一気に暑くなった。夕方に蜩がまだ小さいながら鳴きだした。音楽と言うのはあたりまえのことながらこちらが聞きたいと思うから聞くことが出来る。ところがそういう思いがないときは、ただの雑音どころか邪魔である。ところが今こうして書いている最中も、蛙の声が遠くから近くから聞こえており、それはなんというのだろう。耳にすんなりと入ってくるときは、かえってわれにかえるときであるらしい。
そのことは、ふだんはちっともそんなことに思いもしないけれど、この身がすでにかれら蜩や蛙とおなじものとしてここに生かされていることのあかしとして、自身におのずとしらしめているからだろうか。