「男の隠れ家ー陶酔庵」日記

いろいろあってまだ生きてます。世捨て人を気取りながら、その高みにはほど遠い俗世の世迷い人生、命だけが通り過ぎてゆきます。

WANTED・・・・世の中、こんなことがあっていいのか!!

2006年02月03日 | 笑い話

時々コメントを寄せてくださる「右45°」さんのご両親とはもう35年を超えるお付き合いである。
彼がまだ幼少の頃、私は半居候状態であった。

昨日、私は定期受診のため病院の外来待合の椅子にインフルエンザ感染を気にしながら
1時間ほど座って待っていた。

私の左側は大きな窓ガラスを隔てて20畳ほどの中庭があり、その向こうはまた窓ガラスの向こうに他の診療科
の待合席がある。

退屈な時間の中、ふとその中庭の植木を眺めさらにその向こうに見える診療科の待合に、
彼の母上(S子さん)を見つけ、そろそろ自分の名前が呼ばれるかもとの迷いの中で
(呼ばれたときにいないとまた次に呼ばれるまで時間がかかるのである。)「そういえば、最近腰が痛い」
って言ってたななどと考えながら、しばらく様子を見ていた。

S子さんは2度ほど窓口で何事か話しを交わされ席に戻られた。

痩せこけてはいるが、いまだに美しい顔も上品な立ち振る舞いも髪型も背格好も
身につけている衣服の雰囲気など全て本人であることを確認し、
久しぶりではあるし、この際と思い声を掛けようと席を立った。

15歩ほど歩いて本人の後ろ側から迫り、そして真横に立って再度確認、
さらに1歩前へ出て右目でもう一度本人であることを確認して、

いきなり「うわーっっっ」と大声を出して両手で両肩をバシッと叩き押したのである。
ただ単純に驚かしたかったのである。

そして私は本人に向って「えへへー」と満足気味に微笑みかけたのである。
今にして思えばまるで少しイカレタセクハラ変態である。

こんなときもクールで「あらー、どうしたの」と声が返ってくるはずのS子さん、
ところが声もなく、椅子からずり落ちそうになっておびえた様子。

「なぜー」「えーっ」と思い50cm位の距離でしみじみと顔を見る。
だいぶ時を経たとはいえ、S子さんにしては鼻の両脇のしわがちょっと深い。他は全て同じパーツ。

時、すでに遅し。近くに座っていた人たちが何事かとざわめき立つ。ヤバー・・・


すみましぇーん、知り合いにあまりに似てらしたもんでー」

と頭を下げつつ、語尾ははるか遠くで、逃げる、逃げる。小走りにコーナーを曲がってトイレに逃げ込む。

久々の緊張感とスリル。平常時、脈拍120の私が180は超えていたろう。
それにしても親子でも兄弟でもあんなにうりふたつは見たことねー。「大きな名札」付けるべきだよねー。

気の小さな私は、しばらくしてトイレから出て、
もといた席の付近の柱の影からそーっと見るともう S子さんは居なかった。

「犯人は必ず現場に戻ってくる」理由がわかった。

そして自分の名前が呼ばれ、診察が始まった。
 
問診「最近、何か変わったことありましたか?」 「今、ありました」
触診、手の甲で腹部を押さえつけながら、「どこか痛みますか?」 「心が痛みます」
血圧測定。

「今日はいつもより高いねー、危険領域だねー、もう一回計ってみようか?」

「そうすかー、いや、いいっす」

診察後も会計窓口、薬局窓口と柱の影から鋭い視線で周りを伺う自分がいた。
「まだまだ油断はできねー」


病院からの帰り道、最近流行の「ちょい悪るオヤジ」に少しなれた気がした。
ファッションは別として。

前回の写真同様、今回も少しピントはずしたかなー。

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コメント (6)
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