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おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

「正三角関係」+「旅芸人の記録」

2024-10-04 22:15:22 | 観たもの
 NODA・MAPの「正三角関係」とヒトハダの「旅芸人の記録」です。二日連続で見ました。歌舞伎座遠征ならば、3日連続、昼夜昼夜と見ることもありますが、っていうかそれがフツーなんですが、歌舞伎ぢゃないお芝居で連続って超絶久しぶりです。っていうか、歌舞伎でゃないお芝居って年に数度しか見ないのに、って思うとなかなか画期的な出来事でした。←大げさでスミマセン。

 
 「正三角関係」
 野田秀樹さんのお芝居です。2年ぶりでしょうか。ワタシ、NODA・MAPとは相性がいいのか、先行発売でほぼ100%の確率でチケットが取れていたので、「これだけ取れるなら…」と土曜希望にしたら見事に外れ、昨年は見ることができませんでした。今年は初心?に帰って平日希望でエントリーしたら無事に当たりました。

 今回はこのNODA・MAPも楽しみでしたが、SKYシアターMBSという劇場に行くのも楽しみにしてました。今年出来た新しい劇場で、「とっても見やすい」と評判がとてもいいんです。最近できる劇場って、お芝居を見たことがない人が設計するのか、軒並み「見難い」とか「見えない」とかいう悪評が多く、そんな中で好評な劇場ってどんなん?って興味津々でした。実際行ってみて、評判通り見やすい劇場でした。ワタシは2階のセンターブロック2列目でしたが、2階席も座席が千鳥に配してあって、前の人の頭がかぶることなく、視界良好でした。チケットを発券した時「え、2階席ですか…」ってちょっとガッカリしてたんですが、野田さんのお芝居ってフォーメーションが凄いので、かえって上からの方がその素晴らしさが堪能できてよかったです。座席の前後も余裕があって、快適な観劇となりました。快適すぎて、ちょっとヤバかったかも? というのも、この週は残業が続いてヘロヘロな状態で行ったので、爆睡はしなかったけれど、うたたね?みたいな感じ? 家でご飯食べた後、気持ち良くなってゴロッとなってテレビを見ている、みたいな感じ?ってわかりますかね?

 お芝居は野田さんらしい、スピード感満載、テンポよく、お話が進みます。ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」が入り口になっているそうです。一瞬「カラマーゾフの兄弟」を読まなあかん?って頭をかすめましたが、無理!パス!と諦めました。昔、玉ちゃんの「ナスターシャ」を見た時、ドストエフスキーの「白痴」から来ていると聞いて「白痴」を読みましたが、あの時は若かったんやねぇ~ってちょっと遠い目をしてしまいました。

 野田さんが相変わらずお元気で、確か来年古希のはずですが(勘三郎さんと同い年)、とてもそうは見えない、松潤や長澤まさみちゃんと同じように動いたはりました。松潤は野田さんのワークショップで発声からお稽古して、マイク無しでお芝居ができるようになったそうです。ワタシは、どうも、マイクを通した声のお芝居が苦手なので、「あんたはエライ!」って思いました。

 ストーリーはわかったようなわからないようなそんな感じです。ワタシのうたたねのせいもあるのでしょうけれど。野田さんのお芝居ってわからなくても、上に書いたようにフォーメーションとか言葉遊びとか日比野こずえさんの衣装とか、わからないなりにとても楽しめるようになっているので、ストレスは感じません。だから、NODA・MAPって聞くと、無条件に行くことにしているんだと思います。

 最後、長崎の原爆のことが出てきたので、カーテンコールで「長崎は今日も雨だった」を歌う?って期待しましたが(夢の遊眠社の時代、カーテンコールはこれだったので)、さすがにそれはありませんでした。とにかく長いカーテンコールで、きりがないので、3回目ぐらいのカーテンコールで出ましたが。NODA・MAPのお芝居を見た!という満足感はありました。

 
 「旅芸人の記録」
 ヒトハダの公演です。文学座の浅野雅博さんつながりで行ってきました。こちらも初めての劇場でした。扇町ミュージアムキューブというところで、こじんまりとしています。

