしたら、もしかして1個飛行団を減らす可能性もある・・・?とか勘ぐっちゃいます。


元々航空自衛隊は今回の選定ではF-22ラプター戦闘機 を強く要求していたことはご存知の方も多いと思いますが、
F-22 は既存の戦闘機相手ならば恐らくどのような機種相手でも圧倒的勝利を収め得る、
自他共に認める世界最高の戦闘能力を有する戦闘機なのです。
まさに戦闘機界の高島彩といったところ。

つまり、そんな多大なる軍事力を他国に輸出するのか?とアメリカ国内で疑問が呈されたことと、
同じ時期に自衛隊がらみの機密漏洩事件が立て続けに発覚したこともあって、
アメリカ議会がF-22 の日本への輸出を承認しなかった。
それで仕方なく今回のF-35 ですね。


空自のF-4EJ改F-22ラプター

はてさて、とりあえずは前向きにF-35 を採用するメリットでも考察してみましょう。

現状、この世にはステルス戦闘機は2機種しか存在していないのです。
それはF-22 と今回のF-35 。
つまり、F-22 の他に存在する唯一のステルス戦闘機である点は、大きなメリットであるといえます。

現代の航空戦では、視界外の遠距離からレーダーで捕捉し長距離ミサイルを発射する戦闘が主流であり、(BVR戦闘といわれる)
そんな戦いの中では、レーダーから捕捉されにくくするステルス技術は圧倒的に有意なのです。
こちらからはステルス機を捕捉できないのに、あちらからは一方的にロックオンされミサイルを放たれる。
F-22 との模擬空戦を体験したF-15戦闘機 のパイロットは、
「まるで見えないボクサーに一方的に殴られているようだ」
とわかりやすいコメントを残しています。

ステルス戦闘機というものがいかに現代の航空戦においてアドバンテージとなるかは、ここです。
そしてF-35 もステルス性能という面においては、F-22 と同等のものがあるということです。
つまり、F-35 は運動性能ではF-22 やその他最新戦闘機に劣るとしても、非ステルス機に対しては圧倒的な戦闘能力を発揮する可能性があるということ。


空戦専門機としての趣が濃いF-22 と比較して、F-35 は対地攻撃能力にも重点がおかれた何でも屋です。
そもそもF-35 そのものの開発趣旨がここ、「何でも屋」ということに尽きる。

あらゆる機種の戦闘機を同時に運用していると、色々なコストがかさんでくるものです。
メンテだの、部品だの、搭乗員だの、施設だの。
またひとつのものをたくさん製造すると一つ辺りのコストが下がる量産効果も、単価が高い戦闘機では大きな影響があります。
なので可能な限り少ない機種をたくさん調達したほうが、あらゆる面での効率がいいわけで。

米軍はここらへんの最適化をF-35 に求めました。
簡単に言っちゃうと、米軍は F-16戦闘機 ・F/A-18艦上戦闘機 ・A-10攻撃機 ・AV-8B艦上攻撃機 辺りの四機種が受け持つ任務を全て一機種に統合できないかと。
ということで、F-35 の計画名は統合打撃戦闘機=JSF(Joint Strike Fighter) ともいいます。

JSF計画の結果、F-35 はステルス性能を有する戦闘機であり、対地攻撃能力も攻撃機並に存分にあり、
空母からの運用もでき、垂直離陸能力(VTOL能力)も有し、かつ低コストであってくれ(願望)という戦闘機になりました。
ただその要求の多さから、開発が難航し開発費も高騰した結果、機体の調達コストも高くなってしまうのではないかという懸念もあり、
元々F-22 の廉価版として計画していたのに、「もしかしてF-22 より高くなってしまうのではないか?」 と本気で心配されてしまうぐらいのデスマーチっぷりです。

まぁ要するにF-35 は対地攻撃能力も一般に優れた戦闘機です。
退役する航空自衛隊のF-4 も対地攻撃能力に優れた機体であるので、
F-35 でF-4 の任務をそのまま引き継ぐことが可能であるというメリットがあるのです。


