Harumichi Yuasa's Blog

明治大学専門職大学院ガバナンス研究科(公共政策大学院)教授・湯淺墾道のウェブサイトです

シンポジウム「様々な人と組織から情報セキュリティを考える」

2012年07月26日 | 情報法
中央大学研究開発機構、一般財団法人 マルチメディア振興センター、特定非営利活動法人 デジタル・フォレンジック研究会の主催で、9月8日(土)にシンポジウム「様々な人と組織から情報セキュリティを考える」が開催されます。

参加申し込みは、下記のページから。
http://www.fmmc.or.jp/0908symposium/07.html

プログラム

9:30 受付開始
10:00~10:25 開会講演 辻井 重男
10:25~10:50 公益的活動(1)一般財団法人 マルチメディア振興センター 専務理事 浅見 訓男
10:50~11:15 公益的活動(2)独立行政法人 情報処理推進機構 理事
仲田 雄作
11:15~11:40 人材育成の視点から 今後求められる人材像―CTF は人材育成の切り札になるか? サイバー大学 准教授 園田 道夫
11:40~12:05 人材育成の視点から 情報セキュリティ大学院大学 教授 湯淺 墾道
12:05~13:10 昼食
13:10~13:35 研究者と学協会の視点から 東京電機大学 教授 日本セキュリティ・マネジメント学会 会長 NPOデジタル・フォレンジック研究会 会長 佐々木 良一
13:35~14:00 行政の視点から 内閣官房情報セキュリティセンター 副センター長 占部 浩一郎
14:00~14:25 情報セキュリティ経営の視点から BDTI(Board Director Training Institute)理事 情報セキュリティ大学院大学前学長 林 紘一郎
14:25~14:50 ユーザー企業の視点から 株式会社 トヨタIT開発センター 研究部 シニアリサーチャー 小熊 寿
14:50~15:10 休憩
15:10~15:35 研究プロジェクトの視点から 経済産業省「情報セキュリティ対策促進事業」 プロジェクト・リーダー 中央大学研究開発機構 教授 土居 範久
15:40~17:30 パネル討論―今急がれるセキュリティ対策
土居 範久
山碕 良志
上村 昌博
佐々木 良一
堀江 正之
園田 道夫
上沼 紫野
17:30~17:50 総括・閉会挨拶 辻井 重男
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大連大学・信息工程学院一行が来学

2012年07月22日 | 情報法
大連大学信息工程学院・陳連山教授、大連大学図書館館長・趙植武教授、大連大学信息工程学院・郭宝霖教授が、情報セキュリティ大学院大学を訪問されました。
日曜日なので学生・教職員はほとんど誰もいなかったのですが、学内を見学していただき、その後ホテルキャメロットジャパン「桂川」で昼食を摂りながら、今後の学生・研究者の交流について懇談しました。





この「桂川」ですが、ビルの6階に日本庭園があり、外国人のお客をお連れすると喜ばれる店です。
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モンゴルの電子投票 III

2012年07月21日 | 選挙制度
モンゴルの電子投票については、資料が少なくて、情報収集に苦労しているが、EVS(電子投票普及協業組合)代表理事の宮川龍一郎さんがtwitter上でモンゴルから取り寄せた現地紙について寄稿しておられるのが非常に参考になった。

いろいろと調べてみると、投票の流れは次のようになっているようだ。
1 指紋照合をして本人確認
2 個別に仕切られた投票スペースで、マークシートの投票用紙にマーク
3 選挙人本人がマークシートを光学式読み取り器にかける
4 その後、本人がマークシート投票用紙を投票箱に投入
5 選挙人は投票所から退出

このため、光学式読み取り器にかけた時点で一枚づつOCRするのだと思われるが、そこでVVPATのようなものが発行されるのか、有権者による読み取り結果の確認手順があるのかどうかは不明。
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神奈川県における緊急財政対策に対する中間意見(案)雑感

