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気がつけばふるさと離れて34年

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映画「万引き家族」ドイツ語字幕付き

2019-03-20 15:53:10 | 日記
先週末ケルンの小さな映画館で「万引き家族」を観ました。




当日券を購入しようとしたら後方の席は全て予約済みで前から2列目の席しか空いていませんでした。ほぼ「仰け反る」ようにして観なくてはならず、首が痛くなり、映画終了後、一緒に行った友人と「首回し運動」をしました。

ドイツ語字幕付きで、台詞の日本語とドイツ語訳を時折比較してしまうのは仕事柄、ちょっと「姑根性」が出てしまうのかなぁと思ってしまいました。

最後の方で翔太が閉じ込められた車種は「トヨタのヴィッツ」と信代が告げる部分では欧州での販売名「Toyota Yaris」と正確に訳されていました。

字幕作業に興味を抱き次の本を再読しました。



本の中でいつも一番興味深い点は字幕作業の鉄則「1秒=4字」です。
英語の台詞が1秒位だとすると日本語訳は4字で収めなくてはならず→これはかなり困難な作業です。

例文として記されていたのが次の英語のセリフです。

Wait a minute. I don't know you.

これを直訳すると「ちょっと待ってくれ 私はあなたを知らない」。

でもセリフを話す時間はせいぜい1秒半なので、「1秒=4字」鉄則だと字幕は6字以内になります。
上の直訳文では21文字なので15字もオーバーです。

これからが字幕屋さんの腕の見せどころです。
さて6字にまで縮め、なおかつ意味が通るようにするにはどのような訳になると思いますか?

作者が最善と思うのは次のふたつです。
「待て 君は誰だ」
「待て 誰なんだ」

コメント (6)
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歌集「その一粒に重みのありて」

2019-03-18 14:29:43 | 読書


これは昨年11月に出版された皇后さまのお歌をドイツ語に翻訳した歌集です。

歌集はドイツのヘルダー社から出版されたのですが、この出版社の社長ヘルダー氏が皇后さまのお歌をドイツ語に訳してご紹介したいと思われた人物です。

ヘルダー氏は大学で日本学を学んだ親日家で、東日本大震災の後、被災地を訪問される両陛下に感動し、皇后さまがお歌を詠まれることも知り、是非歌集として出版したいと思われたのだそうです。

それでドイツ語訳と解説を彼の日本学の先生パンツァー氏に依頼し、構想から8年目で出版にこぎつけたということです。

何首かご紹介します。

まず宮家に嫁がれ、皇太子妃としての責務の重さを思って詠まれたお歌は歌集のタイトルにもなっています。

てのひらに君のせましし桑の美の
その一粒に重みのありて

ご三人の宮様のご誕生のことや、昭和天皇崩御、ご成婚50周年目のことなど身辺の出来事や国内各地をご訪問された時のお歌の他に海外に目を向けたお歌もあります。

ベルリンの壁崩壊のお歌は今回の歌集がドイツ人向けの出版ということを配慮して歌集に収められたのかもしれません。

われらこの秋を記憶せむ
朝の日に
ブランデンブルク門明るかりしを


1989年11月10日の夜半ベルリンの壁が崩壊し東西ベルリン市民が歓喜に沸いていた頃、時差の関係で日本はすでに夜明けの日が射していたが、ただここで詠まれている「ブランデンブルク門の明かり」は「自由の光」であるとパンツァ先生は解説に記しています。

ヘルダー氏が感動したというお二人の被災地ご訪問ですが、皇后さまが詠まれた震災のお歌です。

草むらに白き十字の花咲きて
罪なく人の死にし春逝く


最後は1972年5月15日の沖縄復帰を詠まれたお歌です。
沖縄の基地問題が速やかに解決するようにとの願いをこめてご紹介します。

この夜半を子らの眠りも運びつつ
デイゴ咲きつぐ島還り来ぬ





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美術品を命がけで守るということ

2019-03-14 14:23:08 | 日記

先日ドイツのテレビでは映画「モニュメンツ・メン」が放映されました。

2015年秋に「ミケランジェロ・プロジェクト」として日本で公開されたのでご覧になった方がいるかも知れません。



モニュメンツ・メンとは第二次世界大戦中、記念建造物や美術品を爆撃から守ろうとした連合軍の兵士たちのことです。

邦題が「ミケランジェロ・プロジェクト」になっているのは救出した美術品の中にベルギーのブリュージュの聖母教会のミケランジェロ作「聖母像」があったからです。

第二次世界大戦中、ナチス・ドイツは侵攻地域で美術品を略奪し、それを「(ヒトラー)総統美術館」で公開することを計画していました。

しかし戦争末期、ドイツの敗戦があきらかになるとヒトラーはドイツ国内の資源、産業施設等について、敵が入手する前に破壊することを命令します。

それまでに略奪した多数(ほぼ20万点?)の美術品も破壊の対象になりました。

それ以前から(戦争勃発直後以来)欧州では貴重な美術品が戦火にあったり、ナチスは略奪しなかった美術品も撤退する際には故意に破壊したので、多くの文化財が失われてしまっていました。