空自のF-15J戦闘機

しかし、F-35 にも欠点はあります。
上記のデスマーチっぷりはともかくとして、機体設計上の欠点がある点も考慮せねばなりません。

まず鈍足であること。
F-35 は最高速度がマッハ1.7前後とされており、これは他に航空自衛隊に配備されている戦闘機、
例えばF-15戦闘機F-2戦闘機 はおろか、退役するF-4戦闘機 ですらもマッハ2を超える速度を出せるという点です。
その中にあっては足が遅いという印象を抱かざるを得ないし、また戦闘機にとってはむしろ最高速度よりも加速性能のほうが重要なのですが、
加速性能もやはり特別良いという評判を聞くことがないのです。

航空自衛隊の主任務である要撃任務においては優れた加速性能・最高速度からくる機動性は重視され得るものだし、
この点でF-35 は要撃機として向いているのか?といわれれば疑問符をつけざるを得ないのです。


また、もう一つよく言われる欠点については、武装の少なさです。
ステルス性能というのは、機体の表面に突起が少なく滑らかなシルエットのほうが発揮できるとされています。
なのでステルス機は通常、機内格納庫にミサイルや爆弾などの武装を搭載し、
他の戦闘機のように機体下部や翼下に武装をぶらさげたりしていてはステルス性能が大幅に低下することになってしまうのです。

F-35 の場合、機内格納庫にはAIM-120アムラーム中距離空対空ミサイル を4発搭載できますが、それだけです。
つまり、他の戦闘機の場合は、通常AIM-120 の他にAIM-9サイドワインダー短距離空対空ミサイル を装備して近接戦闘に備えますが、
F-35 ではステルス機ゆえか、近接距離でのドッグファイト能力は完全に捨て去っているというわけです。
また、攻撃機として2000lb爆弾 を2発搭載すると、AIM-120 は2発しか搭載できません。
(ちなみにF-22 の場合は、AIM-120 を6発とAIM-9 を2発という対空兵装をとることができます。)

一応AIM-9 は翼下に搭載できるし、他の兵装も翼下などにたくさん搭載することはできますが、
その場合ステルス能力は捨て去ることと同義であり、そうなるとただの鈍足戦闘機でしかありません。
航空優勢下での対地攻撃任務では有りでしょうが、日本上空の防衛戦でそういう機会が多くあるかどうか。

近接距離でのドッグファイト能力を有しないF-35 の要撃任務は、
敵機に向かってステルス性能で忍び寄り、遠距離からAIM-120ミサイル をばらまいて逃げる。
といったような感じになるでしょう。
ある種F-14トムキャット戦闘機 に通じる部分があるけど、F-14 と違うのはステルスと鈍足なことですね。


あとは政治的な問題。
F-35 は国際共同開発機です。
アメリカの他に、イギリスやオランダ、イタリアやオーストラリアなどの国々が出資し開発されている機体であるわけで、
当然、F-35 の開発計画に出資していない日本に実際に機体が配備されるのは上記の国々よりも後回しにされることになります。
つまり、日本にF-35 実機が到着するのは少なくとも2014年以降だと見られており、老朽化の進んだF-4 の寿命がそれまで持つかどうか。
日本がF-22 にこだわりつづけ、F-35 を敬遠してきたのはこの点も大きな理由の一つだということ。


空自のF-2支援戦闘機

まあ、航空自衛隊としてはベストだったのはやはりF-22 だったわけですが、それが叶わなかった以上、
代替案としてのF-35 採用は最良の策であるし、それしかなかったわけです。
なので多少の不向きな点があるのは致し方ないことで、それと引き換えにしてもステルス機であるというアドバンテージは非常に大きなものです。

現在航空自衛隊には、F-15戦闘機 が202機。
F-2支援戦闘機 が約80機配備されています。
ここにF-35 が40機加わる日が楽しみ。


これからのF-X(次期主力戦闘機選定計画) 動向には注目していきたいですね。