A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

トニーベネットは果たしてジャズ歌手か・・・?

2014-03-12 | MY FAVORITE ALBUM
Jazz / Tony Bennett

「老いてはますます壮んなるべし」という言葉があるが、これはトニーベネットにピッタリかもしれない。
一昨年80歳を過ぎてから、アルバム”DuetsⅡ”でグラミー賞3部門制覇、そして昨年の来日公演と、コンサート、レコーディングと、全く歳を感じさせない活躍がまだまだ続いている。ただでさえ女性陣に押され気味のボーカルの世界で、「白組」代表として先頭を切って頑張っているのはベネットしかいない。

このトニーベネットは果たしてジャズ歌手といえるかという話は昔からよく聞く。
ジャズ歌手の定義というのも難しいが、スキャットもやらず、ブルースも決して得意ではなく、そしてオリジナルのメロディーを大胆に崩して歌う訳でもない。これは分類学にうるさい日本だけでなく、本国アメリカでも時に語られてきたようだ。

だが、ジャズミュージシャンと広く、そして深いの付き合いをしている歌手といえば、ベネットを超える歌手はジャズ歌手といえどもなかなかいない。ベイシーオーケストラとの共演は何度もあるようだが、レコーディングこそないが、エリントン、ハーマン、ケントン、バディー・リッチなど名だたるオーケストラとは皆共演経験があるそうだ。
先日紹介したアルバムでも、マクパートランド夫妻と共演するなど、スタイルの新旧を問わず多くのジャズミュージシャンとも交流があり、そして共演経験がある。
これは、一体いつから始まったのか興味が湧くが・・・・

このアルバムのライナーノーツに、丁度その話がインタビュー形式で載っている。
ベネットがコロンビアと契約したのは1951年、ジャズの世界はビーバップの嵐が吹き荒れていた頃。
コロンビアでのプロデューサー役は?というと、あのミッチミラーだった。エルビスプレスリーやビートルズがビットチャートを賑わす中で、あのベネット節でヒットチャートに確実に登場し、あのサンフランシスコにつながる活躍が始まった。しかし、そこには決してジャズとの深い接点は感じられない。

インタビューの中で、本格的な歌の正式なトレーニングを受けたのか?という問いに対して、「実は52番街に住むMarian Speirという女性に教えを受けた」。彼女は「けっして歌手を真似てはだめよ。ミュージシャンを真似なくては」と説いたそうだ。
52番街といえば、ニューヨークの中でも当時は新旧のジャズが溢れていた一角。そこで、毎日のようにジャズミュージシャンと接するようになったそうだ。どうやら、これがベネットのジャズミュージシャンとの繋がりのはじまりの様だ。

そして、今日までアレンジャーを含めてジャズの世界で活躍する大物との共演はかなりの数になる。今回は歌手とのデュエットであったが、以前はビルエバンスとデュエットアルバムなどもあった。

自分は、あまりコンピレーションアルバムを買わないが、これはベネットのジャズミュージシャンとの共演した曲を集めた物。どの曲も錚々たるメンバーがバックを務めているが、実はその中にお目当てのセッションがあったので、買い求めた次第。

お気に入りのアルバムに、ゲッツとブルックマイヤーが久々に共演した’65年のアルバムがある。ハンコック、カーター、そしてエルビンのバックが実にいい。5月25日のセッションに一曲だけベネットが加わったダニーボーイがある。この曲は元のアルバムには収録されていないので、このアルバムでしか聴くことができない。

そして、同じセットで、10月15日に3曲が吹き込まれている。結局、このセッションはこれにて終了になってしまったので、一枚のアルバムになって世に出ることは無かった。
このアルバムには、この3曲も収められ、“Tony Bennett Jazz”というタイトルに相応しい内容となっている。

ゲッツは、此の頃ちょうどボサノバアルバムを続けて吹き込んでいる時期。ベネットのバックでジルベルトのバックとは一味違った鋭く切れ味の良いプレーを聴かせてくれる。
バックのミュージシャンも好演するというのは、ベネットも昔52番街で鍛えたジャズミュージシャンと語り合うツボを心得ているのかもしれない。

もちろん、他の曲も54年から65年のジャジーなバックを集めたご機嫌なアルバムだ。
表舞台のヒット曲の裏には、このような演奏とベネットの歌も残されている。これを聴くとベネットもジャズ歌手といっていいのではないかと思う。

1. I Can't Believe That You're in Love With Me
2. Don't Get Around Much Anymore
3. Stella by Starlight
4. On Green Dolphin Street
5. Let's Face the Music and Dance
6. I'm Thru With Love
7. Solitude
8. Lullaby of Broadway
9. Dancing in the Dark
10. I Let a Song Go Out of My Heart
11. When Lights Are Low
12. Just One of Those Things
13. Crazy Rhythm
14. Street of Dreams
15. Love Scene
16. While the Music Plays On
17. Close Your Eyes
18. Out of This World
19. Just Friends
20. Have You Met Miss Jones?
21. Danny Boy
22. Sweet Lorraine

18~21
Tony Bennett (vol)
Stan Getz (ts)
Herbie Hancock (p)
Ron Carter (b)
Elvin Jones (ds)

NYC, May 5, October 15, 1964

Jazz
Tony Bennett/td>
Sbme Special Mkts.
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