A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ライブの雰囲気を再現するアナログ録音の素晴らしさ・・・・

2014-03-22 | JAZZ LIFE
Miyanoue-Oka Quartet Live in Mexico

昨日の晩は、久々に2人の大物の共演を聴けた。
ギターの宮之上貴昭とピアノの吉岡秀晃のDuo+1。

実は、この2人の共演を始めて聴いたのは今から30年以上前。以前もブログで書いたことがあるが、ピアノの吉岡が東京に出てきて間もない頃、ベースの金井英人に連れられてきて知人のホームジャズパーティーで弾いたのを聴いたのが最初だ。

パーティーは何回か続いたが、ある時、ギターの宮之上も一緒であった。若手であったが、モンゴメリー張りのスインギーなギターにびっくりした。吉岡のピアノもスインギーなバップスタイル。リクエストは何でもOKで、ウェスモンゴメリーとウィントンケリーの共演を思い起こすような演奏を繰り広げてくれたのを鮮明に覚えている。
会場で2人に聞いた所、2人もそのパーティーの事は良く覚えているとのことだった。
印象的なライブであったのだろう。

その後2人が有名になりレコードやCDでは良く聴いたが、なかなかライブで聴く機会は無かった。さらに2人一緒の演奏となると。

たまたまその2人が揃って荻窪のルースターに出演するのを知り、久々に出掛けてみた。
30年も経つと2人もすっかり貫禄がついているが、そういう自分自身も同様。月日が経つのは早いものだ。

2人はその当時から今まで30年来のプレー仲間、これまで数えきれないほど一緒にプレーしたことがあるということもあって、呼吸はピッタリ合って普通のセッションとは大違い。年季の入ったコレボレーションの楽しさを満喫させてもらった。

その会場で、紹介があったのがこのアルバム。
3月30日に発売予定だそうで、今日現在まだ世には出ていないアルバムだ。
ギターの宮之上は良く海外のジャズフェスティバルにも参加しているが、このアルバムは昨年の夏にメキシコシティーのジャズクラブBlue Monkに招かれた時のライブを収めた物。テナーの岡淳が一緒に参加しているが、ベースとドラムは地元のミュージシャン。
お馴染みのスタンダード曲がタップリCD2枚に収められている。昨日のライブも、これに収めらえている曲が多かった。

ジャケットのデザインにカセットテープのイラストがあるのが気になったが、家に帰ってから中を見てビックリ。このライブはあのSONYの往年の名機「カセットデンスケ」を使ってワンポイントマイクで録られたものだった。録音したのはテナーの岡淳自身。良くミュージシャンがライブの会場で手軽に録音をしているのを見かけるが、やり方次第でCDをつくれる音が録れるのかとびっくり。

先日来、録音の良し悪しに少しこだわっていたので、期待半分、諦め半分でCDをかけてみる。まずは手軽にPCでと思ったが、音の良し悪しを聴き定めるにはメインの装置を使って少し大きめのボリュームで。
ところが聴いてみてビックリ。ワンポイント割には4人の音のバランスもピッタリ。ワンポイントだとドラムがどうしてもオフ気味になるが左程気にならない。それよりもライブという事もあり、会場の臨場感がそのまま再現されている。楽器の編成は違うものの、昨晩ライブを聴いたばかり、思わず会場の様子を思い浮かべてしまう。

30年前のホームパーティーの思い出、そして昨晩のライブの名残、そして自宅居間に再現されるBlue Monkの舞台の様子が重なり合って、何か空間全体がジャズに包まれている感覚を覚えた。この臨場感を再現できるのが本当の音の良さかもしれない。

「カセットデンスケ」恐るべし。



本当は、吉岡&宮之上のコラボの素晴らしさをもっと中心に書かなければいけないのだが、思わずタイトルも含めて改めてカセットデンスケに感動してしまって演奏は2の次になってしまったが、演奏は悪い訳がない。

このCDの発売記念のライブは、来たる4月4日、荻窪のCOCOPALMで開かれる。
ここでは、テナーの岡淳も加わってメキシコでの舞台が再現そうだ。吉岡のピアノの掛け合いとはまた違った演奏になりそうで楽しみだ。



ディスク:1
1. SOUL STATION  (Hank Mobley)
2. STROLLIN'  (Horace Silver)
3. THE SIDEWINDER  (Lee Morgan)
4. MY ONE AND ONLY LOVE  (Guy Wood)
5. COME RAIN AND COME SHINE  (Harold Arlen)
6. HOW LONG HAS THIS BEEN GOING ON?  (George Gershwin)

ディスク:2
1. BESAME MUCHO  (Consuelo Velazquez)
2. YELLOW DAYS (LA MENTIRA)  (Alvaro Carrillo)
3. MANHA DE CARNIVAL  (Luiz Bonfa)
4. ROUND MIDNIGHT  (Thelonious Monk)
5. ON A CLEAR DAY  (Burton Lane)

宮之上 貴昭 (g)
岡 淳 (ts,fl)
Agustin Bernal (b)
Cabriel Puentes (ds)

Recorded by Makoto Oka
Recorded live at Blue Monk in Mexico City on August 2&3, 2013

ライブ イン メキシコ
宮之上貴昭
モックヒル・レコード

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1 コメント

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コーラス好き (避けては通れない記事)
2014-03-24 01:59:29
YAN様、こんばんは。このコメントが最後になるかもしれません。

場違いで恐縮ですがBlogosに良い記事が出ておりましたので紹介させて下さいませ。小生が議論の叩き台にしたいと思っていたいくつもの記事がとても手際よくまとめられています。コメント欄の意見も参考になります。

『マイルドヤンキー賞賛とその先にあるもの、、、』芝山元
http://blogos.com/article/82662/

ただし、この記事の筆者はいかにもマーケターらしく、自分だけはそういう状況から抜け出すようにしましょうとビジネスライクに提案しているのに対し、小生はこの状況そのものを何とかしなければ日本は沈むのだから自分だけ救われても意味がないではないか、という宗教的考えです。「近代教養主義の一律強要こそが、それについていけないマジョリティの、こうした反知性主義を生みだすばかりになっているという皮肉な現状を、なんとかできないものか」という問題意識が小生にはあります。「民主主義がファシズムを生みだす」というのも、こうした反知性的素地あってこそのものであることは申すまでもありません。

学校から離反したらヤンキーたらざるをえないという現実。しかし、そうならない選択だってあるはずです、教育いかんによっては。先の記事にも出てくる内田樹先生らが大学という「知性の」牙城を護るべく依拠する近代教養主義に対する小生の批判も、そうした趣旨に沿ったものであり、反知性主義ではないのです。知性の育み方が大問題だと言っているのです。知性抜きに民主主義が機能するわけもありません。知性を育んでいるつもりの教育者、近代教養主義者こそが、実は個の自律的思考の発露を阻んでいるというのが、誰も指摘しようとしない現実なのです。それは決してペーパーテストでは育めないものです。

思い出しますのは文化庁長官も務められた河合隼雄先生が遺された「生きる力を失わせるような教育が問題だというのである。」という言葉、誰もがこの一言を噛みしめるべきではないでしょうか。
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