2012年07月19日 | 自治体
以前から報じられていたが、昨日、第3回神奈川県緊急財政対策本部調査会が開催され、「神奈川県における緊急財政対策に対する中間意見(案)」が提示された。

県有施設の原則全廃など盛る 神奈川臨調が中間取りまとめ
http://sankei.jp.msn.com/region/news/120718/kng12071820260021-n1.htm

内容を抜き出してみると、次のようになる。

(1) 県有施設について
ア 「原則全廃」の視点による見直しの断行
イ 施設種別ごとの見直しの観点
(ア) 県民利用施設
a 当初の設置目的が薄れている施設は廃止
b 利用実績が低下している施設は廃止
c 利用実態等から県による運営の必然性に欠ける施設は廃止
(イ) 出先機関
a 行政機関
「ゼロベースで検討し、それにより生み出された施設・用地は積極的に売却すべき」
b その他(公の施設、試験研究機関等)
「県民利用施設と同様に設置目的や利用実績、利用実態等から、その必要性を検証すべき」、「試験研究機関については、県としての役割を明確にし、必要性がある場合は統合や独立行政法人化」
(ウ) 社会福祉施設
「施設運営のあり方を精査し、民間活力の更なる導入の可能性について、考えていくべき」
(エ) 県営住宅
「セーフティネットとしての住宅供給機能は認められる」が、「維持管理に多額のコストを要する施設を「保有」するという現在の仕組みは思い切って見直」し、「民間賃貸住宅を借り上げる方式や家賃補助方式などへの転換を推進」

(2) 補助金・負担金について
ア 「一時凍結」のうえ抜本的見直し
イ 見直しの観点
(ア) 団体補助・市町村補助共通
a 長期にわたり運用されている補助金の原則廃止
b 少額補助金の原則廃止
(イ) 団体補助
a 私学助成は別の課題として検討
「団体補助金760億円のうち、445億円が教育分野の補助金であり、かつ、そのほとんどが私学助成に係るものである」が、「教育行政の根幹に係るテーマを内包する課題でもあることから、本調査会での議論の対象とはしない」
b 運営費補助の廃止
(ウ) 市町村補助
a 市町村と協調した見直し
「県が補助金を廃止した場合にあっても、直接市町村民へのサービスを提供する立場の市町村は、何らかの形で事業を継続せざるを得ない場合も想定される。県が補助金を廃止する場合は、市町村も足並みを揃えて、事業そのものを廃止」
b 権限移譲に伴う補助金の廃止
c 市町村との十分な調整
(エ) 負担金
「県の厳しい財政状況を考慮し、既存の負担協定そのものを改めて点検」

(3) 教育のあり方について
イ 参考意見
(ア) 地方に負担を強いる法令や国の制度
(イ) 公立高等学校と私立高等学校との関係
「一般に、公立高等学校を維持するよりも、その分を私学助成に回す方が行財政運営上は県費負担が軽減される」が、「依然として公立志向も高い中、単に財政論的な観点のみでなく、神奈川県における公立学校と私立学校との協調と役割分担をどのように考えるか、慎重に検討」
(ウ) 幼児教育・保育の一元化

(4) 人件費について
ア 大幅な人件費削減を
「県の一般会計予算の約40%、7,500億円を人件費が占め」、「義務的経費による財政構造の硬直化が進展している中、人件費もまた聖域ではな」く、「平成24年度の政策的経費はおよそ3,000億円に過ぎず、仮にこれまでに述べた補助金等の見直しを断行し、施設の売却益を得たとしても、単年度の財源創出効果は限定的」なので、「人件費の大幅な削減に踏み切るべき」
「法令等で職員定数が定められている教員や警察官にあっても、県単独の上積み分については、その必要性を厳しく検証」
イ バランスのとれた人件費削減対策
「給与水準の引き下げと、人員削減によるものが考えられるが、それらの適切な選択、及び組み合わせ」
「抜本的な業務の見直し・効率化や出先機関の統廃合などを通じた組織の大胆な見直しにより、採用抑制等を通じた人員削減に努めるとともに、それでも財源捻出が困難と認められる場合に、給与削減に踏み込む」