 大衆演劇の劇団のお話でした。なぜか関西の劇団という設定で、でも、皆さん関西の方ではないので、関西人からするとちょっと気色悪い関西弁をお使いでした。それは浅野さんもブログかTwitterで「大阪で関西弁をしゃべるのは…」みたいなことを書いていらっしゃいました。女剣劇で、座長は梅沢昌代さんでした。元文学座の俳優さんです。文学座時代、何度か見ていると思います。さすがにベテラン、安定しています。文学座からはもう一人櫻井章喜さんがご出演で、女形のお役、最初は花魁の格好をして出て来られました。歌舞伎を日常的に見ている身としては、花魁姿はなかなかキビシイものがありました。あ、お芝居はもちろんお上手なんですよ。簪がどうもちゃっちかったので。スミマセンです。

 こちらもお話は太平洋戦争真っ只中という設定でした。2日連続で同じような時代のお芝居を見たことになります。大衆演劇の劇団で、それがほぼ家族経営で、家族のお話でもあります。人情あり笑いあり涙ありと非常にわかりやすいストーリーでした。最後、しんみりと泣けました。やっぱり、上手い人たちのお芝居は良いですね。機会があればまた、と思いました。

 《扇町ミュージアムキューブのかべす》
 ヒトハダの公演が終わったのが3時で、おやつの時間だからケーキを食べようと思ったのですが、天神橋筋商店街には思うようなカフェがなく、JR天満まで行ったので、「そういえば箕面ビールのビアバーがあったな…」ということを思い出し、そこへ行ってきました。

 
 
 
 
 
 
 
 「ここでしか飲めない」という桃ヴァイツェンというビールを飲みました。ほのかに桃の香りがあって美味しいビールでした。アテはフィッシュアンドチップスです。2杯目はグレフルおさるというグレープフルーツ風味のビールを頼んだのですが、グラスに半分しかなくて残念でした(無料にしてくれましたが)。アテは他にも美味しそうなのがあってまた行きたいと思いつつ、JR天満って場末感が半端なく(大阪駅の隣の駅なのに)、夜に一人で行くにはちと勇気がいるかなってところです。

 
 
 成田山不動尊の前にある香月の豆大福と餅パイです。枚方の京阪百貨店でgetです。餅パイは何か好きで、枚方に出店されている時は、週3ぐらいで買ってしまいます。
 
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今日はここ

2024-09-28 17:38:03 | 観たもの
扇町ミュージアムキューブでヒトハダの公演です。文学座の浅野雅博さんご出演ということでまいりました。二日続けて“歌舞伎ぢゃないお芝居”を見ております。近年、稀に見る出来事?なような気がします。
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今日はここ

2024-09-27 18:46:11 | 観たもの
今から野田さんのお芝居です。週末の夜、かなりヘロヘロなんですが、プラチナチケットらしいので、頑張って見ます。
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春秋座と南座

2024-09-23 23:22:40 | 観たもの
 土曜と日曜を2日連続で京都へ行ったので(実は金曜も仕事で京都に行ってて3日連続)、その感想を簡単に。

【春秋座】
 
 土曜は春秋座で「猿翁アーカイブにみる三代目市川猿之助の世界 第九回フォーラム〈受け継ぐ〉」でした。これは三代目市川猿之助(二代目猿翁)さんが京都芸術大学に寄贈された膨大な歌舞伎関係資料をもとに、三代目猿之助の軌跡をたどるという趣旨で毎年開催されているフォーラムです。開催時期が9月で、秀山祭遠征とかぶることが多く、これまでは1回だけ、亀ちゃん登場の時にまいりました。今回もこのお彼岸の連休で遠征しようと思っていたのですが、仕事の都合で1週間前倒しで遠征したので、何とか参加することができました。

