A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

アートブレイキーが今度はマルサリスを引連れて登場・・・

2012-05-13 | CONCORD
Straight Ahead / Art Blakey and The Jazz Messengers

昔は、仕事のやり方は先輩から直々に教わったものだ。職人の世界はこの徒弟制度が当然だったし、ホワイトカラーの仕事も我々が会社勤めを始めた頃はまだ当たり前の世界だった。ところがいつのまにか、会社の運営方法が人材の育成中心にした自由度の高い仕事のやり方から、マニュアル化、プログラム化された組織運営になり、個性を生かす場がどんどん少なくなってきた。当然組織の中では職人芸を生かすことも難しくなり、特にルールに反した仕事のやり方はコンプライアンス上からもご法度となってしまった。結果は、人材が育たないつまらない会社になり、今の時代を迎えてしまった。

ジャズの世界もある種の職人技の研鑽によって人材は育っていくのであろう。その場を作れる人物がある種の親分格になる。ウェストコースト出身のプレーヤーの多くはハーマン、ケントンオーケストラの出身。このオーケストラはどちらも新人育成の場であった。
では、ハードバップに始まるメインストリーム派の、研鑽の場というとやはりジャズメッセンジャーズであろう。アートブレイキーの発掘した新人の見立ては間違いがない。特に、トランペットは初代のクリフォードブラウンに始まり、メッセンジャーズの経験が代々一流トランペッターになるための登竜門になっていた。これは晩年まで続く。

Concordレーベルにアートブレイキーが登場したのは1978年。ブレイキーは還暦を迎えようとしていたがまだまだ意気軒昂、若者を引き連れて相変わらずホットな演奏を続けていた。
80年代に入り、そのジャズメッセンジャーズにまたまた大物新人が加わった。トランペットのウィントンマルサリス。加わったときは弱冠18歳であった。
そのメッセンジャーズが、コンコルドの本拠サンフランシスコに再びやってきて、前回同様地元のクラブ「キーストンコーナーズ」で演奏したときのライブがこのアルバムだ。

ピアノのジェームズウィリアムス、アルトのボビーワトソンなどは前回のアルバムにも参加していたので在籍期間も3年を超えてすっかりメッセンジャーズの看板となっていた。そこにマルサリスが加わったわけだが、他のメンバーと比べて全くひけをとらない演奏振りで、とても19歳の新人とは思えない。“How deep is the ocean”では大きくフィーチャーされているが、テーマの演奏のちょっとしたプレーズでもすでにグループを引っ張っているような貫禄だ。
この録音から30年経ち、マルサリスも50歳になり、今やマルサリスが新人を育てる役割を果たす年になっているが、マルサリスはジャズの伝統を受け継ぎ後世に残す役回りの重鎮の一人にまで育った。ブレイキーも天国で自分の教えを守った弟子の立派に育った姿を見てさぞかし喜んでいるだろう。俺の目に狂いはなかったと。



1. Falling in Love With Love    Hart, Rodgers 7:53
2. My Romance            Hart, Rodgers 3:42
3. Webb City             Powell 10:00
4. How Deep Is the Ocean?      Berlin 9:45
5. E.T.A.              Watson, Watson 6:10
6. The Theme             Blakey, Davis, Dorham 3:07

Wynton Marsalis (tp)
Bill Pierce (ts)
Bobby Watson (as)
James Williams (p)
Charles Fambrough (b)
Art Blakey (ds)

Produced by Frank Dorritie
Phil Edwards : Engineer

Recorded live at Keystone Corner、San Francisco, California, June 1981

Originally released on Concord CJ-168


Straight Ahead
Art Blakey
Concord Records

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