県有施設の原則全廃の部分が注目されているが、人件費の削減も主眼となっていることがわかる。
しかし、あえて批判的にコメントするならば、県有施設の原則全廃や補助金の全面的見直しなど、政策経費の削減については「断行」「聖域ではない」などの言葉が踊っているわりには、人件費の具体的な削減方法については奥歯にものが挟まっているという印象である。
「県の一般会計予算の約40%、7,500億円を人件費が占め」、「義務的経費による財政構造の硬直化が進展している中、人件費もまた聖域ではな」く、「平成24年度の政策的経費はおよそ3,000億円に過ぎず、仮にこれまでに述べた補助金等の見直しを断行し、施設の売却益を得たとしても、単年度の財源創出効果は限定的」なので、「人件費の大幅な削減に踏み切るべき」といっているわりには、人件費の大幅な削減の具体的手法が示されていない。それどころか、給与水準の引き下げには非常に慎重であり、「採用抑制等を通じた人員削減」が示されている程度である。
結局、県本体の職員の人件費については採用抑制で人件費削減を図り、いわゆる外郭団体や各種の団体に公共サービスの提供を委ねている部分を「原則全廃」して大幅に経費をカットするという本丸温存型の人件費削減策となっているという見方もできるのではないか。
人件費の問題は、誰でも踏み込みたくないところではある。本人と家族の生活がかかっているのだから、特に雇用問題は避けて通りたいのは、当たり前である。が、それにあえて踏み込むことができるのは、外部の人間にしかできない特権のようなものであろう。そういう意味では、やや物足りない中間意見になっているという印象を受けた。


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お知らせ 情報セキュリティ大学院大学 夏休み暗号理論入門講座「ペアリング暗号入門」

2012年07月18日 | 情報法
いま暗号の世界では、楕円曲線とその上のペアリングと呼ばれる写像が、つぎつぎと先端的な暗号技術を生み出しています。なぜ、楕円曲線やペアリングが暗号と結びつくのでしょうか。そこにはどのような数学的トリックが働いているのでしょうか。ペアリングはどのような新たな暗号技術を生み出しているのでしょうか。本講座では、IDベース暗号や属性ベース暗号を題材に、ペアリングが切り開く先端的な暗号技術の世界を垣間見ます。(前提知識:モジュロ演算や行列など代数の初歩。数式は使います。)
※ 本講座は、文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(平成23年~平成25年)の支援を受けています。

日時 2012年8月10日(金) 13:00-16:10
対象者 高校生・高専生・専門学校生・大学生・大学院生
受講料 無料
定員 20名(先着順)
会場 情報セキュリティ大学院大学
(横浜市神奈川区鶴屋町2-14-1 横浜駅きた西口より徒歩1分)

講義概要

■13:00-14:30
講  師:有田 正剛(本学教授)
タイトル:「ペアリングと暗号」
概  要:楕円曲線とその上のペアリングについて要点を学び、それらが暗号を構成する上でどのようにうまく働くのか、基本的な様子を観察します。

■14:40-16:10
講  師:土井洋(本学教授)
タイトル:「IDベース暗号とその拡張」
概  要:復号者のIDを暗号化時の鍵として利用できる「IDベース暗号」がペアリングによって実現される仕組みを解説します。また、IDベース暗号の拡張である属性ベース暗号についても紹介します。

※受講者は筆記用具と学生証を持参してください。

申込み方法

【夏休み暗号理論入門講座「ペアリング暗号入門」申込み】フォームより必要事項を入力の上、お申込みください。

また、FAX・お電話でのお申込みの場合は「氏名・連絡先電話番号・E-mailアドレス・学校名・学年」をお伝えください。
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コモンズと地方自治 ―財産区の過去・現在・未来―

