Harumichi Yuasa's Blog

明治大学専門職大学院ガバナンス研究科(公共政策大学院)教授・湯淺墾道のウェブサイトです

「緊急事態と情報セキュリティ政策」

2012年05月29日 | 情報法
KDDI総研の「Nextcom」誌10号に、「緊急事態と情報セキュリティ政策」を寄稿しました。
下記のページでユーザ登録を行うと、本文をごらんいただけます。

http://www.kddi-ri.jp/nextcom/
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

インターネット選挙運動を実現するための法的論点 1

2012年05月22日 | 情報法
 最近、選挙運動においてインターネットの利用を解禁すべきだという議論がふたたび活発になっている。しかし、現行の公職選挙法には、インターネットの利用を解禁する際に検討すべき論点が非常に多く存在している。選挙におけるインターネットの利用で最も問題となるのは、インターネットが「文書図画」に当たるとされている点であるが、他にもインターネットの利用が現行の公職選挙法の規定に抵触すると思われる部分は数多く存在する。まずは思いついた点について条文ごとに整理してみた。
ブログ、Facebook、ツイッター、Youtubeなど個別のインターネット上のツールを用いた場合の個別の問題については、別途考えてみることにしたい。

1 総論
 そもそも、選挙運動とは何か。
 結論から先にいえば、法的には明確な定義は存在しない。
 わが国では、選挙について、候補者、選挙運動、選挙管理、投開票、選挙の効力を争う訴訟等について、国政選挙・地方選挙を問わず、公職選挙法が詳細に規定している。
公職選挙法は、選挙に関する運動について、政治活動として行われるものと、特定の選挙のために行われるものを区別している。特に公職選挙法では後者の選挙運動に対しては非常に広範な規制を加えている。選挙運動の公正を確保するため、公職選挙法では、選挙運動用の自動車の使用、葉書・ビラ類の頒布、ポスターの掲示、新聞広告、政見・経歴放送、演説会等について国または地方公共団体が費用を負担する選挙公営制度を規定する一方で、選挙運動の期間(129条)、選挙運動を行う者(135条~137条の3)、選挙運動の方法(138条~178条の3)、費用(179~200条)等について詳細に規定している。
 ところが、選挙運動の方法については詳細に規定されているが、選挙運動そのものの定義を欠く。公職選挙法には、何が選挙運動にあたるかについて規定する条文は存在しないのである。

2 「選挙運動」の解釈は誰が行うか
 何が選挙運動に該当するかについては、法の条文を解釈して判断する必要がある。
昭和3年、大審院は「所謂選挙運動トハ一定ノ議員選挙ニ付一定ノ議員候補者ヲ当選セシムヘク投票ヲ得若クハ得セシムルニ付直接又ハ間接ニ必要且有利ナル周旋勧誘若クハ誘導其ノ他初版ノ行為ヲ為スコトヲ汎称」するものであり、「直接ニ投票ヲ得若クハ得セシムル目的ヲ以テ周旋勧誘等ヲ為ス行為ニ限局セサルモノト解ス」べきであると判示した(大審院昭和3年1月24日、原文は旧漢字)。
この解釈は、その後の判決でも踏襲されている。
 公職選挙法の「解釈」について、大きな影響力を与えているのは、旧・自治省、現・総務省の選挙部による解釈である。
 総務省による解釈の次元で、ホームページが「文書図画」に当たるとされているため、選挙運動期間中に候補者がホームページの更新を行ったりブログに書き込みをしたりすると、法で規定する以外の文書図画の頒布・掲示の禁止(142条)の違反となるとされているのである。このため、公職選挙法違反という指弾を避けるためには、政党や候補者の選挙運動におけるインターネットの利用は自ずと慎重にならざるを得ないという状況になっている。
 
3 文書図画の制限
 わが国において、選挙におけるインターネットの利用で最も問題となるのが、インターネットは「文書図画」に当たるかという点である。
 下記の条文で規定されているように、選挙運動期間中は、「各号に規定する通常葉書並びに第一号から第三号まで及び第五号から第七号までに規定するビラのほかは、頒布することができない」こととされている。公職選挙法で規定されている選挙運動用の葉書および規定枚数のビラ以外は、印刷物を作成して配布することは禁じられている。
 ホームページは「文書図画」に該当するか。
 1996年、新党さきがけは自治省(当時)に対してインターネット上のホームページの開設と公職選挙法との関係についての質問状(回答願)を送付し、これに対して自治省は1996年10月28日付で、文書により新党さきがけに対して回答を行った。この回答は、自治省(総務省)による解釈として、その後のインターネットの利用に大きな影響を与えている。
 その中で、公職選挙法の「文書図画」とは文字若しくはこれに代わるべき符号又は象形を用いて物体の上に多少永続的に記載された意識の表示をいい、スライド、映画、ネオンサイン等もすべて含まれるから、パソコンのディスプレイに表示された文字等は、公職選挙法の「文書図画」に当たるとされた。
ホームページではパソコンのディスプレイに文字や画像が表示されるが、それらが文書図画にあたるとされたのである。
 また、ホームページは公職選挙法の「頒布」や「掲示」にあたるとも解釈される。
自治省の回答によれば、頒布とは不特定又は多数人に文書図画を配布することをいい、文書図画を置き、自由に持ち帰らせることを期待するような相手方の行為を伴う方法による場合も頒布に当たると解されている。
また、「掲示」とは、文書図画を一定の場所に掲げ、人に見えるようにすることのすべてをいう。したがって、パソコンのディスプレイに表示された文字等を一定の場所に掲げ、人に見えるようにすることは「掲示」にあたり、不特定又は多数の方の利用を期待してインターネットのホームページを開設することは「頒布」にあたるという。
したがって、ホームページを開設することは頒布の規制を受け、そこに文字等を掲載することは掲示の規制の対象になるとされたのである。

