A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

40歳を過ぎての初の自己アルバムにBenny Caterが花を添えて・・・・・

2007-06-20 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Tain’t Nobody’s Biz-ness If I Do / Helen Humes

70年代後半の西海岸のJAZZレーベルで元気があったのがConcordレーベルだが、50年代の代表的なレーベルがContemporaryだ。
いわゆるWest Coast Jazzの代表格。数多くの名盤を生み出している。

この2つのレーベルには共通点がある。
戦後Bebopが始まった頃、それに合わせたかの如くその反動として起こった「ニューオリンズ(ディキシーランド)JAZZの復興」。何事も、急に新しいものが流行ると、その反動として古いものが見直されるものだが。
コンテンポラリーは、元々はそれに合わせてカムバックしてきた「古のJAZZの創始者達」の演奏を録音し始めたのが起源。レーベル名はGOOD TIME JAZZであった。
同じように、JAZZレーベルとしては名門の、Riversideも同じような経緯をたどっている。

コンテンポラリーの40年代の初期のアルバムには、ディキシーランドジャズリバイバルで現役に復帰してきたKid Oryとか、Lu Wattersとかの名前が並ぶ。
当時のディキシーの人気バンド“Firehouse Five plus 2”の演奏などもラインナップされ、よく売れたのだろう。このバンドのアルバムはコンテンポラリーレーベルでかなり後期まで発売されていた。

ちょうどConcordが中間派のベテラン達を復活させたのと同じだ。
コンコルドを立ち上げたCarl Jeffersonとコンテンポラリーを立ち上げた Lester Koenig、新たなレーベルを設立した想いに何か2人の間には共通点があったのかもしれない。

50年代の後半になると反対に新しいジャンルの試みとしてオーネットコールマンのアルバムなども出したが、その中に一枚のVocalアルバムがある。
コンテンポラリーレーベル自体、あまりVocalのアルバムがあるわけではないが、これはジャズ&ブルース歌手“Helen Humes”の初のリーダーアルバム。
40歳を過ぎてからの自分の名を冠したデビューアルバムである。

ブルースやゴスペルの伝統に根ざし、Swing時代のJAZZ VOCALのスタイルを引き継いだベテランの味だ。
50年代後半、モダンジャズがハードバップでまた新たなステージを作ったのに合わせて、Vocalもそのスタイルを変化させ、そして進化していた。
その中で、ビリーホリデーやエラフィッツジェラルトの30年代のスタイルに根ざした正統派のJAZZそしてBLUESを歌う。

R&Bをやって大分今風の歌も歌っていたらしいが、このアルバムでは完全に「原点回帰」。
ある意味では、Benny Carterと同様、SWING時代に根ざしたDNAは不変だったのだろう。

バックのミュージシャンは、お馴染みの当時の西海岸の一流どころが集まっている。
皆、コンテンポラリーの常連でもあり、Shelly ManneやピアノのAndre Previnの名前も見受けられる。
セッションによっては、Mel Lewisも。
西海岸からNew Yorkに活動の拠点を移す、最後の年だ。
そして、その中に、Benny Carterの名前も。
このセッションのリーダーのCarterのリードの元、歌に合わせてバックバンドのスタイルはいきなり30年代にタイムスリップしている。
ある種、ディキシーにも通じるアンサンブルワークだ。

カーターのプレーは、いつものアルトを置いてトランペット一本で通す。
元々アルトだけではなく、トランペットを始めとして色々な楽器を演奏するカーターであるが、このアルバムでは全編トランペットプレー。
それもSwing時代のスタイルそのままで聴けるのは珍しい。
もちろん、Humesの歌も素晴らしいが、このカーターのトランペットプレーをたっぷり聴けるだけでも価値あるアルバムだ。

Ain't Misbehavin'
Bill Bailey
Bill Contemporary
When The Saints Go Marching In

Los Angeles, CA, January 5, 1959

You Can Depend On Me
Trouble In Mind
Stardust
When I Grow Too Old To Dream

Los Angeles, CA, February 10, 1959

 Benny Carter (tp)
 Frank Rosolino (tb) 
 Teddy Edwards (ts)
 Andre Previn (p)
 Leroy Vinnegar (b)
 Shelly Manne (d)
 Helen Humes (vo)

Among My Souvenirs
A Good Man Is Hard To Find
'Tain't Nobody's Biz-Ness If I Do
I Got It Bad (And That Ain't Good)

Los Angeles, CA, January 27, 1959

 Benny Carter (tp)
 Frank Rosolino (tb)
 Teddy Edwards (ts)
 Andre Previn (p)
 Leroy Vinnegar (b)
 Mel Lewis (d)
 Helen Humes (vo)
コメント
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