2012年07月18日 | 自治体
財産区とは、法律学小辞典では「特別地方公共団体の一種。市町村及び特別区の一部で財産をもち若しくは公の施設を設けているもの。市制・町村制の施行当時からあるものと,市町村合併の際に設けられたものとがある。そのもっている財産や公の施設の管理又は処分の権限だけをもつ。」と説明されている。

都道府県や市町村のような普通地方公共団体では無いが、立派な地方公共団体なのである。ところが、財産区が全国にいくつ存在しているかという点については、意外なことに正確なデータが無いらしい。
本書は全国のすべての都道府県と市町村にアンケート調査を行い、100パーセント近い自治体から回答を得て、それに基づいて全国の財産区の一覧を掲載している。
データとしても非常に貴重な本だと思われる。

http://www.amazon.co.jp/dp/4889652094

なお本書を一読して驚いたのは、電話やはがきなどで再三アンケートへの回答を依頼したのに、財産区についての回答を拒んだ自治体があったらしいこと。地方自治法に基づき設置されている特別地方公共団体の数や概要を明らかにすることに、いったいどのような法律上の問題があるというのか。
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個人情報の保護に関する法律第5条

2012年07月15日 | 情報法
ウエストロー・ジャパンが、LC CLUBというサービスを始めた。
これは、研究者や弁護士などがWikipediaと同様なやり方で条文のコンメンタールをWeb上で作成し、公開するというもので、今のところ個人情報保護法と民法についての作業が始まった段階である。

私は個人情報保護法の5条、11~13条を担当することになっており、とりあえず5条をアップロードした。

個人情報保護法 第5条

本条の論点は、「地方公共団体」の範囲(特別地方公共団体が含まれるか)、全国画一的に個人情報保護措置を講じるのではなく、地域の特色に応じた対応を地方公共団体が行う余地が認められているか(特に、区域内の民間事業者に対して地方公共団体が独自の規制を行うことの是非)である。
詳しくは、上記のリンクをご参照いただきたい。
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最近の瀬谷駅周辺

2012年07月14日 | 自治体
瀬谷駅南口の線路沿いに、ドラッグストア「クリエイト」がオープンした。





瀬谷駅では、改良工事が続いている。





プラットフォームの下というのは、このようになっている。ブロック積だったとは知らなかった。



瀬谷名店街に面していた「酒のスパーク」が取り壊され、跡地は広い駐車場になった。



名店街からちょっと入った路地の店。インド料理屋、蕎麦屋、定食屋などがあり、昼時はけっこうお客が入っている。
そういえばこのあたりに以前「伊藤かずえショップアンジェラス」という店があった。女優の伊藤かずえさんのお母さんがやっているブティックだという話だった。


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モンゴルの電子投票 II

2012年07月11日 | 情報法
モンゴルの電子投票は、マークシート方式で行われたと報じられている。

BBCのサイトに写真があった。
この写真だけでは小さくて判別できないが、投票箱にスキャナが内蔵されており、マークシートを投票箱に投入すると自動的に読み取るというロシア方式の電子投票機を採用しているのではないかと思われる。

http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-18621555
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モンゴルの電子投票

2012年07月11日 | 選挙制度
久々に電子投票関係のニュース。

6月28日に実施されたモンゴルの総選挙で、電子投票が導入された。
しかし、集計の過程で技術的問題が生じており、与党のモンゴル人民党他の政党は電子投票は憲法違反であるとの訴えを起こす予定であるという。

http://www.channelnewsasia.com/stories/afp_world/view/1210831/1/.html
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放送大学ラジオゲスト出演

2012年07月06日 | 情報法
 本日、放送大学大学院のラジオ番組にゲスト出演します。

7月6日(金)
16:45 情報学の新展開(’12)
第13回 情報と政治
担当講師:指宿 信(成城大学教授)

 前半は指宿先生の講義で、後半に指宿先生との対談形式で出演します。
 インターネットでも聴くことができるそうです。
http://radiko.jp/

※科目のシラバス
http://www.ouj.ac.jp/hp/kamoku/H24/daigakuin/B/bunka/s_8970025.html
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「おこしやす」