 (文書図画の頒布)
第百四十二条  衆議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙においては、選挙運動のために使用する文書図画は、次の各号に規定する通常葉書並びに第一号から第三号まで及び第五号から第七号までに規定するビラのほかは、頒布することができない。この場合において、ビラについては、散布することができない。
(以下、略)


 インターネット選挙運動においては、これらの「ビラ」の枚数規制は、事実上不可能である。インターネット選挙運動に使用するホームページ等についてユーザ登録制にすることで、当該「ビラ」を閲覧しうる人数をある程度把握することは可能となろうが、この場合には憲法15条4項の保障する秘密投票の原則に抵触する恐れがある。特定候補者等のホームページに誰が登録したかということは、登録者の投票方向を推測させることに通じるからである。
 なお、選挙運動中における電子メールの利用は、内部の事務連絡に使用するのは問題ないものの、電子メールで不特定または多数に投票依頼を行うことはやはり文書図画の頒布にあたるとされており、公職選挙法で禁止されていると解されている。1996年の自治省の回答の時点ではブログやツイッター、Facebook等は利用されていなかったが、これらについてもメッセージ交換機能については同様の規制を受けると思われる。

4 時期・期間
 選挙運動の期間は、候補者の立候補の届け出があった日から投票日の前日までに限られている(公職選挙法129条)。選挙の実態として、立候補の届け出をした日までには何の活動も行わず、届け日から突然活動を始める例はほとんどないと思われるが、法の建前の上では、届け出の前に行う選挙運動は事前運動として違法となる。また、投票日当日の選挙運動も違法となる。
実態として行われている事前の活動は、政治活動であるということになっているため、事前運動には当たらないとされている。なお政治活動とは、政党その他の政治団体の政策宣伝、党勢拡張等の活動のことをいう。ただし一定の立候補準備活動(政党の公認を求める行為等)と選挙運動の準備行為(選挙事務所の借り入れの内交渉、立て看板やポスターを作成しておく行為等)は許容されると解されている。
インターネット選挙運動を解禁する場合、「政治運動」と「選挙運動」の区別が問題となる。選挙運動の期間以外のブログの更新、ツイッターにおけるツイート、Facebookへの書き込みは、それが選挙運動に該当するのであれば、公職選挙法に違反する。
しかし、インターネット上の事前運動は、どのように規制するかという点が大きな問題となる。さらに、政治運動としてのこれらの書き込み等と、選挙運動としての書き込み等を区別する基準のあり方と、その公表も検討課題となる。選挙運動とみなされる書き込み等を区別する基準が明らかにならないまま、書き込みの内容によっては事前運動として公職選挙法違反に問われる恐れがあるという状態では、候補者等は安心してインターネットを利用することができない。

5 年齢制限
 公職選挙法では、選挙運動にかかわることができる年齢を制限している。未成年者は、選挙運動をすることができない。また、選挙運動に未成年者を使用することもできない。
 このため、インターネットを利用する・しないを問わず、選挙運動に関して未成年者が行うことができるのは、「選挙運動のための労務」だけである。労務というのは、自動車の運転をする、選挙事務所で来客の湯茶の接待をする、文書の発送や荷物運びをする等の単純作業のことをさす。

(未成年者の選挙運動の禁止)
第百三十七条の二  年齢満二十年未満の者は、選挙運動をすることができない。
2  何人も、年齢満二十年未満の者を使用して選挙運動をすることができない。但し、選挙運動のための労務に使用する場合は、この限りでない。


6 署名運動の禁止・人気投票の公表の禁止
 インターネットが選挙に影響を及ぼした著名な例として、2002年の韓国第16代大統領選挙において盧武鉉候補の支持者がインターネットを通じて支持団体「ノサモ」を結成し、盧武鉉候補の当選の原動力となったことが挙げられる。その後韓国では、特定の候補者に投票しないように呼びかけるインターネット上の落選運動もさかんとなった。
 わが国においては、ノサモのような運動は、「投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人に対し署名運動」をするものとみなされ、公職選挙法138条の2に違反する可能性がある。候補者以外の一般の有権者が、ホームページやブログで選挙運動期間中に候補者への支持を呼びかけたりすることも、署名運動の禁止に触れる可能性がある。
 また落選運動については、「得しめない目的をもつて選挙人に対し署名運動」をすることにあたるとすれば138条の2に違反する可能性があり、特定候補者に投票をしないように運動するということは人気投票の一種としての不人気投票にあたるとも考えられるので、138条の3に該当する可能性もある。

(署名運動の禁止)
第百三十八条の二  何人も、選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人に対し署名運動をすることができない。
(人気投票の公表の禁止)
第百三十八条の三  何人も、選挙に関し、公職に就くべき者(衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては政党その他の政治団体に係る公職に就くべき者又はその数、参議院比例代表選出議員の選挙にあつては政党その他の政治団体に係る公職に就くべき者又はその数若しくは公職に就くべき順位)を予想する人気投票の経過又は結果を公表してはならない。

7 文書図画の頒布又は掲示につき禁止を免れる行為の制限
 アメリカでは、選挙のシーズンになると候補者の名前を書いたステッカーを車に貼ったり、政党への投票を呼びかけるメッセージが背中に書いてあるシャツを着たりして、間接的に候補者又は政党を支援している人たちを見かける。
 公職選挙法は、このような行為を次のように禁じている。

