ピーナッツの唄

毎日の出来事や、スポーツ観戦、読書や映画等の感想を中心に、好奇心旺盛に書いています。

村上海賊の娘

2014-04-24 16:28:52 | 読書
今年の本屋大賞に選ばれた和田竜著「村上海賊の娘」を読み終えた。安芸の国と伊予の国に挟まれた瀬戸内に君臨した能島、因島、来島の3家の海賊と、難波海淡輪に根城置く真鍋海賊の凄まじい戦いを描いている。これは大坂本願寺攻めを目論む織田信長と、本願寺に肩入れする毛利藩との戦いでもあった。

ここに瀬戸内海賊の首領格の能島村上の2番目の娘「景」(キョウ)が登場する。この娘の出で立ち容貌を説明するくだりを読んでいると、鬼さへ逃げ出すのではないかと思える程に勇ましい。ある日大坂本願寺に合力に向かう一向宗徒を乗せた船が暴徒に乗っ取られて航行している。それに気が付いた「景」はその船を援ける事に。

そして船に乗っていた源爺と留吉の頼みで、「景」は大坂難波浦まで航行を援けることにする。まさに大坂では本願寺を攻める織田信長の軍勢が優勢を極めている。その織田信長に合力する鍋島海賊の首領「鍋島七五三兵衛」との出会いがあったが、無事一向宗徒を本願寺側に送り届ける。

その後、毛利方が本願寺側に10万石の兵糧を届け支援することになる。1000艙の船で難波浦に向かうが、織田方と本願寺側との睨み合いが続き、結局は毛利方は淡路島から撤退する。しかし同行していた「景」はそれを不満として単身で本願寺に身を投じている留吉を援けるべく、難波浦に引き返して戦う覚悟を決める。

それを見た村上海賊側一行は、急遽「景」を援ける為に難波浦に引き返して、ここに「木津川合戦」と伝えられる壮絶な海上戦を引き起こすことになる。最後に「景」と「鍋島七五三兵衛」が延々と死闘を繰り広げるが。辛うじて「景」が生き残る。

やがて大坂本願寺は織田信長の軍門に下るが、一向宗徒の宗教心と信仰の為に死をさへ恐れない結束の固さが浮き彫りになる小説になっている。

とにかく面白い。本屋大賞の受賞も成程と頷けるものである。

                     
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする