2012-1117-man0783
万葉短歌0783 をととしの0717
をととしの 先つ年より 今年まで
恋ふれどなぞも 妹に逢ひかたき 大伴家持
0717 万葉短歌0783 ShuB692 2012-1117-man0783
□をととしの さきつとしより ことしまで
こふれどなぞも いもにあひかたき
○大伴家持(おほともの やかもち)=原文では「大伴宿祢家持」。第403歌参照。
【編者注】題詞原文は、「大伴宿祢家持贈娘子歌三首」。その第一首。「娘子」については別記。
【訓注】をととし(前年)。先つ年(さきつとし=先年)。逢ひかたき(あひかたき=相難)。
【娘子(をとめ)】依拠本を要約すると次のとおり。娘子は第691歌以下三か所に登場した人物と同じか。とすれば天平8年(736)頃の歌なので、恋し始めたのは同5年頃。その年は坂上大嬢と離縁状態になって妻妾のもとへ通い始める(だからこの歌の足掛け四年)。娘子は、その間の大嬢と妻妾とを重ね合わせた映像であろう。娘子へは「終始ひたぶるな心が強」く、、「架空の相手ゆえ、…青春のほんとうの恋心を託し」、また「喪った妻妾への思いのたけが切実であった」ということか。