(文書図画の頒布又は掲示につき禁止を免れる行為の制限)
第一四六条
何人も、選挙運動の期間中は、著述、演芸等の広告その他いかなる名義をもつてするを問わず、第百四十二条又は第百四十三条の禁止を免れる行為として、公職の候補者の氏名若しくはシンボル・マーク、政党その他の政治団体の名称又は公職の候補者を推薦し、支持し若しくは反対する者の名を表示する文書図画を頒布し又は掲示することができない。

規制対象は「何人も」である。したがって、理論的にいえば、候補者・政党を支援または反対する意図をもってインターネット上で「公職の候補者の氏名若しくはシンボル・マーク、政党その他の政治団体の名称」を「掲示」する行為は、個人が行っても違法となる。たとえば、選挙運動期間中にFacebookの自分のページのカバー写真に候補者の氏名が入った写真を使うことは、146条の違反となる可能性がある。

8 撤去義務
インターネット選挙運動を解禁した場合、投票日の前日までに、選挙運動に当たるとみなされるブログの書き込みやツイッターのツイート等をすべて削除する義務が生じるかどうかも、大きな問題である。公職選挙法は、文書図画の撤去義務を定めているからである。
サーバの中のデータまで完全に削除しなければならないかどうかについては議論の余地があるが、143条の2を改正しないかぎり、選挙が終了した後もパソコン、スマートフォン等の画面で可視的になっている状態にしておくことは、撤去義務の違反になる可能性がある。

第一四三条の二(文書図画の撤去義務)
前条第一項第一号、第二号又は第四号のポスター、立札、ちようちん及び看板の類を掲示した者は、選挙事務所を廃止したとき、第百四十一条第一項から第三項までの自動車若しくは船舶を主として選挙運動のために使用することをやめたとき、又は演説会が終了したときは、直ちにこれらを撤去しなければならない。

9 マニフェスト
 公職選挙法では、選挙運動期間中に、前の項で列挙されている文書図画類以外のものを作成して配布することは禁じられていた。このため、マニフェストを選挙運動期間中には配布することは違法となっていた。
 1994年に公職選挙法が改正され、衆議院議員選挙については、候補者と政党等が選挙運動用ビラを頒布することができることとされ、2000年の改正で参議院議員選挙についても選挙区の候補者と比例代表選出名簿登載者がビラを頒布することができるようになった。
 さらに、2003年に政党等は「パンフレット又は書籍で国政に関する重要政策及びこれを実現するための基本的な方策等を記載したもの又はこれらの要旨等を記載したもの」を頒布することができるようになり、マニフェストを「パンフレット又は書籍」として選挙運動期間中に配布することができるようになった(142条の2)。ただし、マニフェストを配布することができるのは衆議院議員総選挙と参議院議員の通常選挙に限られており、補欠選挙や再選挙は対象となっていない。また、地方議会の議員の選挙も対象となっていない。
 また、都道府県知事選挙、市町村長選挙については「パンフレット又は書籍」を配布することはできないが、142条1条において、葉書だけではなくビラについても頒布することが認められているため、「ビラ」という形式であればマニフェストを頒布することは可能である。

(パンフレット又は書籍の頒布)
第百四十二条の二  前条第一項及び第四項の規定にかかわらず、衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙においては、候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等は、当該候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等の本部において直接発行するパンフレット又は書籍で国政に関する重要政策及びこれを実現するための基本的な方策等を記載したもの又はこれらの要旨等を記載したものとして総務大臣に届け出たそれぞれ一種類のパンフレット又は書籍を、選挙運動のために頒布(散布を除く。)することができる。
2  前項のパンフレット又は書籍は、次に掲げる方法によらなければ、頒布することができない。
一  当該候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等の選挙事務所内、政党演説会若しくは政党等演説会の会場内又は街頭演説の場所における頒布
二  当該候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等に所属する者(参議院名簿登載者を含む。次項において同じ。)である当該衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙における公職の候補者の選挙事務所内、個人演説会の会場内又は街頭演説の場所における頒布
3  第一項のパンフレット又は書籍には、当該候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等に所属する者である当該衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙における公職の候補者(当該候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等の代表者を除く。)の氏名又はその氏名が類推されるような事項を記載することができない。
4  第一項のパンフレット及び書籍には、その表紙に、当該候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等の名称、頒布責任者及び印刷者の氏名(法人にあつては名称)及び住所並びに同項のパンフレット又は書籍である旨を表示する記号を記載しなければならない。


