Close Up / Scott Hamilton
自分は東京生まれの東京育ち、残念ながら田舎というものがない。学生時代の仲間といっても東京育ちなので彼らと会う事はあっても、「昔良く行ったあの店はどうなった?」とか、「東京も昔と変わったね」とかの話題で、残念ながら遠く離れた故郷の話題といったものは無い。
友人に地方出身がいるが、彼が地元の友人と会うと、話の中身だけでなく話し方も地方訛りになってすっかり別世界にワープしてしまう。もっとも、地方の出身者も故郷を離れ長く都会生活が続き、すっかり生活の拠点が都会になると、昔の仲間とはなかなか会う機会が無くなってしまうようだ。
それは、本場アメリカのジャズの世界でも同じで、実力があり人気が出ると活動拠点は自然とニューヨーク、西海岸へと移る。
テナーのスコットハミルトンも出身地はボストン。当初はボストンで活動していたが、ニューヨークに出てきてすぐにジェイクハナの目に留まりConcordにデビューする。1976年22歳の時だった。
Concordの発展と共に、ハミルトンもコンコルドのスタープレーヤーとして世界を股にかけて活躍するようになり、5年後には20枚以上のアルバムを残すようになった。
オールスターズでの演奏あり、リーダーアルバムあり、歌のバックありでバラエティーに富んでいるが、デビュー当時一緒に活動していたボストン時代のメンバーと共に録音したのは初期の極僅かであった。
世界的なスターとなったハミルトンにとって、故郷ボストンのメンバーと演奏する機会は少なくなっていた。まして、レコーディグとなるとどうしてもプロデューサーであるカールジェファーソンの意向が強くなり、彼の選んだ大物との共演が多くならざるを得なかった。そんな時に、久々に昔のボストン時代の仲間との演奏する機会ができた。
ハミルトンが自己のグループのピアノにベテランのジョンバンチを招く。
このバンチはソロプレーヤーというよりビッグバンドや歌のバックが得意であった。ベニーグッドマンやウディーハーマンでプレーしバディーリッチのビッグバンドのファーストアルバムにも参加していた。この録音の直前は、ファイマスドアの中間派のセッションにもよく参加していた。先日紹介したブッチマイルスのアルバムにも。
テディウィルソンの影響を受けたというピアノは、いわゆる中間派の演奏にはピッタリ、ハミルトンとの相性も自ずと期待できるピアノだ。
彼らのバックを務めるのは、1975年まだボストンのクラブに出演していた時の仲間達。コンコルドのアルバムに登場するのも久しぶりだ。地元に帰った時は一緒に演奏することもあったとは思うが、彼等とのプレーは当然「普段着」の演奏になる。
今回は特にピアノのジョンバンチが加わったとはいえ、これまでのアルバムのような大物対決ではない。変な気負いもなく、ハミルトンらしさが特に全体に溢れている。デビュー当時からそのスタイルから若々しさより老獪さを感じたが、年を経て早くも本物の円熟味を増したプレーぶりに育っている。
曲によって微妙にトーンが変わるが、彼が影響を受けたという、ベンウェブスター、アーネットコブなどの雰囲気が良く出ている。
自己のアルバムということもあって自分のオリジナル曲も2曲披露しており、「久々に自宅に帰って寛いだ」といった雰囲気の好演だ。
コンコルドのニューヨーク録音で、Ed TrabancoというエンジニアがGetzのアルバムから登場するが、フィルエドワーズ直伝のコンコルドサウンドを引き継いでいい音でハミルトン節を聴かせてくれる。
1. All of You Cole Porter 4:29
2. I Remember You Johnny Mercer / Victor Schertzinger 5:14
3. Mad About You Ned Washington / Victor Young 4:07
4. Robbins Nest Illinois Jacquet / / Sir Charles Thompson 5:28
5. Was I To Be Falling in Love With You? G. Kahn / M. Newman / V.Young 4:31
6. Blue City Scott Hamilton 4:42
7. Mr. Big and Mr. Modem Scott Hamilton 4:31
8. Portrait of Jennie Scott Hamilton 5:22
9. Soft G,Burdge-R,Robinson 3:18
Produced by Carl Jefferson
Recording Engineer : Ed Trabanco
Recorded in New York, February 1982
Originally released on Concord CJ-197
