古事記のこと

2014-10-29 20:36:29 | 書簡集

 古事記のことを山本健吉が色々書いているが、「古事記が古代の日本民族の想像力の発現を、もっとも広いひろがりにおいて見せているということである。そこに展開される心象は、あるいは超自然的なものであり、あるいは社会的なものであるが、それらはある象徴的な表現によって普遍的な意味を担いながら、彼らの思想や喜怒哀楽の生活感情を生き生きと再現しているのである。」物語としては神話であるから、退屈するかと思っていたところがあった。これは見事にはずされた。1300年前に書かれたということは、個人の一生という時間のサイクルから見れば、途方も無く遠い昔のことになる。しかし氷河時代の4万年前にこの列島に今の人種が入って来たハンターたちからみると、古事記に書かれていることははなはだ私たちの感覚そのものである。とても人間くさいのである。ともあれ読み方次第で如何様にでも読めると言うか。こちらが深く読めば読むほどに手応えも、充実感も増すということは言える。そんな読み物なのである。

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