山南ノート4【劇団夢桟敷】

山南ノート4冊目(2008.10.3~)
劇団夢桟敷の活動や個人のことなどのメモとして公開中。

札幌(2)膝栗毛

2015-06-10 17:59:58 | 透明人間三部作-2014-2015
昨日につづき、札幌公演旅レポートです。
行きは46時間をかけてゆっくり注入する携帯抗がん点滴を持ち歩くことになった。白い巨塔のイシャからは気圧の変化にも耐えられるので飛行機に乗っても大丈夫ということなので安心はしていたが、テロ対策で厳しい持ち物検査を通過できるかどうか心配だった。
「ぼくはがん患者です。これは・・・」説明すると簡単に通過することが出来た。
ある人から聞いたのだが、年配の人が「俺は・・・」と言うより「ぼくは・・・」の主語に魅せられる、を実行したのだ。「がん患者」よりも「ぼく」の響きにゆるくなったのだろう。
後につづく劇団員たちはペットボトルの持ち込みで少々トラブっていた。タロー君は検査員の前で水を飲まされていた。バカヤロー!水ではなく細菌だったら死んでいるではないか!タロー君はテロリストではない。それを飲んで証明できたことに安心した。それにしても検査の仕事をしている人たちは人間不信にならないのだろうか。
もはや航空事情は戦時体制下にある。国会では安保法が憲法違反かどうか問題になっている昨今。わが「ねじ式」劇よりも世に中、混沌としている。

熊本公演が終わって一週間後が札幌公演であり、ほぼ同様な劇になると思っていたのだが、舞台美術の設置に変化が生じて空間的には違って見えた。一見、まとまりが悪い。ゴチャゴチャに見える。だが、開演前に待っているお客さんには、そのゴチャゴチャが想像力を駆り立ててくれたようだ。良い意味で劇が始まる前に劇は始まっていたのである。

「ねじ式」では「紅い花」と「もっきり屋の少女」、「無能の人」などをコラージュ(構成)した。
何故、青年は海から登場して海に帰って行ったのか?
原作者のつげ義春さんの妄想の中で一ピース欠けた時間の流れを埋め合わせるためのコラージュでした。夢の中では時間が伸びたり縮んだりする。行ったり来たりする。止まることもある。原作者は死をイメージしていたのだと思ったのだった。
「ねじ式」を骨とするならば「紅い花」は血だ。
シンデンのマサジがキクチサヨコをおぶって連れて行く様は、青年が「イシャはどこだ。」と彷徨う景色と重なる。
もう一つの物語として増殖される。解体と増殖は物語の細胞分裂である。

札幌の景色は夜のススキノだった。会場ではお世話して頂いたクドシンファミリーと風蝕異人館のこしばさんは札幌のシンボルのように思えた。景色よりも人間。そしてお客さんの息を感じた。行き帰りのタクシーで交わす運転手との会話でも札幌を感じた。
「九州は火山の爆発で危険だから札幌に移住しなさいよ。」と言われた。そうですね。「ねじ式」も避難をテーマにしていたのです。今、日本列島に安全な場所はあるのだろうか?どうも怪しい。きな臭い。こちらの劇ではなく現実がヤバイ時代になっている。
役者たちは「むむむ。」の顔をしていたのである。(つづく)

【上映会の告知】
「おやじ男優Z」九州上陸第一弾!熊本!
6月27日(土)19時~
6月28日(日)14時~

(開場はいずれも30分前)
会場:熊本市中央区河原町2問屋街 ギャラリーADO

監督の池島ゆたか/主演のなかみつせいじ/脚本の五代暁子の皆様がご来場されます!
☆両日ともトークイベント、懇親会あり!
料金ー2000円
※予約を承っております。
詳しくは夢桟敷にお問い合わせ下さい。
電話:09045815190(制作)yumesajiki@ybb.ne.jp

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