
演舞場の「歌舞伎NEXT朧の森に棲む鬼」です。もともと劇団新感線が苦手で見に行かなくていいかなと思っていたのですが、しらたまやさんで「朧がね」って皆さん盛り上がっているのを見て、何となく見ておいた方がいいのかなと思いまして…。松也さんがライの回を見ました。できれば17年前の初演時に主演された幸四郎さんのライで見たいなぁと思ったけれど、歌舞伎座との順列組み合わせの関係で仕方ありません。両方見るほどは思い入れもないので…。
「リチャード三世」や「マクベス」をモチーフに「酒呑童子伝説」を加えて構成された作品だそうです。最初に朧の魔物が3人出て来て、「あ、マクベスの三人の魔女?」ぐらいはわかりましたが、それ以外はとんとわからず、無知無教養をさらけ出してしまいました。でも、わからなくても、フツーに楽しめました。テンポよくスルスルとお話が進むので、ダレルこともなく面白く見ておりました。
時蔵さんが検非違使の長、戦場にも立つ「格好良い女性」のお役なんですが、立ち回りの格好良いこと!日頃から鍛えていらっしゃる?今回のメンバーで一番よく動いていらっしゃったように思います。もう一人の女性のお役、シキブを演じられた新悟ちゃんも良かったです。ちょっと笑かすお役なんですが、あんなにコメディエンヌの才能があったとは!今回、女形さんの新しい可能性みたいなものを見せていただけたように思います。
美少年染五郎クンも大活躍でした。一作ごとに成長されて、見るたびに“ご立派になられて…”って言葉がでます。なんだか親戚のおばちゃんの気分になります。声も良くなってきました。1月の浅草も楽しみです。
主役の松也さんは本当に悪い男でした。息をするようにウソを重ねていきます。メインでOKでした。ロビーでお母様をお見かけして、こちらのお家も結構苦労されているので、「松也さんも出世されてよかったですね」って心の中で思っておりました。
2月は博多座であるそうで、このメンバーが博多へ移動するって、やっぱり博多座ってお金持ちなんですね。松竹座や南座には絶対来てもらえませんから。

歌舞伎座の「十二月大歌舞伎」です。12月は3部制です。
第1部は「あらしのよるに」でした。「9月に南座で見たばっかりやん」って思っていましたが、南座とは少し変わっていました。最初にガブとメイの小さい頃って言う場面があって、獅童さんところの陽喜クンと夏幹クンが出てきました。メイが菊ちゃんになりました。松也さんとも壱太郎さんとも雰囲気が違いますね。折り目正しい山羊になっていました。
途中で、國矢さんの精四郎襲名の口上が入りました。御曹司じゃない役者さんの幹部昇進、そして「口上」の場面が設けられるって、すごいことなんでしょうね。客席も涙涙になっていました。名題さん、名題下さんの希望の星ですよね。芝のぶさんあたりが継ぎに幹部に昇進しそう、ともっぱらの評判です。読売演劇大賞の特別賞まで受賞されましたからね。近いうちに、だと思います。
「あらしのよるに」は何度見ても感動します。2015年初演で、10年余りの間に5回上演って、それだけ評判が良く、集客にも貢献しているんでしょう。
第2部は松緑さんの「加賀鳶」と七之助さんの「鷺娘」でした。「加賀鳶」は初めてではないのですが、どんな話か全く覚えてなくて、最初、花道で皆さん名乗りを上げる場面、お席が3B の下手側だったので全く見えなくて、誰が誰やらわからなくて、結局最後まで松緑さん以外は識別できなくて、お話についていけませんでした。ちょっと残念でした。
「鷺娘」はあの広い間口の歌舞伎座の舞台で一人で踊るってよほどの技量がないと難しいんですね。七之助さんはちょっと残念だったかもしれません。舞台の使ってない空間っていうのがよく見えるんです。そう思うと「船弁慶」をかけたこっそり贔屓の鷹之資さんは凄かったんですね。一人であの空間を支配していましたから。七之助さんのもうひとつ残念だったのは、着付けです。上半身がすごくもったりしていて、お相撲さんみたいになっていました。引き抜きがあって、下に重ねているから?と一瞬思いましたが、他の方の「道成寺」を見てもそんな着ぶくれている人見たことないし…。保っちゃんも劇評に書かれてて、みんなそう思ってたんですね。
第3部は勘九郎さんの「舞鶴雪月花」と玉ちゃん

、團子ちゃんの「天守物語」です。「舞鶴雪月花」は舞踊で、勘九郎さんが桜の精、松虫、雪達磨と変化されます。「『鷺娘』も勘九郎さんでよかったんちゃうん?」と思ってた失礼な客はワタシです。やっぱり踊りお上手ですよね。
「天守物語」は玉ちゃん

はもうかけるつもりはなかったのに、「ヤマトタケル」の團子ちゃんを見て俄然ヤル気になられたそうです。團子ちゃん、姿も声も形もみんなきれいです。玉ちゃん

からビシバシしごかれたようですが、ちゃんとそれに応えて舞台に立ってるってすごい役者さんです。小さい頃から将来は猿之助を継ぐという自覚を持ってらしたようなので、お役に対する意気込みも違うんでしょうね。
玉ちゃん

も孫ほどの年齢の團子ちゃんと並んでも遜色なく、驚異の若さと美しさでした。去年の亀姫もよかったけれど、やっぱり富姫のほうがしっくりきます。侍女もお綺麗な方で揃えられ、このあたりも玉ちゃん

の美意識の現れなんでしょうね。