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読書会

2019-03-08 14:15:18 | 日記
2011年3月11日の大震災以後、被災地では復興へ向けてさまざまな取り組みが行われています。

私の出身地、岩手県の放送局「岩手放送」も「復興への羅針盤」という番組で県内の取り組みを紹介しています。

陸前高田市で行われている「読書会」も復興への取り組みのひとつです。

この読書会ではオーストリアの精神科医ヴィクトール・フランクルの「夜と霧」を皆で読んでいます。



読書会を立ち上げたのは震災当時、県立高田病院の院長だった医師の石木幹人さんです。

「夜と霧」ではユダヤ人精神科医だったフランクルがナチスドイツの強制収容所での体験をもとに「苦しい生活を生きぬく中での生きる意味」について綴られています。

この作品は全世界に大きな影響を与え、神谷美恵子さんが「生きがいについて」を執筆するきっかけになったといわれています。

私自身は電子書籍での試し読みで50ページほどしか読んでいませんが、やはりこういう本は紙本で精読したいと思っています。

石木さんが5年前に立ち上げた「読書会」では、これまで皆で「夜と霧」を2回読み終えたそうです。

前置きが長くなりました。ここからが本題です。

もう30年以上前になりますが、ドイツに来てまだ日も浅く、ドイツ語で本を読むのは覚束なかった頃、付近の日本人女性のグループが催す「読書会」に誘われました。

メンバーには私も含め、大学で独文を専攻した方はいらっしゃいませんでした。

ひとりではなかなか完読できないドイツ語の本や随筆を月(あるいは数か月)に一冊ずつ一緒に読むということが目的でした。

例えば「過去に目を閉ざすものは現在に対してもやはり盲目となる」という名言で有名になったヴァイツゼッカー元大統領の1985年5月8日での連邦議会での演説文とか、メンバーのひとりで声楽家の方からの要望により「モーツァルトの手紙」、また環境問題に関心が高かった方からの提案でアルゴア(アメリカの元副大統領)の環境に関する本の独語版などを皆で一緒に読みました。

私は夫が旅行好きで当時から各地を旅行していたのでエンツェンスベルガーの「旅行業論」からの抜粋をどこかで見つけ、それを提供したような記憶があります。

ちなみにエンツェンスベルガーには「数の悪魔」という本があり、これは「算数や数学が好きになる本」として日本でも売れているそうです。

それからどこに記載されているのかは不明ですが、エンツェンスベルガーには「詩の読者に関する定義」という文章があり、それによると1900年以来、詩の読者はコンスタントに1354人しか存在しないのだそうです→いつかこの文章に目を通したいものです。

私が属していた「読書会」はもうなくなってしまいました。メンバーのうちお二人が亡くなられたことや日本にご帰国された方がいることも理由ですが、ドイツでの滞在期間が長くなり皆さんそれぞれ自分の好きなドイツ語の本を読み始めるようになり、読書会の必要性が薄れてきたことがあるかと思います。

でもこの読書会に参加できたことを本当に感謝しています。





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