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カミュ著 『ペスト』

2020-05-23 17:59:00 | 読書
日本ほどではありませんが、ドイツでもカミュの『ペスト』を手に取る人が増えています。



元々長編は苦手な上、なおさらドイツ語だと読み終えるのがいつになるかわからないので、
日本語の電子書籍を購入しました。



日本語でも900ページ以上の長編は読み終えるのに時間がかかりました。
主人公の医師リウーの他に多くの人物が登場するので、初めに登場人物リストを作成するべきだったと後で気付きました。
後半は読み進めるのが大義になり字面だけを追っていたので、読後の充足感はなく消化不良気味になりました。
かと言って、また改めて読み返すなんて→とんでもないです。
それでNHKの『100分de名著』の電子版を購入しました。



カミュの経歴とか、サルトルとの比較、カミュの「不条理」についてなど、いかにこの小説のうわべだけを読んでいたか痛感させられました。
この小説を紹介したドイツの新聞記事でも記載されていた医師リウーの最後の言葉が読者に救いの光を与えてくれます。
「人間の中には軽蔑すべきものより賞賛すべきもののほうが多い」

「賞賛される行動」とは例えば危険をかえりみず、医師のリウーや市役所に勤めるグラン、パリから来た若い新聞記者ランベール、疫病が蔓延する様子を観察日記に記す青年タルーらにより結成される保健隊の姿に見られます。
保健隊は市の感染予防対策が遅々として進まない時に市民の志願者により結成され、自分たちで感染者の隔離を遂行します。そして保健隊員も感染してしまうのですが、そのひとりがタルーでした。
タルーは最後に医師リウーの家でリウーとお母さんに看取られ亡くなります。
タルーの「自分はあらゆる場合に犠牲者の側に立つ」という最期の言葉にも胸を打たれます。

アルジェリアの港町で4月から蔓延した疫病の終息宣言が出されるのは翌年の1月で実に10ヶ月間災厄は続きました。
今回のコロナ禍は終息までそれ程長くかからないことを祈っています。