前任校の同僚であった岡田行雄・熊本大学教授の編著である『非行少年のためにつながろう!: 少年事件における連携を考える』(現代人文社)を御恵与いただいた。
http://www.genjin.jp/book/b280853.html
お礼代わりに、読後の感想を述べさせていただこうと思う。
岡田教授は少年法の専門家であるが、非行少年の社会での受け入れと、それを目的とした関係者の連携や協力の実現の研究に近年は注力されているようである。以前には廣田邦義氏との共著で『再非行少年を見捨てるな 試験観察からの再生を目指して』も刊行されているが、今回は、虞犯事案を含めた少年犯罪を起こしてしまった少年を社会で受け入れるために努力されているさまざまな立場の方々との共著となっている。
私自身の反省点として、本書を読んで、少年犯罪は、何らかの発達障害や知的障害等が引き金になっている場合も少なくないということに気づかされた。私がいま利用している駅の近くには、神奈川県最初の県立知的障害養護学校として設置された養護学校があるので、時折、養護学校の生徒たちを駅や電車の中でで見かけることがある。この生徒たちが少年犯罪を引き起こしてしまうということは、およそ私の想像の範囲外であったが、本書では放火という大きな罪を犯してしまった背景に発達障害があったという事例が取り上げられている。
また、いわゆる非行少年をガソリンスタンドの従業員として受け入れてきた北九州の会社経営者への岡田教授によるインタビューの章もある。さまざまな苦労談から、少年の「更正」は一筋縄には行かないということが察せられるが、インタビューを受けている経営者の人間を信じるという姿勢が特に印象に残る章である。
その他はぜひ本書をお読みいただきたいが、最後に特筆しておきたいのは、本書は岡田教授ご自身と、非行少年の社会での受け入れを目指して努力している関係者との信頼関係の上に成り立っているであろう、ということである。
その上で、非行少年を孤立させないためには、関係者を孤立させないこともまた重要であり、そのコミュニティをいかに形成維持していくかということが大きな課題になっているようにも思われた。
http://www.genjin.jp/book/b280853.html
お礼代わりに、読後の感想を述べさせていただこうと思う。
岡田教授は少年法の専門家であるが、非行少年の社会での受け入れと、それを目的とした関係者の連携や協力の実現の研究に近年は注力されているようである。以前には廣田邦義氏との共著で『再非行少年を見捨てるな 試験観察からの再生を目指して』も刊行されているが、今回は、虞犯事案を含めた少年犯罪を起こしてしまった少年を社会で受け入れるために努力されているさまざまな立場の方々との共著となっている。
私自身の反省点として、本書を読んで、少年犯罪は、何らかの発達障害や知的障害等が引き金になっている場合も少なくないということに気づかされた。私がいま利用している駅の近くには、神奈川県最初の県立知的障害養護学校として設置された養護学校があるので、時折、養護学校の生徒たちを駅や電車の中でで見かけることがある。この生徒たちが少年犯罪を引き起こしてしまうということは、およそ私の想像の範囲外であったが、本書では放火という大きな罪を犯してしまった背景に発達障害があったという事例が取り上げられている。
また、いわゆる非行少年をガソリンスタンドの従業員として受け入れてきた北九州の会社経営者への岡田教授によるインタビューの章もある。さまざまな苦労談から、少年の「更正」は一筋縄には行かないということが察せられるが、インタビューを受けている経営者の人間を信じるという姿勢が特に印象に残る章である。
その他はぜひ本書をお読みいただきたいが、最後に特筆しておきたいのは、本書は岡田教授ご自身と、非行少年の社会での受け入れを目指して努力している関係者との信頼関係の上に成り立っているであろう、ということである。
その上で、非行少年を孤立させないためには、関係者を孤立させないこともまた重要であり、そのコミュニティをいかに形成維持していくかということが大きな課題になっているようにも思われた。