2012年07月06日 | 食事
瀬谷名店街からちょっと外れたところにある「おこしやす」という店。
今年からランチを始めたそうだ。このほかに味噌汁と香の物もつき、500円とはびっくり。

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最近食べたもの

2012年07月01日 | 食事
瀬谷駅南口の名店街にある「中華三十一番」。
名店街もすっかり寂れているが、このお店のラーメンやサンマーメンはおいしい。





これも名店街の中のお店である「たかぎ屋」。
看板には「おそば」と書いてあるが、今は蕎麦は出していないようだ。サンマーメンとチャーハンの定食が600円。





下関市にある一般財団法人関門海技協会の評議員をつとめているが、評議員会の後の懇親会で、「あらかぶ」という店に連れていっていただいた。
ここでいただいた「獺祭」という日本酒は、今非常にブームになっているという。











これは、飛行機の機内で食べた「空弁」。「トンポー蒸篭」というもので、味付ゆで玉子と豚の角煮が入っている珍しい中華の空弁。機内で食べるのにはちょうどいい分量。



北九州・祇園商店街の「朝日屋食堂」のちゃんぽん。
お隣の「つやちゃん」と同じ女将さんが経営しているお店。


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韓国の性衝動薬物治療法に関する検討

2012年07月01日 | Weblog
土曜日は午前中の飛行機で北九州空港に飛び、九州法学会(於:北九州市立大学)に参加した。主な目的は、神山智美氏(九州国際大学)の「災害時要援護者支援制度における情報収集・情報共有と個人情報保護」を聞くことだったが、美蘭氏の「韓国の性衝動薬物治療法に関する検討」という発表も興味深かった。

韓国では近年、性暴力犯罪が増加しており、2001年から2010年までにほぼ倍増(年間約2万件)という。これに比例して児童を対象とする性犯罪も増加し、これもほぼ倍増した。
これに対する対策として、性犯罪者の身上情報公開制度及び位置情報公開制度と、常習的な性犯罪者に対する性衝動薬物治療法という3つの制度が導入された。常習的な性犯罪者に対する性衝動薬物治療法とは、常習的な性犯罪者に対して、強制的にホルモンを抑制する薬物を投与することを裁判所が命令する手続について規定する法律である。
ホルモンを抑制する薬物治療というのは、要するに性欲を抑えるということらしい。
欧米でこの種の目的で最初使われた薬物はエストロゲンであるが、副作用もあるので、近時はMPA、CPA、デポプロベラ等が用いられているそうだ。韓国で用いようとしているのは、性腺刺激ホルモン放出ホルモン拮抗薬という薬物だという。
この法律の制定後、2012年6月現在、1名に対して治療命令が出された状態となっている。対象者は児童に対する性犯罪で前科4犯の者で、今後4年間、仮出所してから3ヶ月に1回、薬物治療を受ける命令を受けた(同時に位置情報を発信する電子装置を常時装着しなければならない)。
問題点はもちろんあり、薬の副作用及び効果の問題、治療命令の主体と対象者の問題、対象者の同意の問題など非常に多い。また薬物治療の費用の問題もあり、3年間であれば1500万ウォン程度となるそうだ。原則としてはこれは本人負担という。本人に負担能力が無い場合には、国が負担することになる。
また氏からは、薬の投与を止めれば性欲は復活するから、薬で抑えている間に心理的に矯正しないと、薬の投与を止めた途端にまた性犯罪に走るということにもなりかねないという指摘があった。これは重要なポイントのように思われた。
また韓国では保安処分が比較的に広範に認められており、この強制的薬物投与については保安処分の一つであるから法的には問題ないという議論があるという。そもそもこの法律が制定されたのは、前述した性暴力犯罪の増加に対して対策を求める世論の高まりに政府が応えざるを得なくなったということがあるようで、反対論があったにもかかわらず立法が強行されたようだ。

下記は「中央日報」の記事。
児童4人に性犯罪、韓国で初の化学的去勢へ
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