自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

我々は物語を生きている~西田哲学とホーキングの宇宙論

2019-11-10 12:20:07 | 歴史

 前回、「我々は物語を生きている~他者を尊重し、幸せに暮らす。」で紹介したように、約3~7万年前に人類は言葉から物語を生んだ。その物語は主観的なフィクションと客観的な科学に分けられる。
 「西田哲学」では物語の根源を「無」とし、主観と客観が一体になって、「一即多」とか「多即一」として表れる現象を「絶対矛盾的自己同一」とした。そのように、今の私は理解している。「西田哲学」の「一即多」とか「多即一」に相当する客観的な科学の言葉として「対生成(粒子と反粒子)」がある。私は生きる物語の根源として西田哲学を、客観的な科学の物語の根拠として「ホーキングの宇宙論」を考えたい。
 私は物理学数学も苦手なので宇宙論を解説をするつもりは毛頭ないが、NHK BSプレミアム番組「宇宙の“冒険者”~ホーキング博士ラストメッセージ~」の録画の一部を紹介し、もっと勉強したい点の資料を残しておきたい。

File 1 世界を驚かせた天才ホーキングの誕生(動画16分)
File 3 ホーキング博士 最後の冒険(動画14分)

 宇宙は138億年前以前は137億年前とされていたに生まれた。素粒子の生成と消滅を繰り返し、無と有の間の「ゆらぎ」の状態にあった素粒子よりもはるかに小さかった特異点(2)が、瞬時に直径1cm以上に膨張した宇宙のインフレーション(2)により、大爆発のビッグバンを引き起こして宇宙は生まれ、その後も膨張を続けている。
 参考:宇宙は138億歳、従来説より1億年高齢 欧州機関が解析 2013年3月22日
     村山斉講演「宇宙の特異点、ビッグバンとブラックホール 2009年4月25日
     裸の特異点
     スティーブン・ホーキング  ブラックホール研究の第一人者
      アルバート・アインシュタイン以後の宇宙論に決定的な影響をあたえる
     宇宙のインフレーション
     宇宙創生を解明する「インフレーション理論」
     宇宙誕生の起源となった138億年前の大爆発「ビッグバン」
     相対性理論を破綻させる「裸の特異点」は存在可能 - ケンブリッジ大
     神はサイコロを振らない?――宇宙はなぜブラックホールを造ったのか(4)


 ここで、特異点を単なる「ゼロの点」と考えると話は簡単だが、膨張している宇宙の始まりをアインシュタインの「一般相対性理論」で計算すると「ゼロ」ではなくて、重力や密度が無限大になってしまう。1966年、ホーキングはこの「一般相対性理論」の欠陥を指摘し、宇宙には「時空」が破綻する「特異点」があるとした。この論文は1970年に、ロジャー・ペンローズとホーキングにより報告されているが、この年はホーキングが「ブラックホールは暗黒ではなく、熱を持っていて赤く光るはずだ」と閃いた年でもあった。これは、1974年に「ホーキング放射」として報告された。ホーキングは「我々の親しんでいる空間や時間の概念が、どのようにして量子状態にあった宇宙から出現できるのか」と量子理論と古典物理学をうまく統合させることを考え続けた。そして、「時空の過去には境界が存在しなかった」とする「無境界仮説」(2)の最新版を、亡くなる10日前の2018年3月4日、コーネル大学が運営する論文投稿サイト「arXiv(アーカイヴ)」に最後の論文(無限に続くインフレーションからの解決法)が掲載されていた。
 参考:ホーキング博士、最後のセオリー:彼が多元的宇宙について考えていたこと
     Before the Big Bang 5: The No Boundary Proposal Before the Big Bang 1-10
     ホーキング vs. ペンローズ - 時空の本質をめぐる論争
     ホーキング博士、ブラックホールはやはり「ブラック」ではなさそうです
     ブラックホールは黒でなく、やがて消える。「ホーキング放射」実証の本命現わる
     7年かけて作った「人工ブラックホール」でホーキング放射を初観測
       ブラックホールが完全にブラックではない証拠になるか


 我々が住んでいる時空の4次元世界が膨張しているというが、その4次元の外側はどうなっているのだろう?このことは先に触れたように、ホーキングは無境界仮設で説明しようと努力していた。「無境界仮説」の要となっているコンセプトは、真空の「ゆらぎ」の小さな特異点は、粒子のようにも波のようにも振る舞うことができるという量子論的な概念だ。「無境界仮説は量子重力を基にしたビッグバン・モデルなのです」とホーキングは言う。私の理解では、我々の時空の情報は、宇宙空間の表面積(2次元)に写真のように瞬時に保存され、宇宙の外側にホログラム映像のような幻影があると仮定すれば、マルチバースの中でこの宇宙が生き残ったプロセスが計算できる。それが、『ホログラフィック理論(holographic principle)』のようだ。ここでは我々の空間の瞬間の情報が2次元の写真に記憶されるのに似ていると考えておこう。最近は、3Dホログラムの技術が開発され、「宙に浮かぶ映像」が見れるそうだ。この原理については、理解不足なのでもう少し勉強したい。
 参考:「ホログラフィック原理」わかりやすく奇妙な宇宙理論
     宙に浮かぶ映像 最新の技術を展示 デジタルサイネージジャパン2018
     意外と知らない「ホログラフィック・ディスプレイ」カンタン解説
     ホログラムとは?3Dホログラムの仕組みと活用方法
     3Dホログラムの作り方
     宇宙の加速膨張は「プランクスケールでの時空の伸び縮み」の蓄積か - UBC
     膨張宇宙では粒子は減速する
     重力は幻なのか? ホログラフィック理論が語る宇宙
     ホログラフィック宇宙



初稿 2019.11.10

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