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「JR九州上場と経営安定基金の取扱い」に関する雑感

2015年01月16日 | Weblog

 JR九州の上場に関する報道が出ていますが、詳しい内容はまだ入手しておりませんが、この報道の雑感を記載します。

 JR九州の上場の際、経営安定基金の取扱いに注目が浴びていました。国に返済する、否そのまま上場後も残すといった議論が霞ヶ関、永田町で行われていました。今回の報道が事実とすれが、経営安定基金を返済せずにJR九州の借入金を返済することは、経営安定基金が国から出資金(JR九州の自己資本)として処理され、自己資本を使って銀行借入金を返済することになったと思われます。この会計・財務手続きによりJR九州の純資産は、経営安定基金分だけ増加して、JR九州上場の時の時価総額に反映することが予想されます。政府所有のJR九州の株式が全額売却されることで経営安定基金回収を含んだJR九州への出資金及び上場益が回収されることになります。その意味では、妥当なスキームといえるでしょう。

 もし経営安定基金の取扱いが一般化されるとJR北海道、JR四国、JR貨物の他JR各社の経営安定基金も事実上の資本とみなされるのか疑問が残ります。上場できるのであれば、国は資金を回収できますが、もし経営安定基金を除いたら債務超過に陥った場合に、債務超過解消の原資に経営安定基金を使えるかということです。この取扱いによっては、銀行融資や債券発行の金利交渉にも影響が出てくるでしょう。更には日銀の低金利政策が長期化するに従い経営安定基金で運用益を出して、鉄道事業の赤字を補てんするという国鉄民営化後のスキームが破たん寸前というのも事実です。長期国債で運用しても1%以下という状況で、国債やリスクの少ない社債で運用益を稼ぐことはほとんど不可能です。一層のこと他のJR各社にも経営安定化基金を数十年間で毎年贈与して、贈与益(会計手法は吟味が必要)を計上させて赤字補てんをさせることも一案です。この場合上場の見込みがない社においては、事実上の鉄道事業赤字補助金となりますが。