自分は東京生まれの東京育ち、残念ながら田舎というものがない。学生時代の仲間といっても東京育ちなので彼らと会う事はあっても、「昔良く行ったあの店はどうなった?」とか、「東京も昔と変わったね」とかの話題で、残念ながら遠く離れた故郷の話題といったものは無い。
友人に地方出身がいるが、彼が地元の友人と会うと、話の中身だけでなく話し方も地方訛りになってすっかり別世界にワープしてしまう。もっとも、地方の出身者も故郷を離れ長く都会生活が続き、すっかり生活の拠点が都会になると、昔の仲間とはなかなか会う機会が無くなってしまうようだ。
それは、本場アメリカのジャズの世界でも同じで、実力があり人気が出ると活動拠点は自然とニューヨーク、西海岸へと移る。
テナーのスコットハミルトンも出身地はボストン。当初はボストンで活動していたが、ニューヨークに出てきてすぐにジェイクハナの目に留まりConcordにデビューする。1976年22歳の時だった。
Concordの発展と共に、ハミルトンもコンコルドのスタープレーヤーとして世界を股にかけて活躍するようになり、5年後には20枚以上のアルバムを残すようになった。
オールスターズでの演奏あり、リーダーアルバムあり、歌のバックありでバラエティーに富んでいるが、デビュー当時一緒に活動していたボストン時代のメンバーと共に録音したのは初期の極僅かであった。
世界的なスターとなったハミルトンにとって、故郷ボストンのメンバーと演奏する機会は少なくなっていた。まして、レコーディグとなるとどうしてもプロデューサーであるカールジェファーソンの意向が強くなり、彼の選んだ大物との共演が多くならざるを得なかった。そんな時に、久々に昔のボストン時代の仲間との演奏する機会ができた。
ハミルトンが自己のグループのピアノにベテランのジョンバンチを招く。
このバンチはソロプレーヤーというよりビッグバンドや歌のバックが得意であった。ベニーグッドマンやウディーハーマンでプレーしバディーリッチのビッグバンドのファーストアルバムにも参加していた。この録音の直前は、ファイマスドアの中間派のセッションにもよく参加していた。先日紹介したブッチマイルスのアルバムにも。
テディウィルソンの影響を受けたというピアノは、いわゆる中間派の演奏にはピッタリ、ハミルトンとの相性も自ずと期待できるピアノだ。
彼らのバックを務めるのは、1975年まだボストンのクラブに出演していた時の仲間達。コンコルドのアルバムに登場するのも久しぶりだ。地元に帰った時は一緒に演奏することもあったとは思うが、彼等とのプレーは当然「普段着」の演奏になる。
今回は特にピアノのジョンバンチが加わったとはいえ、これまでのアルバムのような大物対決ではない。変な気負いもなく、ハミルトンらしさが特に全体に溢れている。デビュー当時からそのスタイルから若々しさより老獪さを感じたが、年を経て早くも本物の円熟味を増したプレーぶりに育っている。
曲によって微妙にトーンが変わるが、彼が影響を受けたという、ベンウェブスター、アーネットコブなどの雰囲気が良く出ている。
自己のアルバムということもあって自分のオリジナル曲も2曲披露しており、「久々に自宅に帰って寛いだ」といった雰囲気の好演だ。
コンコルドのニューヨーク録音で、Ed TrabancoというエンジニアがGetzのアルバムから登場するが、フィルエドワーズ直伝のコンコルドサウンドを引き継いでいい音でハミルトン節を聴かせてくれる。
1. All of You Cole Porter 4:29
2. I Remember You Johnny Mercer / Victor Schertzinger 5:14
3. Mad About You Ned Washington / Victor Young 4:07
4. Robbins Nest Illinois Jacquet / / Sir Charles Thompson 5:28
5. Was I To Be Falling in Love With You? G. Kahn / M. Newman / V.Young 4:31
6. Blue City Scott Hamilton 4:42
7. Mr. Big and Mr. Modem Scott Hamilton 4:31
8. Portrait of Jennie Scott Hamilton 5:22
9. Soft G,Burdge-R,Robinson 3:18
Produced by Carl Jefferson
Recording Engineer : Ed Trabanco
Recorded in New York, February 1982
Originally released on Concord CJ-197
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