これを憂慮したのが当時ハーバード大学付属美術館長だったフランク・ストークスで、ジョージ・クルーニーが演じています。

ストークスはモニュメンツ・メンとして美術館の館長、学芸員、建築家などに声をかけます。

中に後にNYのメトロポリタン美術館の館長となるジェームズ・グレンジャーもいます。この人物を演じているのはマット・デイモンです。

あるプロジェクトのために優秀な友人に声をかけるというのは映画「オーシャンズ」に似ていますが、「モニュメンツ・メン」は史実に基づく映画です。

主演ばかりでなく監督も務めたジョージ・クルーニーは映画の80%までは本当にあったことと語っています。

略奪された美術品の隠し場所に重要なヒントを与えたのが当時、ジュ・ド・ポーム国立美術館(オルセー美術館の前身)で美術品の強奪を指揮するナチ親衛隊の秘書をしていたフランス人のクレール・シモーヌで、ケイト・ブランシェットが演じています。

映画のポスターにも記されているように、「モニュメンツ・メン」のメンバーは「芸術はプロ、戦争はド素人」でそれまでは銃を持ったことのないような人々でした。でも芸術品は人類の宝だと救出のために戦地に向かうのです。メンバーのうち2名が活動中、命をおとしてしまいます。

戦後、ジョージ・クルーニー演じるストークスが彼らの活動の事後報告を行うのですが、亡くなった2名について、聴いていた政府関係者から

「命を失っても守る価値のあるものだったか」(うろ覚えですが、多分このような問いかけだったと思います)との問いに、ストークスが即座に

「イエス」と答えるのは感動的でした。

映画に登場する救出された名画や美術品を巡る旅にいつか出かけられたら良いなと思っています。




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3月11日に聴く歌

2019-03-11 15:52:43 | 日記

ここ数年、3月11日にいつも聴く歌があります。

新沼謙治さんが作詞作曲した「ふるさとは今もかわらず」です。



以前にもブログで綴ったことがありますが、新沼さんは私と同郷で、彼のご実家があるあたりの当時の光景は今でもかなり鮮明に覚えています。

海岸から遠く離れている地域なので津波の被害は受けなかったようですが、現在は家屋が増えて、昔の緑豊かな風景は一変してしまいました。

景色は変わっても、私の思い出の中にある「心の情景」は変わっていないと一時帰国する度に想います。

以下に歌詞(一番だけ)を記します。まだお聴きになっていない方はYouTubeで是非お聴きください→皆さんの「ふるさと」の情景が彷彿されるはずです。

爽やかな 朝靄の中を
静かに 流れる川
透き通る 風は身体をすりぬけ
薫る 草の青さよ

緑豊かなふるさと 花も鳥も歌うよ
君も 僕も あなたも ここで生まれた
ああ ふるさとは 今もかわらず


ちなみに新沼さんの歌で私が一番好きなのは「嫁にこないか」です。

誠実な新沼さんにこんな風に言われたら還暦をとっくに過ぎた今でもちょっと「グラッ」となりそうです
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読書会

2019-03-08 14:15:18 | 日記
2011年3月11日の大震災以後、被災地では復興へ向けてさまざまな取り組みが行われています。

私の出身地、岩手県の放送局「岩手放送」も「復興への羅針盤」という番組で県内の取り組みを紹介しています。

陸前高田市で行われている「読書会」も復興への取り組みのひとつです。

この読書会ではオーストリアの精神科医ヴィクトール・フランクルの「夜と霧」を皆で読んでいます。



読書会を立ち上げたのは震災当時、県立高田病院の院長だった医師の石木幹人さんです。

「夜と霧」ではユダヤ人精神科医だったフランクルがナチスドイツの強制収容所での体験をもとに「苦しい生活を生きぬく中での生きる意味」について綴られています。

この作品は全世界に大きな影響を与え、神谷美恵子さんが「生きがいについて」を執筆するきっかけになったといわれています。

私自身は電子書籍での試し読みで50ページほどしか読んでいませんが、やはりこういう本は紙本で精読したいと思っています。

石木さんが5年前に立ち上げた「読書会」では、これまで皆で「夜と霧」を2回読み終えたそうです。

前置きが長くなりました。ここからが本題です。

もう30年以上前になりますが、ドイツに来てまだ日も浅く、ドイツ語で本を読むのは覚束なかった頃、付近の日本人女性のグループが催す「読書会」に誘われました。

メンバーには私も含め、大学で独文を専攻した方はいらっしゃいませんでした。

ひとりではなかなか完読できないドイツ語の本や随筆を月(あるいは数か月)に一冊ずつ一緒に読むということが目的でした。

例えば「過去に目を閉ざすものは現在に対してもやはり盲目となる」という名言で有名になったヴァイツゼッカー元大統領の1985年5月8日での連邦議会での演説文とか、メンバーのひとりで声楽家の方からの要望により「モーツァルトの手紙」、また環境問題に関心が高かった方からの提案でアルゴア(アメリカの元副大統領)の環境に関する本の独語版などを皆で一緒に読みました。

私は夫が旅行好きで当時から各地を旅行していたのでエンツェンスベルガーの「旅行業論」からの抜粋をどこかで見つけ、それを提供したような記憶があります。

ちなみにエンツェンスベルガーには「数の悪魔」という本があり、これは「算数や数学が好きになる本」として日本でも売れているそうです。

それからどこに記載されているのかは不明ですが、エンツェンスベルガーには「詩の読者に関する定義」という文章があり、それによると1900年以来、詩の読者はコンスタントに1354人しか存在しないのだそうです→いつかこの文章に目を通したいものです。

私が属していた「読書会」はもうなくなってしまいました。メンバーのうちお二人が亡くなられたことや日本にご帰国された方がいることも理由ですが、ドイツでの滞在期間が長くなり皆さんそれぞれ自分の好きなドイツ語の本を読み始めるようになり、読書会の必要性が薄れてきたことがあるかと思います。

でもこの読書会に参加できたことを本当に感謝しています。





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