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ビットコイン再質問主意書の回答

2014年03月18日 | Weblog

 本日、ビットコイン再質問主意書に対する政府回答が来ましたので掲示します。内容的には、相当腰の引けた内容になっているという印象です。今後は、与野党の政策調査会や衆参の関係委員会などを議論の場に移し、議論が深まることを期待します。

参議院議員大久保勉君提出ビットコインに関する再質問に対する答弁書


一について
ビットコインについては、政府として、その全体像を把握しているものではなく、現在、関係省庁にお
いて連携を図りつつ、情報収集に取り組んでいるところである。世界全体におけるビットコインに関する
価格や発行残高等に関する情報はまちまちであり、先の答弁書(平成二十六年三月七日内閣参質一八六第
二八号。以下「先の答弁書」という。)一及び二についてでお答えしたとおり、その現在の発行残高及び
経済価値について確たることを申し上げることは困難である。したがって、お尋ねの「意見」について政
府の見解をお示しすることは困難である。
二について
ビットコインについては、現在、関係省庁において連携を図りつつ、情報収集に取り組んでいるところ
であり、実態を把握した上で、必要があれば対応を検討していくこととしている。したがって、お尋ねの
法令整備の有無及び時期について、現時点において、政府として確たることは申し上げられない。
三の1について
先の答弁書三についてでお答えした「強制通用の効力」とは、金銭債権の債務者が当該効力を有する媒
体を用いて弁済をした場合に、債権者がその弁済の受領を拒むことができず、当然にその弁済が有効とな
るとの効力をいい、貨幣については通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(昭和六十二年法律第四十
二号)第七条により額面価格の二十倍まで、日本銀行券については日本銀行法(平成九年法律第八十九号)
第四十六条第二項により無制限に、それぞれ法貨として通用することをいう。
三の2について
強制通用の効力(以下「強制通用力」という。)を担保する主体は、主権を有する国家又はこれに準ず
るものである。外国の通貨とは、ある外国が自国における強制通用力を認めている通貨をいい、我が国に
おける強制通用力が認められているものではない。
三の3について
三の2についてでお答えしたとおり、外国の通貨とは、ある外国が自国における強制通用力を認めてい
る通貨をいうことから、ビットコインについて強制通用力を認めている外国が存在しない限り、ビットコ
インが外国の通貨と同様の性質を持つと解することは困難である。
四について
銀行がお尋ねの「ビットコインを購入すること」は、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第十条第
一項各号、同条第二項各号及び第十一条各号に規定する銀行が営むことができる業務には該当しない。
また、銀行は、同法第十条第二項第二号に規定する有価証券の売買や同項第二号、第十二号及び第十四
号に規定する有価証券関連デリバティブ取引、デリバティブ取引及び金融等デリバティブ取引の業務を営
むことができることとなっているが、お尋ねの「ビットコインを投資対象に組み込んだ投資信託」や「ビ
ットコインを原資産とするデリバティブ商品等」への投資がこれらの業務に該当するか否かについては、
その具体的内容が明らかでないことから、一概にお答えすることは困難である。
他方、銀行が業務に至らない程度の範囲でお尋ねの「ビットコインを購入すること」等の行為を行うこ
とについては、それらが適切であるか否かは別として、銀行が業務に至らない程度の範囲で業務に直接関
係のない物品等を購入することと同様、同法上、それらの行為を明示的に禁止する旨の規定は存在しない。
五について
銀行法第十条第二項第二号、第十二号及び第十四号には、銀行は、銀行業に付随する業務として有価証
券関連デリバティブ取引、デリバティブ取引及び金融等デリバティブ取引を行うことができる旨が規定さ
れており、金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第三十五条第四項には、金融商品取引業者は、
金融商品取引業並びに同条第一項及び第二項の規定により行う業務のほか、内閣総理大臣の承認を受けた
業務を行うことができる旨が規定されているが、お尋ねの「プットオプション(例えば、一BTCを五百
米ドルと交換する権利)等のデリバティブ取引」がこれらの規定に該当するか否かについては、その具体
的内容が明らかでないことから、一概にお答えすることは困難である。
また、銀行法第十三条の四には、銀行は、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動によりそ
