A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

おなじみの曲を、少し違った「味付け」で

2007-06-08 | MY FAVORITE ALBUM
A Portrait Of Duke Ellington / Dizzy Gillespie

旨い料理には、いい食材と腕の立つ料理人が必要だ。
一見たいしたことが無い素材でも、料理人の腕次第であっと驚く料理に仕上がることがある。反対に、名産といわれる吟味された素材も集めても、下手なコックにかかると素材の良さを生かすことなく、たいした料理にはならないということも。
美味しくする秘訣は、やはり味付け。
素材の良さを生かした味付け。そして、料理人の特徴を活かした。
さらに、より美味しくするためには食器や食べる雰囲気への配慮も大事である。

ジャズの世界も同じ。
素材となる「いい曲」が、腕の立つ演奏家によって見事に料理されていく。
料理人であるプレーヤーの個性で、色々な料理が楽しめる。
時に味付けを左右するのが、アレンジャー。
素材の曲の良さを生かすこともあれば、料理人であるプレーヤーの個性を引き出すために、様々な味付けをする。
特に、大きな編成であるBIG BANDになると、ひとつのアレンジが、味付けだけではなくコース料理全体のバランスや、食器はもちろん周りの雰囲気までの全体コーディネートまで影響を与えることがある。

作曲家がバンドリーダーを兼ねると、その曲は非常に個性豊かな音作りになることが多い。
代表的なのがデュークエリントン。
エリントンの曲には有名な曲が多いが、これをビッグバンドで演奏するとなると、どうしてもエリントンオーケストラの影を引きずってしまう。
ここで、アレンジャーの腕の見せ所になる。

ビッグバンドを率いていたディジーガレスピーが、このデュークエリントンの曲にチャレンジしたアルバムがある。
この「味付け役」が、クレアフィッシャー。
白人のピアニスト兼アレンジャーだ。
いつもの、ガレスピーのオーケストラのイメージとは少し趣が違う。
確かにバックはオーケストラだが、ソロはガレスピーだけ。
オーケストラは、完全にガレスピーの引き立て役に徹している。

そして、このフィッシャーのアレンジが実に旨い味付けだ。
エリントンのオーケストラはクラリネットの使い方に特徴があるが、フィッシャーも木管とホルンを中心としたブラスのアンサンブルで、次々を味付け加えていく。
似たサウンドであっても、エリントンの印象に引っ張られることなく、微妙に独自の隠し味を配している。
有名なキャラバンなども、何故か普通の4ビート。いつものラテン調とは趣が違う。
ガレスピーのオーケストラというと、派手なブローとラテンリズムを取り入れた明るいサウンドを思い浮かべるが、たまには、少し違った味付けでガレスピーのプレーを聴いてみるのも悪くない。

In A Mellow Tone
Things Ain't What They Used To Be
Serenade To Sweden
Chelsea Bridge
Upper Manhattan Medical Group
Don Nothin' Till You Hear From Me
Caravan
Sophisticated Lady
Johnny Come Lately
Perdido
Come Sunday

Dizzy Gillespie (tp)
Bennie Green (tb)
Ray Alonge, Richard Berg, Joe Singer (frh)
Jay McAllister (tu)
Robert DiDomenica (fl)
Ernest Bright, John Murtaugh, Paul Richie, Stan Webb (woodwinds)
George Devens (vib)
Hank Jones (p,cel)
George Duvivier (b)
Charlie Persip (d)
Clare Fisher (arr, dir)

NYC, April 27,28, 1960
コメント
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