 プログラムは2部構成、第1部は團子ちゃんの「『ヤマトタケル』を語る」、第2部は石川耕士さんの「瑞々しいエネルギーの燃焼」でした。團子ちゃんはまさかまさかのお一人でのプレゼンテーションでした。てっきり、司会の田口章子さん(京都芸術大学教授、このフォーラムの企画者)がインタビューしてそれに応えるっていう形式かと思っていたので、ちょっとビックリしました。プレゼンテーションの資料も自作でした。自分が「ヤマトタケル」を演るにあたって、お祖父様の三代目猿之助さんの「ヤマトタケル」を徹底的に研究されたそうで、その研究成果の発表でした。細部にわたりっていうか、かなり“オタク”気質で、お祖父様の「ヤマトタケル」とご自分の「ヤマトタケル」を映像で比較して、上演方法、演出を解説してくださいました。三代目猿之助さん(お祖父様)をとても尊敬されているのはよくわかりました。ただ、昔の映像はあまりよく見えないのと、細切れに解説するので、それについていくのが大変で、大学生のゼミの発表を見て(聞いて)いるような感じでした(それも学部生、3年生の不慣れな感じ)。まぁ、ワタシが澤瀉屋を見始めたのが亀ちゃん四代目襲名、中車さんと團子ちゃんが加わってからで、猿翁さんは全然見てなくてほとんど思い入れがないせいもあると思います。それと、三代目と團子ちゃんの比較って言われても、その間に四代目がいるわけで、それをすっ飛ばしているのが何とも座りが悪い感じがして…。團子ちゃんの口から2回くらい「四代目」っていうwordは出てきたので、そこはちょっと安心したのですが。なかなか難しいんだと思いますが。

 第2部は猿翁さんの「実盛物語」「奴道成寺」「一本刀土俵入」「敵討天下茶屋聚」の映像を見ながら、石川さんが解説してくださいました。こっちのほうがたっぷり映像が見られて面白かったです。やっぱり上手い役者さんです。ご病気さえなければ…って思ってしまいますが、身体のことがあって四代目・中車さん・團子ちゃんの舞台が出来たわけなので、複雑です。「奴道成寺」は「娘道成寺」のパロディで振りはほぼ「道成寺」でした。猿翁さんは「道成寺」は踊られなかったようです。きっとお出来になると思うのですが。亀ちゃんはこの春秋座で一度「娘道成寺」を踊っています。一応見ました。ご本人は「歌舞伎座では踊らないからね」っておっしゃってて、亀ちゃんほどの役者さんなら「踊りたい!」と言えば踊れるだろうに、って思った覚えがあります。「娘道成寺」は松竹株式会社のお勧め、諸先輩方のお許しがないと踊れない演目だと聞いたことがあるので。

 
 春秋座前の看板?

 【南座】
 
 南座は獅童さんの「あらしのよるに」です。9年前に南座で初演、評判がとても良くて歌舞伎座と博多座でも上演された演目です。今年は絵本発刊30周年を記念して、南座と歌舞伎座で上演されることになりました。新作なんですが、狼と山羊が主役なんですが、本当に歌舞伎らしい歌舞伎なんです。それも正統派の古典歌舞伎なんです。新作にありがちな映像とか洋楽とかそういうものは一切使わず、義太夫や下座音楽、ツケがふんだんに取り入れられています。9年前に見た時「あぁ、歌舞伎見たなぁ」感が非常に強かったのを覚えています。

 これまで主役のガブ(狼)は獅童さん、メイ(山羊)は松也さんでしたが、今回はメイが壱太郎さんに変わりました。役者さんが変わると印象もガラッと変わります。壱太郎さんって女形さんなので、「男女」に見えてしまいます。友達っていうよりも恋人のような雰囲気を感じました。だからって「あらしのよるに」の世界観が壊れているわけではないのですが。

 「歌舞伎見た」感なんですが、権十郎さん、萬次郎さん、橘太郎さんがご出演っていうのも大きいねぇ~と思いながら見ておりました。初演からご出演、9年前にも見ていますが、当時はそこまで認識できてなくて、今回はこのお三方の台詞(声)を聞くと、一瞬で歌舞伎座で上演される世話物の歌舞伎の世界になります。こういう周りの役者さんの力って大きいです。

 狼のばりい、ざく、じくは千壽さん、千次郎さん、松十郎さんの「晴の会」トリオで、関西弁をしゃべる狼です。前回よりは出番が少ない?9年も前のことなので、記憶があやふやなんでしょうけれど。昨日のこと(何なら10分前のこと)すらすっかり忘れるお年頃なので。

