A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

研究熱心なFischerが、今度はBIGBANDで実験かと思ったが・・・

2007-06-14 | MY FAVORITE ALBUM
THESAURUS / The Clare Fischer Big Band

少し変わった即興演奏のアルバムを作ったClare Fischerだがなかなかの勉強家のようだ。
演奏に作編曲にと次々に新しい試みをしている。風貌も若い頃はインテリ染みた細めの優男であったが、年と共に髭を蓄え貫禄がついて学者風になる。ジャケットの写真の雰囲気も研究家そのもの。

研究家が自分で色々試すにはやはり自分でBIG BANDを編成するのが手っ取り早い。
このアルバムは、そんな一枚。
タイトルの「THESAURUS」は最近良く使われるシソーラスという意味よりも、宝庫という意味であろう。フィッシャーの色々な試みが集約されているということだと思うが・・・。

ガレスピーのバックでは少し変わった楽器編成であったが、ここでは普通のフルバンド編成。サックスセクションに通常のバリトンの他にバスサックスを加えているのが珍しい。
この一本が隠し味なのか、他の木管も使用せず全体として中低音が際立つサウンドだ。

この録音は1968年。サドメルが活躍していたときだ。
何らかの影響を受けたのかもしれないが、アレンジの基本はアンサンブルとソロをうまく組み合わせ、ちょっと聞いた限りにおいてはシンプルなメロディラインだが、実に多彩なサウンドか絡み合っている。
心地よいサウンドだ。あまり「研究発表」という雰囲気はしない。
何も難しい取り組みをしていなさそうであるが、実はそうでもない。
バスサックスを使っただけでなく「アレンジの細かい技」も隠し味に潜めたといったところだろう。

曲調も出だしのTHE DUKEでは、何となくエリントンサウンドを意識した感じである。B面の一曲目ではWORKSONGを思わせる少しfunkyな感じも。
全体的に正統派のBIG BAND JAZZだ。
曲もオリジナル加え、レニートリスターノやストレイホーンの曲も。
メンバーを見ると、一緒に即興演奏の実験をしたGary FosterとWarne Marshの顔も。いつもの仲間なのだろう。Bill Perkinsのバリトンが光る。他のメンバーも西海岸の一流どころが、揃っている。
この時代のBIG BANDを知るにはお勧めの一枚だ。

1. Duke               Fischer 5:02
2. Miles Behind          Fischer 5:13
3. Calamus            Fischer 4:54
4. Lennie's Pennies       Tristano 5:29
5. 'Twas Only Yesterday     Fischer 6:37
6. Bitter Leaf            Fischer 7:11
7. Upper Manhattan Medical Group Strayhorn 4:18
8. In Memoriam (John F. & Robert F. Kennedy) Fischer 1:55

Stewart Fischer, Steve Huffsteter (tp) Larry McGuire (tp -1,3/8) Buddy Childers (tp -1,4/6,8) Conte Candoli (tp -2) John Audino (tp -2,3,7)
Gil Falco, Charlie Loper, Dave Sanchez (tb)
Morris Repass (btb)
Gary Foster, Kim Richmond (as)
Louis Ciotti, Warne Marsh (ts)
Bill Perkins (bars)
John Lowe (bass sax)
Chuck Domanico (b)
Larry Bunker (d)
Clare Fischer (p, el-p comp, arr)

Sunset-Highland Studios, Los Angeles, CA, October 9, 1968
コメント
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