自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

猛威を振う鳥インフルエンザ、そして口蹄疫~誰も責任を取らない中空構造①

2015-01-25 19:49:04 | 中空構造
 昨年12月から1ヵ月の間に、宮崎、山口、岡山、佐賀と鳥インフルエンザが発生し、岡山の20万羽を含む35万6千羽が殺処分された。

 農水省の鳥インフルエンザに関する情報によると、韓国では昨年1月以降、あひる農場を中心に鳥インフルエンザの発生が続き、7月に一旦終息するまでに、548農場、1400万羽が殺処分された。このような莫大な殺処分となったのは、発生29農場の周辺336農場の殺処分(予防的殺処分が原因である。この鳥インフルエンザは2ヶ月後の9月から再発生し、この1月19日までに47農家の発生が確認され、すでに53農場、95万7千羽が殺処分されている。ただし、何故かOIEへの報告9月の発生時以来ない。

 韓国は口蹄疫でも同様な防疫措置(p.50)で348 万頭の牛と豚を殺処分したが、この予防的殺処分を中止してワクチン接種に切り替えたことにより口蹄疫発生を終息させることができた。日本は口蹄疫の防疫指針に予防的殺処分を取り入れ、ワクチンを利用しようとしない

 「ウイルス感染とワクチン」で、山内一也先生は鳥インフルエンザと口蹄疫の違いについて、「鳥インフルエンザの免疫効果は138週間も続くという報告があり、これは産卵鶏の最大飼育期間100週間を超える。口蹄疫ワクチンの免疫持続期間はおそらく鳥インフルエンザワクチンほど長くはないと推測される。両ワクチンで大きな違いは、鳥インフルエンザワクチンは予防ワクチン、口蹄疫ワクチンは緊急ワクチンとして使用する点」とウイルスの効果は確実にあることを丁寧に説明されている。また、「養鶏問題に関する議員連盟」は鳥インフルエンザ対策の見直しを求める報告書(平成21 年12 月22 日)で要望もしている。
  議員が語る党政策「鳥インフルエンザ対策(森田高)」 1/4
  議員が語る党政策「鳥インフルエンザ対策(森田高)」 2/4
  議員が語る党政策「鳥インフルエンザ対策(森田高)」 3/4
  議員が語る党政策「鳥インフルエンザ対策(森田高)」 4/4
 しかし、口蹄疫も鳥インフルエンザも防疫対策としてワクチン接種を要望しても、現場(国民)に責任をとらない御用学者や官僚は全く聞く耳を持たない理不尽な横暴さである。

 宮崎で口蹄疫が発生した当時、官僚は(当然のことながら?)政権党(民主党、社民党、国民新党)の議員ではなく、それまで付き合いの深かった地元の自民党議員と綿密な打ち合わせをしていた。宮崎口蹄疫発生に関係した多くの不自然な言動が現場に見られただけでなく、県や国の不誠実な感染源と感染経路の調査もあり、科学的事実よりも利害関係の調整、真実の追究よりも身内のために真実を握りつぶすことを実力だとした日本の悪しき伝統に由来した悪質な事件であった。

 それは日本の誰も責任を取らない中空構造が、君(国民、自然を含む他者)ではなく我の自己利益追求を最優先して、憲法を厳しくは守らない米国追従官僚と大資本、政治屋家業(稼業)、これに御用マスメディアと御用学者がつながり、3権分立の立法、行政、司法が癒着した政治的独占支配の病巣となったことに起因している。この事件を法的に裁かない限り、原発問題、沖縄基地問題と同様に日本の畜産、獣医行政に夜明けは来ないであろう。

 世間と違い、国というものは憲法によって成立している。日本人だけでなく人類はもともとすべてが一つの世界に生きていた。人口が増加し秩序が乱れると暴力も増加することで国が生まれた。日本は地方の豪族支配から国となり、荘園を所有する貴族の平安時代から大地を一所懸命に守り生きる武士の鎌倉時代、そして戦国時代を経て戦争をしない徳川幕府の鎖国時代が続き、日本文化を成熟させながら、その一方で江戸末期の攘夷論が明治維新を生み、自国を守るためと称して他国を侵略し、大政奉還からわずか78年(現在は戦後70年)で敗戦によって「すべてが一つの世界」に覚醒した。そして中空構造の柱として戦争を永久に放棄した現憲法がある。

 現憲法は米国に押し付けられたものではなく、象徴天皇に見られるように日本の歴史であり、「すべてが一つの世界」を明記した世界遺産であり、暴力を否定した人類の夢である。公務員である政治家、官僚、学者が憲法を守らない時には厳罰に処しなければ、国は腐敗し、崩壊してしまう。

参考 憲法の価値を実現する


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