鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

秋草図鐔 古金工

2010-03-13 | 
秋草図鐔追加資料

 
① 秋草に栗鼠図鐔 無銘古金工
 赤銅魚子地高彫金色絵の手法で自然の実りを表現した作。菊花や桔梗、萩らしき植物が描かれている。この古風な表現技法は殊に興味深い。耳際の造り込みは古典的な太刀鐔を想わせる木瓜形に変化を与えたもので、わずかに肉厚く、切羽台辺りが薄手、図は丸みのある高彫だが美濃彫ほど高くはない。

 
② 秋草図鐔 無銘古金工
 美濃彫様式に近いため、古美濃に分類しても良いと思われる作。この辺りの区分の着眼点は、鑑定家によって異なるところ。分類が難しい古作である。赤銅魚子地を六ツ木瓜形とし、菊と撫子を高彫し、金と素銅の露象嵌を散している。猪目を配して六ツに画面を割ったところに銀杏の葉が想像されよう。美しい造り込みである。

 
③ 秋草図鐔 無銘古金工
 赤銅魚子地を菊花丸形に造り込み、菊、撫子、葛であろうか花房の美しい植物を題に得、高彫に金の露象嵌を散した作。これも美濃彫様式を示しており、古金工と古美濃の分類の極めどころが難しい作である。②の鐔と同様に深彫が顕著であれば迷うことなく古美濃となろうが、それほどでもなく、と言って古金工よりも古美濃の風合いが漂っているのである。興味深い資料の一つでもある。