自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

7.OIEは口蹄疫ワクチンをどう考えてきたのか?

2015-04-08 21:21:27 | ワクチン

三谷 OIEは殺処分による「口蹄疫予防のための国際衛生条約」を1955年に定めたと、先生の「どうする・どうなる口蹄疫」p.101に紹介されていますが、この当時のことを紹介したOIEのベルナール・ヴァラ 事務局長の総説によると、(引用箇所はp.386の赤枠)「安全性と効力を国が保証したワクチンを接種した家畜は清浄国の家畜と同様に国際貿易することができる」と、OIEの口蹄疫委員会や国際委員会で科学的に認められていたことを明らかにしています。
 現在の口蹄疫ワクチンならワクチン接種した家畜の国際貿易を否定する理由は何もなく、1955年当時の科学者の提案の実現が急がれる時代になっているのではないでしょうか?

山内 1955年の時点ですでに科学者が提案していたことは事実です。しかし、このような期待は口蹄疫に限らず同様の問題をかかえるすべてのワクチンにあてはまるものです。ご参考までに当時のワクチンをめぐる動きを簡単にまとめてみました。

別表
 口蹄疫ワクチンが初めて利用できるようになった1950年代での期待とは別に、ワクチンの使用が普及するとともに現実的ないくつもの問題が明らかになってきたのです。したがって、口蹄疫ワクチンにかかわる問題が不明な開発当時と現在を単純に比較することはできないと考えます。しかし、口蹄疫ワクチンに関する1955年の期待に応える具体的動きは2001年以後に盛り上がってきたとみなせます。 「現在のワクチンならワクチン接種を否定する理由は何もなく、1955年当時の科学者の提案の実現が急がれる時代になっている」というご意見には賛成です。

三谷 「OIEコード上、清浄化が遅れる」という問題は、緊急ワクチンを使用しない場合に清浄化回復に3ヵ月必要ですが、使用したら6ヵ月必要になり、清浄化回復の認定が3ヵ月遅れることですが、なぜ緊急ワクチンを接種したら清浄化回復の認定が3ヵ月遅れるのか理解できません。しかも、2010年宮崎口蹄疫ではワクチン接種した家畜を全頭殺処分したのに、移動制限解除から清浄国回復が認定されるまで6ヵ月以上経過しています。これでは「OIEコード上、清浄化が遅れる」という理由で、ワクチン接種した家畜を全頭殺処分した意味がありませんし、ワクチン接種を否定する根拠もないことになります。
 

初稿 2012.8.1 2015.7.10 更新


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