 昨日は“安定の”三階席でしたが、外人さん多かったです。南座の三階席で大きな外人さんはキツイだろうなと思います。あと、子どもさんもたくさん見に来られていました。「歌舞伎っていいなぁ」って思ってもらえるとおばちゃんはウレシイです。

 そうそう、今日(23日)は満員札止めが出たそうです。ヨカッタ、ヨカッタです。12月はメイが菊ちゃんになります。また印象が変わるんでしょうね。

 
 
 3階からの景色です。
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今日もここ

2024-09-15 10:49:29 | 観たもの
歌舞伎座三日目です。とりあえず、めでたい焼きは押さえました。
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今日はここ

2024-09-13 16:52:34 | 観たもの
歌舞伎座で通しています。9月ももう半ば、もうすぐお彼岸だというのに、猛暑です。

充実の演目が続いております。今から「吉野川」です。玉ちゃんもですが、美少年・美少女も楽しみです。
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今日はここ

2024-09-07 11:20:05 | 観たもの
京都春秋座でございます。京都駅から5番のバスで50分、これで運賃230円とは非常にコスパがよろしゅうございます。ただ、バスは時間が読みづらく、用心して早めに乗ったら、開演時間の1時間前に到着しました。ま、バスの中でモンモンとするよりはいいかと。

昨日が初日で、評判も上々、楽しみです。

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第9回翔之會

2024-08-30 22:32:39 | 観たもの
 こっそり贔屓の鷹之資さんの勉強会「翔之會」でございます。今年で9回目だそうです。ワタシは7回目からの参戦です。昨年は浅草公会堂でキャパがありましたが、今年は国立能楽堂、席数が少なくなったので、切符が取れるかどうか心配しましたが、チケットWeb松竹で何とかgetしました。ただ、正面ではなく脇正面、真横からの観劇となりました。

 演目と配役です。
  一、二人三番叟
      中村鷹之資
      野村裕 基

   琵琶弾き語り
   一、扇の的
      長須与 佳

  一、棒しばり
      次郎冠者:中村鷹之資
      太郎冠者:尾上左 近
      曽根松兵衛:中村錦之助    

 「二人三番叟」は演奏が能楽の囃子方で、笛、小鼓、大鼓のみでした。三味線や唄はありません。鷹之助さんは歌舞伎舞踊(藤間ご宗家の振り付け)、野村裕基さん(萬斎さんのご子息)はお能だったそうです。当然、違っていたようなんですが、横から見ているせいもあってあまりよくわかりませんでした。ま、ワタシの見る目の未熟さっちゅうのもあったとは思いますが。それと三味線や唄がないと、演奏が何となく単調(ではないと思いますが。これもワタシの未熟さ故です)で、ちょっと気を失っていたせいもあると思います。お二人の違いはわかりませんでしたが、鷹之資さんの舞はやはり素晴らしく、体幹の凄さに圧倒されました。とにかくブレないんです。能楽堂と言う厳粛な空間で見るとまた格別で、鷹之資さんの真っ直ぐな気性が十二分に発揮されていたと思います。

 「二人三番叟」が終わると葛西聖司さんが突然登場されました。最前列の客席に座ってらしたようで、いきなりマイクを持ってお話を始められてちょっとビックリしました。そこで「二人三番叟」のお二人の違いも解説してくださって、「それ、先に言ってほしかった…」って思いました。聞いていたら、ちゃんとそこに注目したのに、ね。

 続いて長須与佳さんの尺八と琵琶の演奏と琵琶の弾き語りがありました。昨年の「刀剣乱舞」でごいっしょされたご縁だそうです。琵琶の弾き語りは那須与一の物語で、結構面白く聞きました。

 ここで40分の休憩があって、最後の「棒しばり」です。真横から見るなんてことはないので、ちょっと新鮮でした。ここでも鷹之資さんの舞踊を堪能できました。最初の棒の踊り、棒をグルングルン振り回すのですが、すごい高速で、バトントワリングですか?って思ったくらいです。それが、きれいに円を描くんです。これも体幹の凄さなんでしょうね。両手を棒に結わいつけられた後も、軽やかに大らかに踊られます。そんなお背が高いわけではないのに、とても大きく見えます。左近ちゃんとのイキもぴったりでした。左近ちゃんも舞踊はお父様の松緑さんからビシバシと鍛えられているので、踊りの上手さがいっしょ、同じレベルなのでいいんでしょうね。錦之助さんの大名も若いお二人を見守るような感じで舞台が温かく感じました。