10 政見放送
 政見放送とは、選挙期間中に候補者又は名簿届出政党等がラジオまたはテレビ放送で行なう政見発表のことである。
近時、選挙に関係するものに限らず、放送と通信との境界が融解しつつある。多様なサービスが提供されるようになり、当初想定していなかった形態により政見放送が視聴される場合も生まれている。その一例は、放映された政見放送が「YouTube」「ニコニコ動画」等の動画投稿・共有サイトに投稿され、視聴される場合があることである。
 現在、公職選挙法150条の規定により、候補者又は名簿届出政党等は、日本放送協会または一般放送事業者(民間放送局)の放送設備を用いて、その政見を無料で放送することができる。
 また公職選挙法による政見放送のほかに、放送法45条は「協会がその設備又は受託放送事業者の設備により、公選による公職の候補者に政見放送その他選挙運動に関する放送をさせた場合において、その選挙における他の候補者の請求があつたときは、同等の条件で放送をさせなければならない。」として日本放送協会に候補者放送を義務づけている。また放送法52条は「一般放送事業者がその設備により又は他の放送事業者の設備を通じ、公選による公職の候補者に政見放送その他選挙運動に関する放送をさせた場合において、その選挙における他の候補者の請求があつたときは、料金を徴収するとしないとにかかわらず、同等の条件で放送をさせなければならない。」と定め、一般放送事業者にも同様の義務を課している。
 政見放送の動画投稿サイトへのアップロードについては、著作権法上の問題点と公職選挙法上の問題点がある。
 著作権法上、政見放送自体は、著作権法40条が定める「公開して行われた政治上の演説又は陳述」にあたる。同条2項は「国又は地方公共団体の機関において行なわれた公開の演説又は陳述は、前項の規定によるものを除き、報道の目的上正当と認められる場合には、新聞紙若しくは雑誌に掲載し、又は放送し、若しくは有線放送することができる。」と規定し、3項は「前項の規定により放送され、又は有線放送される演説又は陳述は、受信装置を用いて公に伝達することができる。」と定めている。このため、政見放送については、政権放送を受信し、同時にその放送の放映対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信を行う行為は、著作権法上は許容されると解される。ただし、特にジャーナリストとしての活動を行っていない者による当該の行為が「報道の目的」といえるかどうかについては、問題が残る。

(政治上の演説等の利用)
第四十条
公開して行われた政治上の演説又は陳述及び裁判手続(行政庁の行う審判その他裁判に準ずる手続を含む。第四十二条第一項において同じ。)における公開の陳述は、同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。
2 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人において行われた公開の演説又は陳述は、前項の規定によるものを除き、報道の目的上正当と認められる場合には、新聞紙若しくは雑誌に掲載し、又は放送し、若しくは有線放送し、若しくは当該放送を受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行うことができる。
3 前項の規定により放送され、若しくは有線放送され、又は自動公衆送信される演説又は陳述は、受信装置を用いて公に伝達することができる。


 公職選挙法上の問題について、候補者等の政見放送を動画投稿サイトへ投稿(自動公衆送信)することについての規定はない。選挙期間中に立候補者等の政見放送が動画投稿サイトに投稿されたときに問題となるのは、公職選挙法150条5項の「それぞれの選挙ごとに当該選挙区(選挙区がないときは、その区域)のすべての公職の候補者に対して、同一放送設備を使用し、同一時間数(衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては当該選挙区における当該衆議院名簿届出政党等の衆議院名簿登載者の数、参議院比例代表選出議員の選挙にあつては参議院名簿登載者の数に応じて政令で定める時間数)を与える等同等の利便を提供しなければならない。」という規定との抵触の可能性であろう。
 平成19(2007)年統一地方選挙において、東京都選挙管理委員会は、特定の候補者の政見放送だけがいつでも自由に閲覧できることは候補者間の不公平を招くという理由で、動画投稿サイト「AmebaVision」と「YouTube」に対して投稿された政見放送動画の削除を申し入れたという。
 なお2011年4月10日に行われた福岡市議会議員選挙では、無所属の新人候補がンターネット上の無料動画配信サイト「Ustream」を利用し、政策についての演説や支援の呼びかけなどを毎日生中継した。報道によればこの候補者は警察から公職選挙法違反の疑いで警告を受けたというが、立件はされていないようである。

11 車上の選挙運動
 公職選挙法は、「主として選挙運動のために使用される自動車(道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第二条第一項第九号に規定する自動車をいう。以下同じ。)又は船舶及び拡声機(携帯用のものを含む。以下同じ。)は、公職の候補者一人について当該各号に定めるもののほかは、使用することができない。」と定めている。
 ところで、この選挙運動のために使用する自動車については、「何人も、第百四十一条の規定により選挙運動のために使用される自動車の上においては、選挙運動をすることができない。ただし、停止した自動車の上において選挙運動のための演説をすること及び第百四十条の二第一項ただし書の規定により自動車の上において選挙運動のための連呼行為をすることは、この限りでない。」としており、選挙運動の場合の連呼行為をする場合(140条の2)を除いて、選挙運動のために自動車を使用する場合は、「停止した自動車」という制約が課せられている。したがって、原則として走行中の自動車の上において選挙運動を行うことは禁じられている。
 ゆえに、仮にブログへの書き込みやツイッターでの発信が認められるようになったとしても、それが選挙運動として行われるのであれば、停止した自動車の上において行わなければならない。走行中の選挙カーの車内でスマートフォン等を用いて選挙運動としての書き込みを行うことは、違法となる。なお、ブログやTwitterでの書き込みをスマートフォン等を用いて書き込むこと自体は、それが送信されていない状態なのであれば、選挙運動の準備であって選挙運動そのものでは無いから許容されるという考え方もあり得るが、すくなくとも送信する行為については選挙運動の一部と解することができるから、例えばTwitterであれば「ツイート」ボタンを走行中の選挙カーの車内で押すことは違法となると思われる。
 なお選挙カーとして用いることができる自動車の種類や形状については、政令で制限がある。

