自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

メール対談:「口蹄疫との共生」を考える

2015-04-08 21:27:31 | 牛豚と鬼
 本日(2015年4月7日)のニュースで中学校の教科書の大幅な改訂がなされ、鶏舎には鳥インフルエンザの観点から屋根を付けるように文部省からの指示があったという。鳥インフルエンザは屋根のある企業的経営で発生している。しかも放牧養鶏も放牧養豚も、牛の放牧も最も自然に近い飼育方法であり、そこに意義を見出している農家も消費者も多い。宮崎でも放牧養豚の豚は口蹄疫に感染しなかっと体験を語られる農家もあった。ウイルスの伝染病は過密な飼育は危険であるが、屋根がないと渡り鳥の糞が落ちて危ないと中学生に教えるのは、「口蹄疫は殺処分しかない」と獣医師を育てるのと同じこと。

 口蹄疫は人間の健康には何も被害を与えない。家畜の伝染拡大を阻止すれば良いだけの問題を大量の殺処分をしている今の防疫対策は日本の獣医師の常識かも知れないが、世界の非常識だと思う。口蹄疫ウイルスは観光客によって運ばれるものではない。「口蹄疫との共生」とは、自然に存在する口蹄疫ウイルスが国内で増殖しないように注意し、口蹄疫が発生した場合は「殺処分」ではなく、ワクチンで感染の拡大を阻止すれば良いだけの話だ。

 この4月20日には宮崎口蹄疫事件から5年になる。これまで日本の口蹄疫防疫措置の問題点について指摘してきたが、ブログの移転やリンク先の変更もあり更新の作業をしている。専門家ではないのでこれ以上は発言することはないが、国民の税金で仕事をさせていただいた学者の一人として、ここに遺言としてブログを残しておきたい。下記の「メール対談」も目次として各章を更新し、ここにまとめておいた。

メール対談:「口蹄疫との共生」を考える 1~14
東京大学名誉教授 山内一也 × 広島大学名誉教授 三谷克之輔
はじめに
1.ウイルス感染とワクチン
2.口蹄疫の防疫指針に示されたワクチン
3.口蹄疫の防疫指針に示された予防的殺処分
4.予防的殺処分から生かすためのワクチン接種へ
5.口蹄疫の防疫指針作成の経緯
6.口蹄疫対策検証委員会の問題点
7.OIEは口蹄疫ワクチンをどう考えてきたのか?
8.キャリアが感染源になる可能性はゼロに近い
9.NSP抗体検査を問題にしてワクチンを否定する根拠はない
10.ワクチン接種と国際貿易と国内流通問題
11.抗体検査や遺伝子検査と殺処分の関係
12. 疫学調査から見える失われた研究機能と信頼の喪失
13.口蹄疫と原発、そして戦争の類似点
14.口蹄疫の殺処分最小化対策への道
対談を終えて ―― 日本の夜明けへの共創の始まりに

対談資料:
「口蹄疫の疫学調査に係る中間取りまとめ」の問題点
2007年英国口蹄疫疫学調査から全頭殺処分の問題点を考える

初稿 2015.4.7

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