 保っちゃんもご覧になって劇評を書かれています。大絶賛です。ぜひお読み下さい。その中で、鷹之資さんの現在の立場についても触れていらっしゃいます。
「この若さで、この才能でなぜもっとそれにふさわしい活躍の場が与えられないのか。自分の会はむろん大事である。しかしそこでしか活躍出来ないでは困る。それを思って暗澹としたのは私だけだろうか。一観客としてその不満を抑えることが出来なかった。」
「不遇だとつい誘惑に駆られるだろうが、才能のある彼に本質を崩して欲しくない。不遇不満を抑えても正道を歩いて欲しいし、同時に鷹之資が正道を歩く様な企画を立てて欲しいと痛切に思った。」

こういうこと、あまり書かれないと思うのですが、今の鷹之資さんの処遇によほど腹が据えかねたのか、珍しいことです。でも、これ、お客さんもみんな思っていることで、松竹株式会社のおエライさんはここよく読むようにってマーカー引いて渡したい!って思いました。

 国立能楽堂です。
 
 
 
 
 
  ↑ワタシが座った脇正面です。

 《オマケ》
 千駄ヶ谷って初めて降りた駅でした。駅前にありました。
 
 津田塾大学
 
 国立競技場
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第34回上方歌舞伎会

2024-08-29 23:24:17 | 観たもの
 改めまして「上方歌舞伎会」でございます。今年も大変結構でございました。何年か前、確か「すし屋」がかかった時(松十郎さんがいがみの権太)あたりから、一気に上手くなられ、それ以降皆さん“高値安定”が続いています。

 舞踊とお芝居が1本ずつかかります。舞踊は地唄舞の「荒れねずみ」でした。当日も書きましたが、てっきりねずみの扮装(着ぐるみ?)で踊られると思っていたら、素踊りだったので、ちょっとビックリしました。始まる前に、千次郎さんの「解説」がありました。すっかり解説も板についた千次郎さんです。

 全員黒紋付に袴という姿です。鬘やお衣装がないので誤魔化しが効きません。お扇子を巧みに使って表現されていました。お扇子を三分の一くらい開けて、それを逆三角形の向きにして顔の前に持ってくると、あ~ら不思議、ねずみの顔に見えてくるんですよね。あるいは、閉じた扇子をお尻の後ろに添えて尻尾に見せるとか。「うまいこと考えたはるなぁ」と感心しながら拝見しておりました。

 七人の群舞、ちゃんと振りも揃っていました。おそらく普段はそういう踊り方をされないと思うので、かなりお稽古をなさったのではないかと…。演奏は菊央雄司さん、お三味線を弾きながら歌われていました。歌詞はわかりやすい、聞きやすいもので洒落のきいた楽しい歌詞でした。ただ、やっぱりまだまだ舞踊は苦手、面白いのにところどころで意識を失っておりました。2回見ましたが、2回とも最後の引っ込みを見られず…。情けないことでございます。

 お芝居は「封印切」です。今年は成駒家さんの型だそうで、がんじろはんのご指導です。と言われても、「封印切」ってほとんど成駒家さんで、1回だけ孝夫さんで見たような記憶がありますが、同時に右画面と左画面で見ているわけでもないので、型がどう違うのかは全くわかりませんでした。プログラムによると、小判の封印が勝手に切れるのが成駒家で、自分から切るのが松嶋屋さんだそうですが、着物の中でごちゃごちゃやったはるので、切れたのか切ったのか、そんなん見えませんし…。

 忠兵衛は翫政さん、梅川はわれらが吉太朗クンでした。お役の設定の年齢に近いせいもありますが、とてもしっくりとくるカップルでした。翫政さん、何となく素のイメージは三枚目なんですが、今回はちゃんと二枚目に見えました。花道から登場し、七三のところでのお芝居、ちょっと藤十郎さん風味がありました。がんじろはんよりも藤十郎さんに似てるって思いました。