12 選挙公報
 選挙公報のインターネット上の公開については、都道府県選挙管理委員会連合会から発行されている『選挙』の2012年5月号の記事を参照。

13 有料のあいさつ広告の禁止
 公職選挙法では、選挙運動でなくても、候補者等による一定の有料のあいさつ広告は禁止されている(152条)。しかし、禁止の対象は新聞紙、雑誌、ビラ、パンフレット、テレビ、ラジオ放送に限定されている。それでは、インターネットにおいては自由に広告をすることが可能か。
 2010年11月の福岡市長選挙では、告示日の前に現職の吉田宏市長がGoogleスポンサーリンク広告を利用し、「吉田宏」「吉田ひろし」等と入力すると「吉田宏公式サイト」に誘導する広告が表示されるようにした。
これについては、当時、合法であると解された。インターネットによる選挙運動用の文書図画の頒布は違法となるが政治活動にインターネットを使用することは前述したように原則として自由であること、公職選挙法で禁じている有料のあいさつ広告は新聞紙、雑誌、ビラ、パンフレット、テレビ、ラジオ放送に限定されていることがその理由である。したがって、選挙運動ではなく政治活動として選挙の告示日の前にインターネットのサーチエンジンでスポンサーリンク広告を利用することには特に法的な問題はないと解されたようである。
ただし、対立候補の氏名を入力しても本人のサイトに誘導するような広告を表示した場合にはどうかという問題は残る。この場合は、選挙運動期間外であったとしても、業務妨害罪(刑法233条)が成立する余地があるのではないか。
 なおこれに関連して、アメリカで問題となったのは、次のような事例である。
2009年11月、フロリダ州セントピータースバーグ(Saint Petersburg)市において市長選挙が行われた際に、無所属のスコット・ワグマン(Scott Wagman)候補が、Facebook、flicker、YouTubeなどを積極的に利用した他、選挙運動の一環として「Google AdWords」広告サービスを利用した。ワグマン陣営は、googleで他の候補者名を入力して検索すると、リンクが表示され、そのリンクをクリックするとワグマン候補の選挙運動サイトにジャンプするようにした。
 これに対して、他の候補者陣営がフロリダ州選挙管理委員会に対してワグマン候補の選挙運動は州法に違反するとして訴えた。フロリダ州選挙法の106.143条(1)項(a)号は、候補者のために料金が支払われるものであって、選挙の日または選挙に先だって出版、掲示、または流布されるいかなる政治的広告も、候補者名・政党所属・立候補しようとする公職のために支払われ候補者が承認した政治的広告である旨をそれぞれ明示しなければならないと定めているから、ワグマン候補のインターネット上の広告には「市長選挙に立候補するスコット・ワグマンにより承認された広告」と明示するべきであるのに、ワグマン候補の「Google AdWords」広告の中にはその明示が全くないので、州法に違反しているというのである。この訴えを受けて、ワグマン候補陣営は「Google AdWords」の利用を自主的に中止した。
 訴えを受理したフロリダ州選挙管理委員会は、ワグマン候補陣営が依頼した広告代理店を通じて「Google AdWords」を利用したことは事実であり、広告代理店に対しては1クリックあたり5ドルという費用を支払うことになっていたこと、ワグマン候補は選挙戦にあたり広告費として約80万ドルを使い、そのうちバナー広告、Facebook、Flickr、ツイッター等のインターネット広告に10万ドルを使ったことを認定した。選挙管理委員会は、ワグマン候補陣営の「Google AdWords」の利用は有料政治広告に当たり、政治的広告における表示義務の違反があったと認めた。しかし、ワグマン候補の行為は故意ではなかったとして、訴を退けたというものである。

14 休憩所等の禁止
 公職選挙法は、「休憩所その他これに類似する設備は、選挙運動のため設けることができない。」と定めている(133条)。このため、ネットカフェ等を設けてインターネットを無料で利用させたりする行為は、選挙運動のためであれば、違法となる。具体的には、インターネットカフェを設置して無料で利用させ、カフェ内にポスター類を掲示したり、カフェに設置されているパソコンの壁紙や初期ホームページにおいて候補者の氏名や写真が表示されるようにしたりする行為が考えられる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

武雄市図書館問題の論点メモ

2012年05月17日 | 情報法
=.1. まえがき

中国に2泊3日で出張している間に、武雄市の図書館問題についていろいろと考えてみた。この問題については産業総合研究所の高木浩光さんと武雄市の樋渡啓祐市長との泥試合とみる向きもあり、市長の独善との批判もあるようだが、自治体の個人情報保護の現状に関する非常に多くの問題を内包していることに気づいた。
個別の問題点について論じようとすれば、それぞれ1本の論文を書かなければならないほどに議論の余地がある。
ここでは自分の備忘録も兼ねて、「論点出し」的に整理を行ってみたいと思う。このため、体系性を欠くメモ書きとなっていることをご寛恕願いたい。

=.1.1 近時の文献
自治体の個人情報保護に関する論点は非常に多岐にわたるが、その多くは夏井先生と新保先生の共著である夏井高人・新保史生『個人情報保護条例と自治体の責務』(ぎょうせい、2007年)で論じられている。さらに近時、鈴木正朝先生による「個人情報保護法制とクラウド」岡村久道編『クラウドコンピューティングの法律』(民事法研究会、2012年)が公刊され、ここでは国内における越境問題として自治体の個人情報保護条例の間に存在する規定の相違について論じられている。私自身は、「福岡県内の市町村における個人情報の保護に関する条例の現状と課題」『九州国際大学法学論集』13巻3号 (2007年)、「自治体における個人情報保護─定額給付金・子育て応援特別手当の給付事務を中心に─」『九州国際大学社会文化研究所紀要』64号(2009年)などで自治体の個人情報保護について論じてきた。
また秋吉健次編『新編個人情報保護条例集(1)~(5)』(信山社、2004年)、『条文比較による個人情報保護条例集(上)(中)(下)』(信山社、2000年)はやや内容が古くなっているものの依然として有用である。

