上の写真はこの日のためにホームセンターで買い揃えたワイヤーブラシ。
一体何に使うのか??
前回削りを終えた壷にヘヤードライヤーで乾燥させながら刷毛で白化粧土を塗り重ねていった。
壷にピントが合わずに見せたくない散らかった背景にピントが合ってしまった。
これで後は素焼きを済ませて釉掛けして本焼きをすれば完成!・・・ならいいのだが。
それでは普通の白化粧・粉引きの壷。
参考にした花巻の作家さんは「いぶし焼き」といって、焼成中に窯を開け、電気窯に新聞紙に松葉をくるんで投げ込んだ。
しかし私には「いぶし焼き」の焼成温度もわからず、素焼きなのか、
本焼きなのかわからず仕舞い。全ての工程・手の内を見せてはくれない。
とりあえず普通に素焼きをすることにした。
これが誰かさんのオヤジギャグではないが、「ボツ!の壷」への始まりであった。
花巻の作家さんは「いぶし焼き」を終えた壷の下に厚いスポンジを敷いて
タライに半分水を浸し、折角塗った白化粧土をワイヤーブラシで時間を掛けて丁寧に削り落としていく。
完成した壷は黒くいぶされた肌に微妙に削り残された白化粧が点在する。
何とも言えない土感と素朴さ!!時を経た風化の香り!!
私は仕方ないので素焼きを終えた壷を同じように水に浸しながらワイヤーブラシで削り落とそうとした。
しかしこれが思ったより大変な作業。素焼きで焼きついた白化粧はそうたやすく落ちてはくれない。
先日の叩きタタラ丸皿では何度塗り重ねてもあれだけムラが出たのに、
こんな時に限って白化粧土はしっかりと厚くかかっている。
リウマチの手で精一杯頑張ってこれが限界です!というところまで削ったがこれ以上は自分の手には負えない。
かといって、猫の手も犬の手も・・・・熊の手なら落ちるかも。
とりあえず、あきらめて普通に本焼きで焼き締めてみることにした。
考えが甘かった。その道一筋で追求してこられた技法を一朝一夕で簡単に真似できるわけがない。
これでは何の変哲もない傷だらけの手負いの粉引きの壷。
「ボツ!の壷」のままでいいのかという声を遠くに聞きながら、
扱いに困ってこの後一ヶ月ほど放置されることになる。
息子のケアレ・スミスが見かねてハッパをかけるまで。