の元本について損失が生ずるおそれがある預金等の受入れ等を行うことができる旨が規定されており、金
融商品取引法第二条第八項第一号及び第二号には、金融商品取引業者は、有価証券の売買並びに有価証券
の売買の媒介、取次ぎ又は代理を業として行うことが規定されているが、お尋ねの「ビットコインの価格
に連動した預貯金又は有価証券を、預貯金取扱金融機関又は金融商品取引業者等が、設定、発行、仲介又
は投資を行うこと」がこれらの規定に該当するか否かについては、その具体的内容が明らかでないことか
ら、一概にお答えすることは困難である。
六について
お尋ねの「ビットコインを不特定多数の顧客より元本を保証して募集したり、継続的に貸出したりした」
の意味するところが必ずしも明らかでなく、また、犯罪の成否については、捜査機関が収集した証拠に基
づいて個々に判断すべき事柄であるが、あくまで一般論として申し上げれば、出資の受入れ、預り金及び
金利等の取締りに関する法律(昭和二十九年法律第百九十五号)について言えば、同法の罰則の構成要件
に該当する場合には、同法違反の罪が成立することがあるものと考えられる。また、お尋ねの「何らかの
法令に違反する場合」の有無については、個別具体的な事情により判断されることになり、一概にお答え
することは困難である。さらに、利息制限法(昭和二十九年法律第百号)第一条は、金銭を目的とする消
費貸借における利息の契約について、その利息が同条各号に定める利率により計算した金額を超えるとき
は、その超過部分について、無効とする旨規定しているが、お尋ねの「ビットコインを利用して利息制限
法」に「定められた利率を超過した契約」について、その超過部分が同条により無効となるかどうかは、
ビットコインの使用実態等が明らかでないため、お答えすることは困難である。
七について
お尋ねの「マネーロンダリングに関する相当の注意義務」の内容が明らかでないが、例えば、犯罪によ
る収益の移転防止に関する法律(平成十九年法律第二十二号。以下「犯収法」という。)第八条第一項に
おいては、預金又は貯金の受入れを行う金融機関等に対して、顧客がお尋ねの「ビットコイン交換所」で
あるか否かにかかわらず、特定業務において収受した財産が犯罪による収益である疑いがあり、又は顧客
等が特定業務に関し組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六
号)第十条の罪若しくは国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るため
の麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号)第六条の罪に当たる行為
を行っている疑いがあると認められる場合において、犯収法第二十一条に定める行政庁に届出を行う義務
を課している。
また、犯収法の下では、金融機関等は、口座の名義が「ビットコイン交換所」であるか否かにかかわら
ず、当該口座に現金が振り込まれた場合において、本人特定事項、取引を行う目的等の確認並びにその確
認記録の作成及び保存を行う義務はない。なお、振込みの依頼を顧客等から受けた金融機関等については、
十万円を超える現金の受払いを伴う為替取引を行う場合その他の犯収法が定める所定の要件に該当する場
合には、当該振込みを行う顧客等について本人特定事項、取引を行う目的等の確認並びに確認記録の作成
及び保存を行う義務がある。
八について
お尋ねの「ビットコインの交換所」の具体的な業務が明らかでないが、ビットコインと通貨との交換を
行う業務については、我が国の現行法令において、「登録等」や「関係省庁への報告義務」の対象となっ
ておらず、お尋ねの「所管する法令及び省庁」もないと考えている。
九について
先の答弁書三についてでお答えしたとおり、ビットコインを明確に位置付けている法律が存在せず、ま
た、お尋ねの「ビットコインの交換所」に係る具体的な事情が明らかでないことから、一概にお答えする
ことは困難である。
十について
お尋ねの「モノ」の内容が明らかでないが、いずれにしても、ビットコインの使用実態等が明らかでな
いため、ビットコインが「モノ」あるいはお尋ねの「電磁的記録」に該当するか否かをお答えすることは
困難である。
また、犯罪の成否については、捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断すべき事柄であるが、あ
くまで一般論として申し上げれば、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令
を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係