=.1.2 答申例
各地の自治体の個人情報保護審査会等の答申内容については、判例と異なって答申一覧データベースのようなものが存在しないので個別に収集しなければならない(しかも公開されていないものが少なくない)のが現状であるが、第二東京弁護士会編『情報公開・個人情報保護審査会答申例』(ぎょうせい、2009年)などで、どのような点についての申立が行われたのかについての現状を知ることができる。

=.2. 総論

今回の問題には、大別して3つの論点があり、錯綜しているように思う。
・自治体の個人情報保護制度全般の問題
・自治体における「公私」の問題
・自治体における政策形成過程の問題

=.3. 自治体における個人情報保護

=.3.1 法源
自治体における個人情報の保護は、個人情報保護条例に依るというのが一般的な理解である。たしかに、個人情報の収集、開示等については個人情報保護条例によって統制されている。しかし、個人情報の利活用の面に関しては、自治体においては、実態としては3種類の法源があるとみてよいであろう。民間事業者とは同じスキームでは理解できない。
1つは個人情報保護条例における利活用に関する定めである。2つめは、情報公開条例における個人情報保護に関する規定とその運用である。上記の2つに関連するのは、その自治体の「情報提供」に関する方針・ポリシーであろう。たとえば多くの自治体の個人情報保護条例は個人の生命、身体又は財産の安全を守るため、緊急かつやむを得ないと認められるときには本人の同意を得ないで個人情報を外部提供できるというような定めをもつが、その具体的な判断基準は自治体に委ねられているし、明文での基準は無いという自治体も多い(これが震災のときに問題になった)。最後は、その自治体における「個人」の取扱い方に関する根本的な方針・ポリシーのようなものである。これは必ずしも明文化されているわけでは無いし、首長が変われば大きく変わるということもあり得る。

=.3.2 条例の規定の相違
自治体の個人情報の定義や取扱・保護に関する規定に相当程度の相違があることは知られている。これについて、前出の鈴木先生の論文は条例間の規定の相違に対して批判的である。
そのいっぽう、特に基礎レベル自治体である市町村においては、当該の自治体の固有の歴史的・社会的・経済的な事情を背景として、独自の取扱をせざるをえない場合があるのも事実である。

=.3.3 民間事業者に対する規制
個人情報保護条例の中には、自治体の区域内にある「事業所」(事業者ではない)に対する規制規定をもつものがある。しかし、実態としてはほとんど機能し得ないといってよい。個人情報はまさに区域横断的であり、巨大な民間事業者に対してはその規模の対称性からみても中小の自治体はほとんど対峙し得ないからである。

=.3.4 自治体合併の種類とそれによる個人情報保護の取扱の変化
いわゆる平成の大合併によって、全国の市町村の合併が進み、約3200あった市町村の数は約1700にまで減少した。すでに「村」が存在しないという県もある。
自治体の合併は、市町村の合併の特例等に関する法律第2条第1項で、この法律において「市町村の合併」とは、二以上の市町村の区域の全部若しくは一部をもって市町村を置き、又は市町村の区域の全部若しくは一部を他の市町村に編入することで市町村の数の減少を伴うものをいう。」と定義している。
自治体の法人格からみれば、合併は地方自治法第7条の定める「市町村の廃置分合または市町村の境界変更」の一形態であり、その方法については大別して合体(合併しようとする市町村をすべて廃止して新規に市町村を設置)、編入(合併しようとする市町村のうち、1個を存続法人として、それ以外の市町村を廃止する。廃止市町村は存続法人に組み込む)がある。
個人情報保護条例については、合体の場合は新市町村の新たな条例を制定することになり、編入の場合は存続法人となる市町村の条例が存続して他の条例は効力を失うことになる。

=.3.5 取扱の変化に対する民主的統制
合体の場合は新たに設置される議会において住民の民意を条例に反映させることがすくなくとも形式的には可能となるが、問題は編入である。自治体の個人情報保護条例は、個人情報の定義や取扱・保護に関する規定に相当程度の相違があることは知られているが、廃止される市町村の住民は、その個人情報の取扱や保護の内容について存続市町村の条例の定めるレベルに統一されることを甘受しなければならないことになる。したがって民主的統制という観点からいえば、個人情報保護の水準が低下する可能性についてどのように正統化することが可能となるかが問題となるが、これについては市町村の合併の特例に関する法律第3条の定める合併協議会が唯一の根拠とならざるを得ない。

=.3.6 特別地方公共団体組合への事務の移管
ここでいう組合とは、労働組合のことではなく、地方自治法284条2項により設けられる一部事務組合と広域連合である。以前は自治体の組合は一部事務組合、広域連合、全部事務組合、役場事務組合の4種類があったが、全部事務組合と役場事務組合は、2011年の地方自治法改正で廃止された。
このほか、特別地方公共団体として地方開発事業団もあるが、青森県新産業都市建設事業団が存続するのみである。
このような組合に事務を移管する際、住民の個人情報保護に関する準拠法(準拠条例)はかなり複雑なものとなるはずであるが、十分に検討されているとは言い難い。特別地方公共団体の中には個人情報保護条例を持たないところもある。

