2016年5月 京都を歩く ⑤ 五山 京都駅ビル 鞍馬 仁王像 湛慶
5月5日午後5時半ごろ、桃山御陵駅で近鉄京都線に乗り、京都駅に向かう。夕食は伊勢丹8階の眺めを期待して、加賀屋を予約しておいた。予約の6時15分、ほぼ定刻通りに着いた。
東本願寺の均整の取れた大屋根、はるか先には送り火で知られる五山の山並みも見える。「左から、左大文字、奥に舟形、やや右に妙法の妙、さらに右に妙法の法、ズーと右手前に大文字」と、和服姿の係が説明してくれたが、どの山かは分からなかった。
「火がつけばすぐ分かりますよ、でも送り火の8月16日は予約で満席になります」、とのことだった。やがて日が落ち、町に灯りがつき始めた。夜景を見ながら、加賀屋+京風の懐石料理を美味しく頂いた。
夕食後、酔い覚ましをかねて京都駅ビルを散策した。今日は子どもの日である。大階段に鯉のぼりをデザインしたライトアップが現れた(写真)。パット点滅し、次は一面の兜のライトアップに変わった。イベント担当者も楽しんでいるようだ。
ホテルに戻る。このホテルを選んだのは、駅に近いという立地もさることながら、天然温泉を楽しめるのが決め手になった。地下から源泉を汲み上げているそうだ。大浴場は最上階8階にあり、広々としていて、眺めもいい。今日は新幹線の移動があったにもかかわらず、石清水八幡宮の男山~伏見の酒処から御香宮神社まで2万歩も歩いた。無色透明の炭酸水素泉にのんびり浸る。足の疲れが引いていく、ような気がする。
5月6日・金曜、外は雨の跡が残っていた。曇り空にはときおり怪しげな雲が流れていく。今日の予定は鞍馬の山歩き、念のため傘を持ち、あとは運を天に任せることにする。
ホテルは素泊まりで予約したので、駅ビルに出かけ、サンドイッチのチェーン店Sに入る。Sに入るのは初めてで、最初にパンを選び?、次にサンドイッチに挟む具を選ぶ?。店内かテイクアウトか、暖めるかそのままか、など係が次々に問いかけてくるが、そのたびに一息つまる。
ずいぶん前、コーヒーチェーン店のSに初めて入った。ブレンドを頼んだら、カップの大きさを聞かれ、一息つまった。初めてだと、ロングがどのくらいの量か見当がつかず、つまってしまった。
どちらも一度経験すればどういうことはないが、初めてだと要領が分からずつまってしまう。
地下街を急ぐ通勤客を眺めながら、手軽な朝食を済ませた。駅近のホテルは何をするにも地の利がいい。
9時、地下鉄烏丸線で国際会館駅に向かう。9時半ごろ、国際会館駅前から鞍馬温泉行きの京都バスに乗り込む。秘境の鞍馬温泉も魅力的だが、今回は鞍馬から貴船のハイキングが狙いである。手前の鞍馬でバスを降りる。
10時前、バスを降りたあたりには食事処、土産屋などの民家が屋並みをつくっていて、その先に、うっそうとした森を背景にして、急峻な石段の上に山門=仁王門が構えていた(写真)。
1100年代創建だが、現在の門は1911年の再建である。左右の仁王像は、鎌倉時代の仏師・運慶の子である湛慶の作だそうだ。彫りが深く、猛々しい形相をしている。
ここが結界、仁王が邪気を払い、浄域に踏み込む。
空はますますどんよりし、うっそうとした森で山道は薄暗い。右に保育園があり、子どもの声が聞こえる。最近、保育園・幼稚園の声がうるさいからと反対運動が起き、建設が中止になった「事件」があった。
自分が子どものころは大騒ぎしていたはずなのだから、うるさいから建設に反対するとは理解に苦しむ。鞍馬の保育園では思い切り大騒ぎできそうだ。
人がいないと薄気味悪いほど薄暗い山道を登る。右手の先で、女性二人が写真を撮りあっている。見上げると、2階分ほどの高みに社があり、水が流れ落ちている。鞍馬山案内のパンフレットには魔王の瀧と記されている。
650万年前??に魔王が降臨したそうで、パワースポットとして知られているらしい。手を合わせ、パワーを受ける。