る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させたと
認められるときは、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四十六条の二の電子計算機使用詐欺罪が成
立することがあるものと考えられる。
十一について
外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号。以下「外為法」という。)第十条及び第
四十八条第三項に基づく対北朝鮮の輸出禁止措置においては、貨物の最終的な仕向地が北朝鮮である場合
には、第三国を経由するものであっても、当該輸出について経済産業大臣の承認を受ける義務を課してお
り、人道目的等に該当するものを除き承認しないため、ビットコインの使用の有無にかかわらず、贅
ぜい
沢品
を輸出した場合には外為法違反になる。
お尋ねの「国内居住者が国内に所有する一億円の価値があるビットコインを北朝鮮に「送金」した場合」
については、それが外為法第五十五条第一項に定める支払(以下「当該支払」という。)として行われた
場合には同項に基づく報告を要する。
ただし、当該支払が外為法第五十二条の承認を受けずに行う北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の
輸入に係るものである場合には、外為法第十六条第五項において禁止する支払に該当し、外為法違反とな
る。
また、当該支払が北朝鮮のミサイル又は大量破壊兵器計画に関連する者として指定された者等に対する
ものである場合や、北朝鮮の核関連、弾道ミサイル関連又はその他の大量破壊兵器関連の計画又は活動に
貢献し得る活動に寄与する目的で行われる場合には、外為法第十六条第一項に基づき主務大臣の許可を受
けることを要する。
十二の1について
個別具体的な課税関係については、個々の事実関係に基づき判断すべき事柄であり、また、お尋ねの「ビ
ットコインの交換で経済的利益を得た」の内容が明らかでないことから、一概にお答えすることは困難で
あるが、一般論としては、個人が得た経済的利益が所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第三十三条第
一項に規定する所得に該当する場合には、譲渡所得となり、また、法人が得た経済的利益の額は、当該法
人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入される。
十二の2について
個別具体的な課税関係については、個々の事実関係に基づき判断すべき事柄であり、また、お尋ねの「ビ
ットコインの国内交換所で経済的利益が発生した場合」の内容が明らかでないことから、一概にお答えす
ることは困難であるが、一般論としては、所得税法第二条第一項第五号に規定する非居住者又は法人税法
(昭和四十年法律第三十四号)第二条第四号に規定する外国法人については、所得税法第七条第一項第三
号若しくは第五号又は法人税法第九条第一項に規定する国内源泉所得を課税の対象としており、その対象
に該当しない場合には、課税の対象とならない。
十三について
お尋ねの「ビットコインの交換で経済的利益を得た場合」の内容が明らかでないことから、一概にお答
えすることは困難であるが、一般論としては、所得税法第二百三十二条第一項に規定する明細書は、所得
税法施行規則(昭和四十年大蔵省令第十一号)別表第十に定めるところにより、また、内国税の適正な課
税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(平成九年法律第百十号)第五条第一
項に規定する国外財産調書は、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に
関する法律施行規則(平成九年大蔵省令第九十六号)別表第一に定めるところにより記載しなければなら
ないこととされている。
十四について
個別具体的な課税関係については、個々の事実関係に基づき判断すべき事柄であり、また、お尋ねの「ビ
ットコインの国内交換所において一BTCを五万円で交換した場合」及び「交換手数料又は「送金」手数
料」の内容が明らかでないことから、一概にお答えすることは困難であるが、一般論としては、消費税法
(昭和六十三年法律第百八号)第四条第一項に規定する資産の譲渡等に該当する場合であって、同法第六
条第一項の規定により消費税を課さないこととされるもの以外のものであれば、課税資産の譲渡等として
消費税の課税の対象となる。
また、お尋ねの「消費税が課税される場合」の「納税義務者」については、同法第九条第一項の規定に
より消費税を納める義務が免除される事業者を除き、国内において課税資産の譲渡等を行った事業者とな
る。

以上