=.3.7 広域行政
今日、いわゆる広域行政として地方自治法で認められているものとしては、次のようなものがある。これらにおける個人情報保護に関しては十分に検討されているとは言い難い。
機関等の共同設置
 執行機関の簡素化を図るため、複数の団体が、行政委員会等を共同で設置する
事務の委託
 事務の一部の管理・執行を、他の団体へ委託する
職員の派遣
・他の団体の求めに応じ、関係職員の派遣を行なう
公共施設の共同利用
・公の施設の共同利用のため、区域外の設置及び他団体の利用を行なう
相互救済事業経営委託
・相互救済事業経を実施するため、公益法人に委託する
機関の連合組織
・団体の首長、議会議長の連絡協議のため、全国的連合組織を設置する

=.3.8 審査会
地方には人材がおらず、審査が形式的になっている例もある。

=.3.9 「文書」行政と情報システム
自治体においては行政事務は「文書」単位で動いている。従来は文書が電磁的記録としてのファイルに置き換わっただけという扱いで処理できたが、クラウド時代の情報システムに適合できるのか。

=.3.10 個人情報の廃棄
上記のように自治体では文書単位で情報が管理されているから、文書管理規程などに従って、ある年数をこえると文書は原則的に廃棄されることになっている。したがってそこに記載されている個人情報も廃棄されることになる。このことは「滅失」にはあたらないと当然の法理的に解されているようだが、情報主体である個人の側から見れば、文書管理に関する規定を熟知していない限り、自分に関する個人情報がいつまで自治体において保有・利活用されるのか皆目見当も付かないということになる。私自身は否定的だが、自己情報のコントロール権的な発想をするのであれば、個人情報の廃棄の問題にもっと神経質であるべきだ。第三者への漏洩の恐れが無い、または少ないという以外に、このように情報主体が知らないままに個人情報が利活用できない状態となる「廃棄」と、「滅失」との間に、大きな差異があるのか。

=.3.11 世帯情報
住民を直接相手として広範な行政事務を担っている自治体においてはかなりの事務が「世帯」を単位として動いているため、世帯とそれを構成する個人との関係をどのように考えるかという点に大きく関係している。定額給付金の場合も問題になったが、生活保護、家屋の耐震診断への補助、上下水道、その他多くの事務は実は「世帯情報」なのである。世帯情報はどのように保護すべきか。
この点は民間事業者においても、今後スマートメーター等で世帯単位の情報を収集取得する際に問題となり得る。

=.4. 自治体における「公私」の問題(個人情報保護、情報公開に限定)

=.4.1 指定管理者
指定管理の契約期間の終了後の個人情報の廃棄
指定管理者として収集した個人情報と民間の事業者として収集した個人情報について、指定管理者内部において分離することが可能であるのか
民間事業者である指定管理者は、その保有する指定管理業務に係る個人情報について、個人情報保護法と条例のどちらの適用を受けるのか

=.4.2 中小自治体における公立図書館のあり方
予算も人もないという現状、指定管理者や民間委託はやむをえない?
権力的行政ではないという理由で民間化することの是非
「国立国会図書館電子書籍配信長尾構想」:実現すれば、利用者の個人情報を国会図書館と参加する公立図書館が共同利用するようになる?

=.4.3 ソーシャル・メディア
ソーシャル・メディア上の情報は「行政文書」なのか
文書管理規定等に基づく保存義務は、クラウドやソーシャルではどのように担保できるのか
ロックインされる恐れは無いのか
ソーシャル上での首長等の発言は、公権力を背景とした行政行為の一部なのか、単なる私的発言なのか

=.4.4 「私的」行政と透明性の担保
PFI、指定管理者などの民間原理を導入した行政の部分については、公権力行使とは異なるものであるから、従来行政に対して要求されてきたような透明性の確保を求める必要は無い、と解してよいか
その反面、透明性を求めれば私的行政に参入した民間事業者の競業上の地位を損ねることにならないか(それが嫌ならば参入しなければよい、と割り切ってよいか)

=.4.5 クラウド
「行政無謬」的に、クラウドでは障害は起きない(または障害に強い)という前提でなし崩し的に導入を進めて大丈夫か
特に世田谷ケーブル火災判決を再検討すべきでは無いか(物理的なインターネット回線のダウンによる損害と、巨大な逸失利益の損害は、誰が責任を負うのか)

=.5. 自治体における政策形成過程の問題

=.5.1 意思形成情報
従来、自治体における政策決定の過程は、ほとんどといってよいほどオープンになっていなかった。情報公開の実務においても意思形成情報として非開示とすることが認められる慣行にある。今回の武雄市の問題についても、意思形成の途上を明らかにしたため、とたんに内外からの賛否両論が殺到したという側面を持っている。行政における円滑な意思形成に対する障害になるという理由で、かえって意思形成過程のオープン化に消極的になる恐れ。

=.5.2 「調整」行政
従来は上記のように意思形成過程を非公開としつつ、予想される利益対立・意見対立に対して慎重に配慮し、議会や住民代表等と公式・非公式な接触・折衝の機会も持ちながら、最終的に政策として公開される際には大きな反発が生まれないようにするという手法で行政運営することが多かったと思われる。このような「調整」行政は、今後も機能しうるのか。

=.5.3 ソーシャル・メディアと政策決定過程
プレビシットになる危険性を秘めていないか
情報弱者への配慮(私も中国に出張している間はFBに接続できず完全な情報弱者になった)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

情報セキュリティ大学院大学と大連大学が学術交流の促進に関する協定を締結

2012年05月17日 | 情報法
5月14日、情報セキュリティ大学院大学と大連大学(中国・遼寧省)との間で、学術交流に関する協定書が締結されました。



大連大学は、遼寧省大連市開発区にある大連市立の大学です。
哲学、法律、経済、教育、文学、歴史、理科、工学、医学、情報などの20学部46専攻、大学院に35専攻があり、全日制の学生が約15,000人、留学生・社会人学生等が5,000名という総合大学です。

