山南ノート4【劇団夢桟敷】

山南ノート4冊目(2008.10.3~)
劇団夢桟敷の活動や個人のことなどのメモとして公開中。

穴に堕ちると

2012-10-08 18:07:07 | 「極楽少女」2012
■穴の中は大きな海が広がっていた。

今の時代、自分の穴の中でもがいているように見えるのです。保守的に見えてしまう。自分の身を守ることが保守的だとは断定できないが、外に立ち向かおうとはしていないように見える。・・・これは昨今の私的主観である。

先日の10月6日(土)は高校の同窓会が催された。還暦集会となった。42年ぶりに会う友人もいて、顔を見ただけでは誰が誰だかわからない。名札を見ながら「おお、お前か!」である。
1968年4月~1971年3月までの3年間、下関市の彦島(工場地帯だった)の丘の上にある高校で過ごした。団塊の世代が溢れた時に新設された高校。私たちは7期である。
名簿を見ると亡くなってしまった友人もいた。同窓会は黙祷から始まった。
酒が進むにつれ、「親の介護」や「孫の話」「定年」など日常の話が飛び交う。高校生の頃は思いもよらない会話。
第二の人生を考えている者も多くいた。・・・ひとり、海外移住を真剣に考えている友人がいた。
60からの振り出しである。「日本はもうオシマイにしたい。」と言っていた。営業で海外を飛び回っており、「インドかブラジルで余生を楽しみたい。」というのである。この年齢で飛び出すことを計画しているとは!
海の向こう側には何がある?この年齢になっても冒険心は少年のままだった。



次回公演「極楽少女」は阿部定事件をモチーフにしているが、これにルイスキャロルの「不思議の国」を重ね合わせた虚構を舞台にしようとしている。
登場人物たちも重なり合う。つまり、阿部定とアリスが二重三重になる。みんな、穴の中に堕ちて不思議を体験する話。時間が逆転したり混乱する劇。
登場人物や時間の流れが不安定になることで、新たなもう一つの「極楽」を浮かび上がらせることができるか。
そのために、穴の中に広がる大きな海を設定したのだった。

誤解を恐れずに言うと、この穴は子宮につながっているのである。究極の穴である。
これは私の観念。舞台は観念が通用しない。穴を具体化しよう。
開け!穴。

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