 吉太朗クンの梅川はとにかく可愛らしい、健気で切なくて、“ギュッとしたくなる”女の子でした。菊ちゃんが以前梅川を演ったことがあり(チャレンジ精神は認めますが、ちと無謀…)、その時のご指導が秀太郎さんでした。秀太郎さんがおっしゃるには「梅川はアホな子やねん。忠さんが好き、それだけやねん」だそうで、吉太朗クン、そんな無垢で純真なところもバッチリでした。菊ちゃんもですが、扇雀さんとか壱太郎クンは“理”が勝るような気がします。吉太朗クン、前々から上手い役者さんで、今回の梅川ももちろんすごく出来るんやろうなと予想はしていましたが、それを軽く超えてきました。初めて、梅川で泣きました。っていうか、成駒家さんのって、ここまで集中して見てなかったと思うんです(コラっ)。今回はわれらが吉太朗クンってことで、かなり気合を入れて見たので。あ、それと最前列だったこともあると思います。“舞台に近づけば近づくほど、感動は大きくなる”という法則もあったと思います。

 おえんさんの當史弥さん、仲居およしの千太郎クンに秀太郎さん風味がありました。松四朗さんの八つぁん、憎々しげ満載でよかったです。八つぁん、大事ですよね。ポンポンと畳みかける台詞は、大阪弁Nativeでないと面白くありません。愛之助さんの八つぁんも良かったですよね。老け役担当?の鴈大さん、今回は顔に皺を描かずにちゃんと中年に見えました。

 見終わってから「あぁ、すごいしっくりとくる『封印切』やったわぁ。ええもん、見せてもろたわぁ」って思ったのですが、これって秀太郎さんがよくおっしゃっていた「上方の匂い」っていうものなんでしょうね。出ている役者さんが全員大阪弁Native、大阪で生まれて大きくなって今も住んでるっていうのがいいんでしょうね。歌舞伎のお芝居の上手下手から言えば、もちろんがんじろはんや扇雀さんのほうがお上手なんでしょうけれど、この人たちが舞台にいると確かに大阪新町の井筒屋なんです。反対にこの人たちが黙阿弥ものとかするとちょっと浮くかもしれません。

 それともう一つ思ったのは「晴の会」の経験です。「晴の会」では小さいハコで出演者が全員主役みたいなもので、何かしら大事なお役、スポットライトを浴びます。1年に2度“前に出る芝居”を経験されることは大きいと思います。100回のお稽古よりも1回の本番ってどこかで聞いたことがありますから。

 さらにもう一つ、千次郎さんは玉ちゃんに、千壽さんは幸四郎さんに、吉太朗クンは菊ちゃんにと幹部さんに引っ張ってもらってるっていうのもあるのかなぁと。要となるお役を割り振られ、それにきちんと応えてこられたことが大きな財産になっているような…。再来月、歌舞伎座でわれらが吉太朗クンが千鳥です。「FFX」や「刀剣乱舞」でも注目されましたが、ガッツリ古典もバッチリ出来るところをお江戸のお客さんに見せてやってちょーっておばちゃんは思っております。

 そうそう、最後のご挨拶です。孝夫さんが今年監修に回られて、出て来られるのかしらとドキドキしましたが、無事にお出ましでした。珍しいシングルのスーツ姿でした。どうもああいうご挨拶はお苦手なようで、なかなかのグダグダぶり、でもそんな孝夫さんは滅多に見ることができませんので、年に1回のファンサービス?かと…。萌え~でございます。最後に「これからもこの『晴の会』をよろしく…」って言いかけて、後ろからタカタロさんのダメ出しがありました。ワタシ的には、それだけ「晴の会」のことも思ってくださっているんだなぁとちょっと嬉しくなりました。秀太郎さんが手塩にかけて育てられた「晴の会」ですからね。本当にご兄弟仲の良い松嶋屋さんでございます。

 上方歌舞伎会の皆さんの活躍の場が広がればと祈ります。また来年を楽しみに。
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今日もここ

2024-08-25 15:44:28 | 観たもの
上方歌舞伎会の千穐楽でございます。たった4回で終わりとはちょっともったいないような気がしますが。しっかり見納めます。
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