Harumichi Yuasa's Blog

明治大学専門職大学院ガバナンス研究科(公共政策大学院)教授・湯淺墾道のウェブサイトです

韓国中央選挙管理委員会事務総長・金容熙氏表敬訪問

2015年11月22日 | 選挙制度
11月16日(月)に、韓国の中央選挙管理委員会を訪問しました。





前回に訪問したのが2006年の8月23日でしたので、9年ぶりの訪問ということになります。

前回の訪問は、当時韓国で導入直前だった電子投票についての詳細を中央選挙管理委員会の担当者にインタビューするためのもので、インタビューに応じていただいたのは、当時の中央選挙管理委員会電子選挙推進団長の金容熙氏でした。結局、韓国でも国会議員の反対のため、国家議員選挙に電子投票を導入することは見送りとなったのですが、このときのインタビューの要旨は、ホームページで公開しています。
http://home.att.ne.jp/omega/yuasa/documents/e_votingkorea.pdf

さて、その金容熙氏は、中央選挙管理委員会事務総長に就任されました。韓国では中央選挙管理委員会は憲法上の機関であり、事務総長は閣僚級のポストということになっているそうです。
今回は、金容熙氏の表敬訪問が目的です。高選圭・中央選挙管理委員会選挙研修院教授に案内していただき、事務総長室に金氏を訪問すると、「以前に来られたときと、全然変わりませんね」と笑顔で迎えてくれました。



ちなみに、下の写真が前回の訪問時。



韓国でも、公式な投票へのインターネット投票は依然として見通しが立たないようです。
このため政府が中心となって、Association f World Election Bodiesを組織し、発展途上国の選挙管理機関への支援と選挙の電子化を行うことに力を入れているとのことです。金・事務総長は、AWEBの事務総長も兼務しています。
2015年10月にキルギスで総選挙が行われた際には、日本政府は選挙人名簿作成や選挙人の本人認証を支援しました。それについては、下記のホームページに紹介があります。
http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/presscenter/pressreleases/2015/05/20/Kyrgyzstan.html

韓国政府は、キルギスの総選挙に際して、投票システムの電子化を支援しました。
韓国では国政選挙に電子投票導入を断念した代わりに、政党内部における各種の選挙(政党の代表選挙など)を支援しており、中央選挙管理委員会が電子投票システムを貸し出しています。
今回のキルギスの電子投票では、投票用紙をスキャンして投票方向を電子データ化し、そのデータを用いて集計・開票する方式が取られたようです。
電子投票を実現したことで、これまでは開票の不正や二重投票等が絶えなかったが、開票過程が透明化し、かつリアルタイムで速報を出せるようになったとのことでした。
日本政府は発展途上国の選挙管理機関の人員をJICAが招いて研修は行っているものの(私も講師を務めたことがあります)、選挙の支援にはあまり積極的ではないようです。その間に、韓国は支援を積極的に行うようになっていますが、中央選挙管理委員会の権限の大きさが日本とは全く異なることが、このような海外への積極的なアプローチの要因であるように思われます。

表敬訪問後、昼食に招待されました。
往復は中央選挙管理委員会が出してくれた公用車で、現代「グレンジャー」のハイブリッド車でした。



両班の屋敷だったという韓国料理の店で、烏骨鶏の丸焼きや松茸と朝鮮人参、発酵させたエイなどの現代的に洗練された韓国料理をいただきました。





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