A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

プロモーターとプロデューサーが大事なのは古今東西変わらない・・・

2014-01-30 | MY FAVORITE ALBUM
Standard Songs / Breeze

前回紹介したMonty Alexsanderのアルバムは日本での録音とコメントしたが、クレジットを見ると
Special thanks to Takao Ishizuka : All art promotion の一行が。

この1982年のMonty Alexsanderトリオ来日の仕掛け人はこの人だった。
ジャズのプロモーターとして昔から尽力、活躍され、その後1986年からConcord Jazz Festival in Japanをずっと主催、招聘されてきた方だ。
昨年も、昔から較べると規模は大分小さくなったが、JATP tribute to Noman Granzと銘打って開催された。

各地で色々なコンサートが開かれたが、その一環として昨年5月に東京TUCでジェフ・ハミルトントリオにハリー・アレンとグランド・スチュワートの2テナーが加わったライブがあった。よくスイングするトリオに良く謳う2人のテナーの共演は予想通り楽しいライブであり、満足して帰宅した。
それではJATPの他のステージもと思って出かけてみたが、こちらはお客も少なく今一つのらない残念なステージであった

会場となった東京TUCには、お気に入りの野口久和ビッグバンドが定期的に出演しているが、このバンドの専属コーラスグループがBreezeである。横浜のホテルにもレギュラーで出演し、他にもライブ活動を積極的に行っているが、ビッグバンドと一緒に聴けるのはここだけ。毎回楽しみにしている。

このBreezeの面々が、昨年のジェフハミルトン達のライブが行われた当日東京TUCに来ていた。演奏を聴きに来たのではなく、彼らと一緒に演奏するために。それも実際のステージではなく、開演前の限られた時間で両者の共演の模様を録音するために。
2時間だけ東京TUCの客席が録音スタジオに早変わりしたそうだ。
最初のアルバムを出したのは1997年のFoot Steps
息の長いグループだが、久しぶりのアルバムだ。このメンバーでは初めてのアルバムだそうだ。

限られた2時間の中で、収録できたのは6曲だったが無事にCDになり、先日そのCD発売記念のライブがあった。その時は、ビッグバンドではなく、いつものピアノトリオにオーケストラのメンバーの高橋さんのテナーが加わったカルテットをバックに。
CDに収められた曲だけでなく、新レパートリーのシャイニーストッキングを含めてタップリ2時間のステージ。レギュラーで活動しているコーラスグループは数少ないだけに貴重なライブだった。

という訳で、一般販売はまだ少し先らしいが、そのCDをとりあえず紹介しておく。
和田誠のデザインによるかわいいジャケットで、当日録音された6曲が収められている。
曲はタイトル通りスタンダードばかり。超絶技巧を競うというよりオーソドックスにコーラスの楽しさを味わえる。2時間という制約中でリハーサルもそこそこにという感じだったと思うが、呼吸はピッタリ。普通のボーカルよりも呼吸合わせは難しいそうだが、さすがプロ同士の共演である。

会場がTUCということもあり、録音の機器やセッティングにも制約があったと思う。ハミルトンのドラムなどは少しオフ気味であるが、いつも通い慣れている会場のTUCの再現アルバムと思うとかえって雰囲気がそのままパッケージされていて嬉しい。

さて、この共演がどうやって実現したかというと、始めに紹介した石塚氏の尽力があったからだそうだ。確かに、そうした仲介者がいなければ両者の共演どころかアルバム制作など不可能であったと思う。

ジャズの歴史を辿ると、今でも残っている様々な名演といわれる大部分のアルバムは、それをレコードにするレーベル、プロデューサーが存在した。その存在があったからこそ今でもその演奏を楽しめるというわけだ。
さらにライブの公演を各地で行うにはプロモーターの存在が大きかった。プロモーターがいるからこそ各地で公演が聴ける。逆にプロモーターの不手際によりミュージシャンが路頭に迷う事件も過去には何回もあったようだが。

ところが、最近の自分が接する国内のアルバムを見るとほとんどが自主制作アルバム。あるいはインディーズレーベル。ジャズは元々インディーズとはいえ、これではファンの元に広く世に知らしめ流通させるのは至難の業だ。
最近はネット万能時代なので、個人でやりたければ何でもできるという時代といわれているがそれは限界がある。ミュージシャンが一人でやれるというのは所詮限度があると思う。

やはり、ミュージシャンは演奏に徹し、ファンをその演奏に結び付けるにはプロデューサーとプロモーター、そしてそれを実現するレーベルとライブの場所、さらにはパトロン(スポンサー)が必要なような気がする。
こればかりは、ネット万能時代になっても変わらないはずだ。

今回も石塚氏とTUCの田中氏がいたからこそ実現できたものだと思う。このような繋がりを大事にできるような世の中にするように一ファンとしても応援したいものだ。
ライブハウスでは昔に比べると遥かに多くの演奏が日々行われている。より多くのファンに聴いてもらうために、そして素晴らしい演奏を後世に残せるように。

1. Fly Me to the Moon
2. Gentle Rain
3. My Foolish Heart
4. When You Wish Upon a Star
5. I Git Rhythm
6. Li'l Darlin'

Breeze
Keiko Kosuge (Soprano)
Atsuko Matsumoto (Alto)
Manabu Nakamuara (Tenor)
Takashi Isogai (Baritone)

Harry Allen (ts)
Grant Stewart (ts) track1
Tamir Hendelman (p)
Christoph Luty (b)
Jeff Hamilton (ds)

Produced by Takao Ishizuka
Recorded by Haruki “Hulk” Ito
Recorded on May 29,2013 at Tokyo TUC, Akihabara, Tokyo

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1 コメント

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タミール・ヘンデルマン東京公演 (Dai Murata )
2014-08-02 21:24:37
どうぞ、よろしくお願い致します。

9/23(祝火)
場所  Half Moon Hall - 下北沢
http://eplus.jp/sys/T1U89P0101P006001P0050001P002126068P0030001P0006
タミール・ヘンデルマン(Pf)
魚谷のぶまさ(B) 竹田達彦(Ds)

タミール動画
http://youtu.be/oItYxz7bhDk

ポール・マッカートニーの2012年に発表した『Kisses On The Bottom』に参加し、バーブラ・ストライザンドの伴奏、ジェフ・ハミルトン・トリオのレギュラーピアニストを務めるタミール・ヘンデルマンと泣く子も黙る魚谷のぶまさ、関西の人気者 竹田達彦のトリオで東京に行きます!!たぶん、席数が80名なのでお早めにチケットを購入ください。チケットの予約は、
Open 3:00~
1st3:30~ 2nd 5:00~(入れ替えは致しません)
前売り ¥4500-1ドリンク付き 
当日 ¥5000-

チケットの予約は、http://eplus.jp/sys/T1U89P0101P006001P0050001P002126068P0030001P0006 から!!
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