大連大学で開催された調印式には、大連大学から王志強・書記、宋協毅・副学長、沈連山・信息工程学院教授、王洪涛・外事処長等が出席され、情報セキュリティ大学院大学から田中英彦・学長と私が出席しました。

大学のホームページのニュースはこちらです。
http://www.iisec.ac.jp/news/20120516.html



王志強・大連大学党書記と記念撮影





大連大学博物館を見学。



大連大学博物館長の案内で、館内を見学。



田中学長歓迎午餐会。



信息工程学院(情報学部)の建物。中国語では、いっぱんに「情報」を指す場合には「信息」という言葉を用いるそうです。





学生用コンピュータ室。数百台のパソコンが並んでいます。



使用しているパソコンは、ヒューレット・パッカード製でした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近食べたもの

2012年05月11日 | 食事
緑園都市にある「ノースプレインファーム」のことは前にも書いたが、ソフトクリームやハンバーグ以外のハンバーガーやソーセージなどのメニューもある。



これは「大地のハンバーガー」。



「じゃがバクダン」もおいしい。ジャガイモはこんなに甘いものだったのかと思う。



早朝に羽田空港のJALラウンジに行くと、パンが出る。このパンが意外においしいのだが、「メゾンカイザー」のパンだそうだ。



小倉北区役所の食堂(井筒屋食堂)は、昼時には混雑するが、焼きうどんやちゃんぽんは300円。
役所の食堂というものは地下にあることが多いが、この食堂は区役所の最上階にあるので、眺望も非常によい。道理で、混むわけだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

平成23年度北九州市の男女共同参画社会に関する意識調査

2012年05月11日 | 自治体
第6期北九州市男女共同参画審議会第1回全体会が開催されました。
今回は少し早めに小倉に着きましたので、昨年度まで会長代理を務めていた北九州市情報公開審査会の事務局のある北九州市文書館に顔を出して挨拶し、その後、小倉北区役所の最上階の食堂で焼きうどんの昼食を摂りました。役所の食堂というのは地下にあることが多いものですが、この食堂は最上階にあるために眺望がよく、値段が安いこともあって、昼時には混み合います。ちなみに焼きうどんの値段は300円です。

審議会の冒頭で委員の中から会長、副会長を選出することとなり、会長には九州女子大学准教授の大島まな先生が新たに選出され、副会長は前期の第5期に引き続き、私が拝命しました。

報告事項として、昨年度に実施した「平成23年度北九州市の男女共同参画社会に関する意識調査」の結果概要が説明されました。
調査概要は、こちら。
      ↓
調査の概要について
これまで北九州市は、固定的性別役割意識が強い、換言すれば男性優位の意識が強いという傾向がありました。今回は「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という考え方に対して肯定的な意識を持つ人の割合が大幅に減少し、38.7%になりました。前回の調査(平成17年に実施)では57.5%でしたから、この5年間で実に18.8ポイントの減少です。6割弱から4割弱にまで減ったということになります。また今回のこの数値は、平成21年度の全国調査における41.3%という割合よりも低いという結果になっています。

しかし、これについては喜んでばかりもいられません。市民の意識というのはそう簡単に各種の「啓発活動」の成果によって変わるものではなく、なにか他の理由があるのではないかとも思われるからです。
この意識変化については、前回の調査から今回の調査までの5年間の経済社会情勢、特に雇用情勢の大きな変化に伴って、「夫は外で働き、妻は家庭を守る」というライフスタイルを維持することが難しくなったということを反映しているという見方もできるでしょう。実際に、年代別で見ると若い女性の間で専業主婦志向が強まっており、「夫は外で働き、妻は家庭を守る」というライフスタイルは、男性優位の固定的性別役割意識の象徴ではなく、むしろ憧憬の対象としてのセレブ的な意味合いを保つようになったのではないかとも考えられます。
男性優位の固定的性別役割意識をもつ人たちも、厳しい経済情勢の中で夫だけが外で苦労して働き、妻は家庭を守るというのは妻の贅沢であり、妻もパートに出たりして夫を助けるのは当然だと思うようになったのかもしれません。
そういう事情によって、北九州市の市民の意識が変わった可能性は否定できないところです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中間市民図書館リニューアルオープン

2012年05月01日 | 情報法
平成22年6月3日から8月30日までの5回にわたり、福岡県中間市の市民図書館について「中間市民図書館のあり方に関する検討会」が開催され、その座長を務めた。報告書は下記にアップロードされている。

http://www.city.nakama.lg.jp/kurashi/kyoiku/bunka-sports/toshokan/documents/kentokai.pdf

この検討会の立ち上げのもともとのきっかけは、市民図書館が入居している2階建ての建物の2階にあった歴史民俗資料館が移転することになり、それまで1階だけを使っていた市民図書館が2階も使えるようになったことであった。
それを機会に、建物を改装してリニューアルオープンさせるということになり、検討委員会が設置された。
検討会に出席して、人口約45000人の地方都市における図書館の書籍・雑誌等の購入費の乏しさ、にもかかわらず億単位の改装費を投じてリニューアルしなければ市民に受けないという事情、小中高校生のための学習室の充実を求める声など、いろいろな実情を学んだ覚えがある。

さてこのたびめでたくリニューアルが完成し、リニューアルオープン記念式典にご招待頂いたので、出席してこようと思う。どのような図書館になったのかが楽しみだ。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする