A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ブレイキーのドラムはイメージとは違って実はダイナミックレンジが広い・・・

2014-03-21 | CONCORD
Keystone 3 / Art Blakey and The Jazz Messengers

昔からの自称ジャズファンは、好き嫌いを別にしてアートブレイキーを聴かなかった人はいないであろう。特にブレイキーの一連のブルーノートのアルバムはジャズ喫茶でも定番中の定番であった。小気味良さというよりは、ドタドタ感があるもののナイヤガラロールに代表されるドラミングはメリハリの効いた豪快さで有名であった。

自分は、天邪鬼な性格からか、昔は皆が好むファンキー節をあまり好まず、ウェストコースト系を好み、ドラムというとシェリーマンをマイフェイバリッツにしていた時期がある。アートブレイキーのドラムというとこのドタドタ感が先に立ち、好みのドラマーの仲間入りはとはならなかった。
その後、聴き返す内に、アートブレイキーのドラムには実は繊細な側面もあるのが分かり、鼻から無視するのではなく、それなりに気にしながら聴くようになった。

ブレイキー率いるジャズメッセンジャーズは昔から新人の登竜門であり、ここを卒業することで一流入りしたジャズメンは数知れず。歳をとると昔の仲間とおじさんバンドを組むプレーヤーが多いが、このアートブレイキーは常に新人の発掘を生き甲斐にしていた。

コンコルドレーベルに登場した時にも、ボビーワトソン、ジェイムスウィリアムスを擁した強力な布陣であった。最初のアルバムはサンフランシスコのキーストンコーナーでのライブ。晩年の演奏には衰えが目立つこともあったが、このコンコルドのアルバムはライブという事もあり、元気なプレーが聴ける。

その後トランペットにマルサリスが加わり第2作が出たがこれも同様なライブキーストンでのライブ。そして、今回がConcordでの3作目になるが、またしてもキーストンコーナーでのライブ。シスコに来た時の拠点になっているのかいつもレギュラーグループならではのリラックスした演奏だ。

今回もまたメンバーが変わる。まずは、ウィントンマルサリスの弟のブランフォードが加わる。まだデビュー間もない22歳の新人であった。そしてピアノもジャームスウィリアムスから同じメンフィス出身のドナルドブラウンに変わったが、よくもこれだけ素晴らしい新人を次々と発掘してくるものだ。

今でこそ、マルサリス兄弟は押しも押されぬ大スターだが、この当時はまだ駆け出しの売り出し中の期間。でも改めて聴き直しても並の新人とは思えない演奏だ。表現力豊かなメロディアスなプレー、そしてバカテクを駆使した縦横無尽なプレーでバンド全体をグイグイ引っ張っている。これでは御大も刺激を受けるだろう。

コンコルドの特徴でもあるがライブであっても録音が素晴らしい。前回記事に書いたペッパーアダムスの録音評が気に掛かっていたのでいつにも増して録音が気になっていたが、自分としては新たな発見があった。

ブレイキーのドラミングはいつもながらであったが、シンバルのレガートが実にセンシティブだ。いつもはダイナミックなぶっ叩きイメージの先入観念があるが、シンバルワークはその対比とし実に小気味よい。録音でもそれが実に良く再現されている。

そして最後の曲のお馴染みのA La Modeでは、いつにも増してバンド全体の強弱のメリハリが素晴らしい。もちろんフロントラインだけでなくブレイキーのドラミングも合わせであるが、波が打ち寄せるようなアンサンブルワークが印象的だ。
単にダイナミックというのではなく、ダイナミックレンジが広いというのはこのような演奏だろう。きっとMotor City Sceneでのペッパーアダムスもこのような仕上がりをイメージしていたのかもしれない。

コンコルド時代のジャズメッセンジャーズはメンバーにも恵まれ、この頃が晩年の黄金期だと思う。
そして、このアルバムは隠れた名盤だと思う。これはと思ったアルバムを聴いて、それなりにいいなと思っても「これはいける」と強烈なインパクトを受けるのはその中で10枚に1枚あるかないか。これは間違いなくその中に入る1枚だ。



1. In Walked Red          Thelonious Monk 8:25
2. In a Sentimental Mood      Duke Ellington / Manny Kurtz / Irving Mills 7:15
3. Fuller Love           Bobby Watson 8:49
4. Waterfalls           Wynton Marsalis 11:28
5. A La Mode            Curtis Fuller 10:36

Art Blakey (ds)
Wynton Marsalis (tp)
Branford Marsalis (as)
Bill Pierce (ts)
Donald Brown (p)
Charles Fambrough (b)

Produced by Frank Dorritie
Recorded at Keystone Korner, San Francisco, California in January 1982
Recording Engineer : Phil Edwards
Originally released on Concord CJ-196

Keystone 3
Art Blakey
Concord Records

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