自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

国境なき家畜伝染病防疫対策の取り組み

2012-01-05 21:34:27 | 牛豚と鬼

口蹄疫防疫体制の希望元年となる記念すべき国際シンポジウムが下記の通り開催されます。

国際シンポジウム 「国境なき家畜伝染病防疫対策の取り組み」
日時 2012年1月20日  9時30分-17時
会場 シーガイヤ コンベンションセンター  4F 蘭玉

第1部 宮崎県における家畜防疫体制の現状と今後
第2部 国際防疫と口蹄疫
第3部 国境なき防疫対策
ランチョンセミナー 口蹄疫ワクチンとその戦略について(メリアル・ジャパン株式会社)

宮崎大学の山崎渉准教授は都道府県で実施できる口蹄疫の遺伝子検査法(LAMP)を開発され農林水産研究成果10大トピックス(2011.12.22)に選ばれていましたが、英国パーブライト研究所との共同研究の結果、この方法が口蹄疫のスクリーニング検査に実用可能なことを実証されました。このLAMP法はこれまで国際標準とされてきたリアルタイムPCR法と比較して反応開始から結果判定までの所要時間と1反応あたり費用は、PCRでは140分と400円であったのに対し、LAMPでは60分と100円と早くて安く、検出感度はPCRより100倍優れています。国際シンポジウムでは、この研究成果についても発表されます。また、日本が口蹄疫ワクチンの製造を委託しているメリアル社のセミナーも予定されています。このシンポジウムを契機に、わが国で開発された世界先端の口蹄疫検査法(LAMP)を都道府県のスクリーニング検査に導入し、世界先端のメリアル社のワクチン使用方法を学び、農場全殺処分の範囲を見直すことで、被害最小化を追及する口蹄疫防疫体制を実現する希望元年としたいものです。

口蹄疫は人の健康には影響はなく、被害は殺処分により発生しますので、殺処分を最小にして家畜間の伝染をいかに防止するかが求められます。このためには家畜保健衛生所における病性鑑定にLAMPによる口蹄疫検査を導入し、陽性の場合は国の確定検査を実施する一方で周辺の検査を実施し、緊急ワクチン接種が必要かどうか、接種するとしたらどの範囲にするか、移動禁止と殺処分の範囲をどうするか等の基礎資料を収集しておきます。ワクチン接種は抗体を産生して感染する家畜を少なくするだけでなく、ウイルス排出量を減少させて感染させる家畜も少なくなり感染拡大を阻止できますが、農場全殺処分は感染しても治癒して抗体が出来た牛や健康な牛を殺処分することで被害を大きくする一方で、感染させる危険のある時期の家畜を放置して感染を拡大させる恐れがあり、経営規模が拡大した今日では愚策として廃止すべきです。

口蹄疫を殺処分しかないという恐ろしい病気にしたのは、経済戦争に明け暮れる人間です。ワクチンを接種しても新しい抗体検査で感染が拡大していないことを証明すればワクチン非接種清浄国に回復できます。殺処分を急ぐ必要があるのは遺伝子検査(LAMP)で陽性の家畜だけであり、抗体検査は感染拡大が終息したことを証明するために実施します。口蹄疫の防疫対策で最も重要なことは発生を早く見つけて早く終息させることであり、早く見つけるにはLAMPによる検査が不可欠です。早く見つけて農場単位の移動制限とし、感染した陽性の家畜のみの殺処分で終息できるはずです。防疫より貿易を重視するのではなく、命と科学的事実に真摯に向き合い、科学的事実を関係者が共有する意味においても、この国際シンポジウムの開催が希望元年になることを期待しています。

2012.1.5  開始   2012.1.6 更新中


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